ボードゲーム遊び方紹介 “スピンオフ” ミステリ・ザ・サード体験記 その3
ボードゲーム遊び方紹介 “スピンオフ” ミステリー・ザ・サード体験記 その1はこちらから。
お料理実践の内容は「米粉の入ったパンケーキ」です。
各テーブルの上にはホットプレートが設置され、卵、牛乳、ボールに入った粉がグループごとに配られました。味付けは自分の好みで選ぶことができ、ガムシロップ、コンデンスミルク、黒蜜の甘系以外にも、醤油やウスターソースなどもあります。
食べ物を触るため、衛生管理として使い捨てのビニール手袋も人数分用意されていました。
まずは2グループ分の生地を作ります。
「いちこも手伝うよ」
女優さんが私たちのテーブルにやってきました。10年前に謎の死を遂げた人物の娘で、超テンションの高い妹キャラです。ほかのテーブルにも俳優さんがいます。全員が立ち上がり、作業に入りました。
「いちこできないー。あなたエプロンしてるからやって!」
指されたのは、天祢涼さん。慣れない手付きで泡立て器と格闘していました。
それから、生地を分けるため、小さめのボールが配られました。
「あなた、分けるのうまいじゃん。何型?」
遊井かなめさんが話しかけられました。
「□型です」
「ふーん、そう」
いちこちゃんはプイっと横を向いてしまいました。
最初は小さい味見用、次は一人分を焼き、試食をしました。私はコンデンスミルク多めの黒蜜少なめ。普通にパンケーキの味です。
「横溝正史の世界だったら、真っ先に殺される娘っ子だよね」
お片付けをしながら、私たちは、いちこちゃんについてヒソヒソ話。
先生は正面で見本を作っていたそうで、各テーブルの代表者が試食をしました。一通り終わって片付けに入ったそのとき。
ある人物が倒れました。死んでいるそうです。
「警察です!」
すぐに、別のテーブルから一人の人物が立ち上がりました。
「ええええ!」
私はつい大声を出してしまいました。
「どうしたんですか?」と遊井さん。
「あの人、刑事さんだったんだ。ほら、手帳も持ってる」
「演技だから。本物じゃないから」
天袮さんがたしなめます。
これが体感型謎解きゲームなのね!
私は大興奮。
科捜研の人が登場し死因説明をしてから、参加者たちも移動して現場検証を行いました。この小道具が怪しいと検討がつきますし、あの人物のあの行動が不自然だったともなんとなく分かります。そろそろ推理タイムになるのかなと思いきや。
なんと、第二の事件が発生しました。しかも、密室殺人です。
(これはこうなってああなるから、この謎は解ける。けど、犯人が分からない。誰にでもできるから、犯人の決め手は別にあるのかしら)
混乱する中、参加者からの質問が受け付けられました。
(◯◯◯◯(食材の名前)が怪しい。あれがないのがおかしい。ただし、根拠はない。あのシーンをもう1回やってくれたら)
結局、その食材についてしか、私は質問できませんでした。
推理タイムが始まりました。
まずは腹ごしらえということで、有名なお店の卵カツサンドを受け取りました。飲み物も自由に飲めます。
さっそく遊井さんのトンデモ推理が始まりました。
「卵といえばサルモネラ菌ですよね。私はサルモネラ菌が凶器だと思います」
「毒物の説明あったじゃん!」
天袮さんとツッコミながら、それぞれの謎解きが始まりました。
ボードゲーム遊び方紹介 “スピンオフ” ミステリ・ザ・サード体験記 その4へ続く。
1973年生まれ
作家。2007年に宗形キメラ名義で二階堂黎人との合作『ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子』で作家デビュー。2009年には『マーダーゲーム』で単独デビュー。近刊は「少女ティック 下弦の月は謎を照らす」(行舟文化)
ボードゲーム好きで『人狼作家』の編集も手がけ、羽住典子名義でミステリ評論活動も行っている。
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