ミステリー作家 千澤のり子のボードゲーム奮闘記

ボードゲーム遊び方紹介 番外編 マーダーミステリ「SUN DOG -幻日は夜明けに沈む-」(後編)

公開日:千澤(ちざわ)のり子

前回からの続きです。
作家の青柳碧人さん[1](あおやぎ あいと) … Continue reading、深水黎一郎さん[2](ふかみ れいいちろう) … Continue readingとマーダーミステリ「SUN DOG -幻日は夜明けに沈む-」をプレイしてきました。

早速ゲーム開始。ある共通イベントが始まりました。ゲームマスターも登場人物の一人になり、プレイヤーが演技をしやすいように進行してくれます。何かセリフを話す人、座ったままの人、立ち上がる人、密談ドアから出ていく人、全員が別々の動きをしていきます。
青柳さんは演劇経験があるせいか、相当慣れているように見えます。私と深水さんは二人イベントもありましたが、お互いぎこちないです。

 

あっという間に殺人事件が発生。全員共通の追加シナリオに沿って読み合わせを行い、推理開始となりました。
時刻から事件の詳細を探ろうとする人、ヒントカードを早々にめくる人、何をしているのか分からない人、密談しまくる人と、みんなで一緒に何かを考えるというよりも、バラバラの要素を紡ぎ合わせて犯人を導き出すといった形式のようです。

あっという間に前半は終了。休憩時間は参加者の方と雑談になりました。

「お三方はどのようなご関係なのですか」
「私が正体を言っちゃってもいいの?」
「どうぞ」
「いいですよ」
「ミステリ作家なのです。こちらの2人はかなり有名です」
「ええええっっっ」

殺人事件には慣れています。でも、だからといって解くのが得意というわけではありません。
私はその場を抜け、一人作戦タイム。自分だけのミッションがとても難しく、このままではクリアできません。嘘も突き通せそうになかったので、速攻でダミーの登場人物を作り上げ、私はその架空人物に扮することにしました。

 

さて、後半です。
追加シナリオが配られ、みんなで読み合わせをして、推理再開。次々に新事実が出てきます。

脳内に架空人物を作ったおかげで、密談もうまくいきました。
でも……。

「あなたはこの課題のために、このように行動しているのですか?」
1人の人に呼び出されて言われました。観念して頷きます。

「大丈夫。私があなたを守ります」
「お願い! 助けて!」
神様のような登場人物が! 
ここから一気に形勢逆転。安心して行動ができるようになりました。

ヒントカードも次々に明らかになります。自分の持っている情報を出すタイミングも参加者のミッションクリアに関わってきます。リアルだからこその証拠も出てきます。自分だけが知っている情報が、どんどんほかの人たちにも知られていきます。

ついに、ゲーム終了。私は結局、ミッションをクリアできませんでした。ただ、自分の筋が通ったので大満足。この結末は絶対にいやだと思っていたことも避けられました。

解決イベントで何が起きたのかは秘密です。

 

予定時間は3時間半でしたが、すべて終わったら17時半になっていました。感想戦は、ラインで行えるようになっています。
今、まったく物語内容について書いていないのは、ゲームの内容は一切ネタバレ厳禁だからです。
しかも、マーダーミステリは、1つのゲームにつき1回しかプレイができません。シナリオは同じでも、ほかのプレイヤーとプレイしたら、まったく違った展開になったでしょう。なにせ、密談でタッグを組むとは思っていませんでしたから。
しばらくいろいろな公演に行ってみようと思います。

 

脚注

脚注
1 (あおやぎ あいと) 2009年に数学ミステリ『浜村渚の計算ノート』で第3回「講談社Birth」小説部門を受賞し小説家デビュー。浜村渚の計算ノートシリーズは累計で60万部を突破。
2 (ふかみ れいいちろう) 2007年に『ウルチモ・トルッコ』で第36回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。2011年には「人間の尊厳と八〇〇メートル」で第64回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。デビュー10周年を記念して、2017年の3月から5月にかけて3ヶ月連続でまったく異なるジャンルの新刊を刊行。
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