ボードゲーム遊び方紹介 “スピンオフ”「竜の夜からの脱出」に行ってきました(前編)
4月半ばのある夜。
友達に誘われて、リアル脱出ゲーム×SEKAI NO OWARI 全国夜の遊園地ツアー「竜の夜からの脱出」の先行体験会に参加してきました。開催場所は、川崎市にあるよみうりランドです(現在は公演終了しています)。
遊園地全体で行われるため、参加者の規模は1,000人でも大丈夫だそうです。お勧め人数は、4人から6人。平日の夜、都心からはちょっと離れた地域に行かれる、共通の知人友人、という条件をクリアできる人がなかなか見つからず、私たちは3人パーティーで挑みました。全員リアル脱出ゲーム経験者なので、どういうことをするのかはだいたい想像がついています。
主催のSCRAPから招待を受けたリーダーのMさんは0勝。
私は他のグループの人が解いてくれたおかげで1勝。
もう1人の友達Sさんは勝率秘密。
3人とも、絶対脱出するぞ! と意気込んでいました。
よみうりランドへのアクセスは、小田急線と京王線の2つの路線が利用できます。私とMさんは小田急線、仕事が終わったあとに駆けつけるというSさんは京王線を使い、現地の集合場所で合流する予定でした。
小田急線組は、2人とも出身大学が同沿線にあり、途中まではよく知っているルートでも、よみうりランドに行くのは初めてでした。
無事に改札口で合流できましたが、現地は歩いて行かれる距離ではありません。思ったよりも長旅だったため、ゆっくり食事をする時間は取れず、まずはコンビニで食料を調達しました。その後は道に迷いながら、駅から少し距離のあるバス停に到着できましたが、本数がありません。
「タクシー来たら拾っちゃう?」
「作戦練りたいから、バスのほうがいいかな」
あらかじめ世界観を説明しておきたいとのことでした。周りには、同じように先行体験会に行く人たちがたくさんいます。会話の内容を人に聞かれたくないというMさん。それならタクシーのほうがいいのではないかと首をかしげていたら。
「『われわれは魔法兵士なんだ!』と話していたら、運転手さんに不審者扱いされるかもしれない……」
されません(笑)。
Mさんは誰がどう見ても人畜無害な方です。私は場所を問わずミステリの話をしているので、横で聞いている人がいたらかなり怪しいと思われますが。
バスの中では「これから竜を倒しに行くぞ!」と話していましたが、乗客はほとんど全員同じ場所に向かっています。
「ゲーム開始後、別行動をしたほうが効率よく解けそうだけど、どうしよう」
「私はかなり方向音痴だから、1人にしたら絶対迷う。下手したら合流できない」
「じゃあ、今回は交流を深めるということで、みんなで一緒に行動しよう」
現地は閉園していました。
真っ暗なゲートの前には、魔法兵士がたくさんいます。
ライトアップされているあたりは綺麗ですが、ジェットコースターのシルエットが浮かび上がる光景は少し不気味です。
Sさんが合流し、受付を済ませてから、肝心なことを思い出しました。
私、昼前から何も食べていない。
果たして、無事に竜を倒すことはできるのでしょうか。
1973年生まれ
作家。2007年に宗形キメラ名義で二階堂黎人との合作『ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子』で作家デビュー。2009年には『マーダーゲーム』で単独デビュー。近刊は「少女ティック 下弦の月は謎を照らす」(行舟文化)
ボードゲーム好きで『人狼作家』の編集も手がけ、羽住典子名義でミステリ評論活動も行っている。
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