ラマダーン柿沼 MTGエターナルのススメ

エターナルのススメ Legacyデッキ紹介 〜テンポデッキの歴史(2008年〜2010年)〜

公開日: / 更新日:ラマダーン柿沼

皆さんこんにちは。 ラマダーン柿沼です。
今回は前回お話しさせていただいた、テンポデッキの歴史の第二弾となります。
2008年アラーラの断片発売以降、レガシー環境の変遷と共にテンポデッキの進化をお話しさせて頂こうと思いますのでよろしくお願いします

 

 

タルモゴイフを取り巻く環境の変化

 

タルモゴイフ

未来予知発売以降常にレガシー環境の中心にタルモゴイフは存在していました。そのような環境の中、当然のごとくタルモゴイフへの対策は各デッキで講じられてきました。先にお話した通り、部族系デッキでタルモゴイフを採用していた背景にはタルモゴイフ単体のパワーだけではなく、相手のタルモゴイフへの対策として採用されていました。
また、スレッショルド系デッキにおいては、精神支配をサイドボードに置くケースが増えました。

 

 

精神支配

精神支配は累加アップキープ1持ちのエンチャントで、赤か緑のクリーチャーをコントロールすることができます。精神支配の強さはタルモゴイフを盤面から除去するだけではなく自軍のクロックとして扱えることから、特に盤面に着地してしまったタルモゴイフへの対処を苦手とするカナディアンスレッショルドで高い採用率を誇りました。精神支配の累加アップキープの支払いが不可になる前に押し切るというカナディアンスレッショルドの戦略ともうまくマッチしていました。そんな環境でメタが推移していく中、精神支配のサイドイン率の高さからメインに不忠の糸を採用したスレッショルドも登場してきました。

 

 

特に不忠の糸が多く見られた時期では、それまで一定数存在したスタイフルノートを環境から一掃してしまいました。
一方でチームアメリカに採用された墓忍びは特にこのような環境では除去体制が高く、ハイスピードでゲームを決める為、レガシーで一躍環境の顔ともいえるクリーチャーになりました。

 

 

墓忍び

また対タルモゴイフに特化した墓忍びを中心に添えた青黒ミッドレンジであるフェアリーストーカーは同じくタルモゴイフが苦手とするトークン戦術をとることが可能な苦花を採用し、黒の優秀な除去と呪文づまりのスプライトを中心としたカウンター、ハンデスとトークン戦術相性の良い梅澤の十手を採用した隙のないデッキに仕上がっていました。

 

理想的なミッドレンジデッキ

 

そんなレガシー環境で輝いていた墓忍びですが、スタンダードではまったく日の目を浴びなかったのは当時のスタンダード環境に跋扈していた、TIP能力でバウンスが誘発する、造物の学者、ヴェンセールと裂け目の雲間を泳ぐものの影響でした。墓忍びの弱点であるバウンスが多かった為活躍ができなかったのは納得と同時に当時のプレイヤーはフォーマットの差異に面白さも感じていました。

 

バウンスは墓忍びの天敵だった

 

 

 

ANTの誕生

 

Ad Nauseam Tendrils
Grand Prix Madrid 2010 Top8 Decks
プレイヤー:Tomoharu Saito

 

2008年10月にアラーラの断片が発売しました。アラーラの断片ではレガシーフォーマットにおいて今でもそのキーカードを名前に冠するコンボデッキが登場します。そのキーカードこそがむかつきです。

 

むかつきを主にしたコンボデッキにした総称はANT呼ばれますが、これは《むかつき/Ad Nauseam》と《苦悶の触手/Tendrils of Agony》の2種類のキーカードから採られました。
むかつきにより大量のカードを手札に加え、マナ加速からストームを貯めて苦悶の触手でゲームを決めるのが基本的な動きになります。

アラーラの断片発売後すぐにレガシー環境ではANTが流行しました。初期のANTでは白をタッチし妨害枠にオアリムの詠唱を採用し、天使の嗜みを採用した現在のモダンに存在するアドグレイスのようなタイプや、赤をタッチし対応力を高めた燃え立つ願いを採用したタイプ、純正青黒で安定性を重視したタイプ、当時一世を風靡していたペインターコンボパッケージを携えたタイプ等様々ANTが短期間に一気に登場しました。

 

様々なタイプのANTが登場した

 

これほどまでにANTが隆盛できた背景には現在と異なる要因が2つありました。1つが神秘の教示者がリーガルだった点です。

 

神秘の教示者

 

これまでも神秘の教示者を採用したコンボデッキは多数存在してきました、例を挙げると青黒リアニメイトや、IGGY-POP、TES(The Epic Storm)等が挙げられます。しかし、これらのデッキには明確に墓地対策に弱いといった弱点を抱えていたり、安定性の面から絶対的な環境の覇者にまでは上り詰めることはありませんでした。ANTは墓地を経由せずマナさえあれば1枚でゲームを決めることが可能で、妨害、マナ加速、コンボパーツと様々な場面で有効札をサーチできる神秘の教示者は非常に強力でした。

2つ目の要因がステップの終了時にマナが消えなかった点です。その為予めライオンの瞳のダイアモンドを盤面に出しておけば、アップキープに神秘の教示者→むかつき後にライオンの瞳のダイアモンドを起動することで、ドローステップで引いたむかつきをキャストするプレイが可能でした。

 

ライオンの瞳のダイアモンド

当時のルールにより相対的に強かった

 

一見クロックパーミッションであるカナディアンスレッショルドやWUGスレッショルドにとってANTは有利な相手に見えますが、実際にはANTは対処が難しいデッキと言えます。その理由が不確定カウンターである目くらましや呪文嵌めの当て所が要因です。
1マナを多く要求する目くらましは水連の花びらや暗黒の儀式、炎の儀式等で簡単にケアできます。またこの時期のANTでは手札破壊から呪文嵌めを確認した上で、冥府の教示者や燃え立つ願い、陰謀団の儀式を経由せずにコンボを始動できることも容易でした。
これも神秘の教示者が存在していたことが要因の1つになります。一方でチームアメリカでは思考囲いによるハンデスやSink Holeで土地を詰めることで目くらましの有効期限を延ばすことが可能だった為ANT戦は比較的有利に戦うことが可能でした。

 

 

 

Counter Top Goyfの台頭

 

CounterTop-Goyf
日本レガシー選手権09 優勝
プレイヤー:佐宗一歩
土地(20枚)

4《溢れかえる岸辺
2《
4《汚染された三角州
4《熱帯の島
4《ツンドラ
2《火山島

クリーチャー(10枚)

4《タルモゴイフ
4《ロウクスの戦修道士
2《三角エイの捕食者

呪文(30枚)

4《渦まく知識
4《剣を鍬に
4《目くらまし
4《意志の力
3《思案
3《炎渦竜巻
4《師範の占い独楽
4《相殺

また、2009年頃より数を増やし始めたのがCTG(Counter top goyf)と呼ばれるコントロールデッキです。頭文字のCTGは《》Counterbalance / 相殺》《Sensei’s Divining Top / 師範の占い独楽》《Tarmogoyf / タルモゴイフ》の3枚のデッキのキーカードの頭文字から名付けられました。

 

 

2006年頃にスタンダードで登場した相殺コントロールデッキであるストラクチャー・アンド・フォースのレガシー版とも言えるCTGは、レガシー環境ならではの軽量ドローソースと師範の占い独楽+フェッチランドを駆使することで抜群の安定感を誇る当時のTier1デッキに上り詰めました。基本的なアクションは相殺+師範の占い独楽によるハーフロックに加えこれらを駆使して、タルモゴイフを守りきること重要視しています。
マナを多量に使用するCTGではクリーチャーは軽くて高耐久であることが最優先に考えられています。

環境の基本となる除去は稲妻と剣を鍬にの2種類になりますが、これら1マナのスペルは相殺ロックにより完封することが可能です。また、1マナスペルを完封することが可能な相殺ロックは低マナ域でゲームが展開されるレガシーの環境では非常に強力なものになります。コンボの性質上ハーフロックとは明記していますが、1マナ域が多いデッキであれば多いほどそれは完全に近いロック状態となります。特にテンポデッキの視点から見ると、相殺が単体であっても低マナ域のスペルで構成されている為十分な脅威になります。特にカナディアンスレッショルドではそれが顕著であり、ゲームを決めるはずの敏捷なマングースとタルモゴイフがCTGのタルモゴイフやロウクスの戦修道士といった高耐久クリーチャーを突破できず、後続も相殺ロックに引っ掛かりやすいためこの時期使用者を減らす要因になったと考えられます。

 

ロウクスの戦修道士環境にマッチしたフィニッシャー

 

 

 

聖遺の騎士とNew Horizon

 

New Horizons
2010 Legacy Championship 4th
プレイヤー:Tyler Edwards
土地(23枚)

1《
4《地平線の梢
4《霧深い雨林
3《熱帯の島
3《ツンドラ
4《不毛の大地
4《吹きさらしの荒野

クリーチャー(11枚)

4《タルモゴイフ
4《聖遺の騎士
3《土を食うもの

呪文(26枚)

4《渦まく知識
4《もみ消し
4《剣を鍬に
4《目くらまし
4《意志の力
4《思案
2《仕組まれた爆薬

 

2009年2月になるとコンフラックスが発売されました。コンフラックスでは聖遺の騎士が登場しレガシー環境を盛り上げました。

 

聖遺の騎士

 

発売当初はあまり注目されていませんでしたが、聖遺の騎士は、サイズ面、能力において十分にレガシー級であったためすぐにこれを採用したテンポデッキが登場しました。それがNew Horizonです。
New Horizonでは聖遺の騎士とおなじみのタルモゴイフに加えて土を食うものも採用されました。

聖遺の騎士は3マナ2/2と物足りないクリーチャーに見えますが、自身の墓地に落ちている土地の数を参照とし、+1/+1修正が入ります。New Horizonではフエッチランドや不毛の大地が採用されている為、聖遺の騎士のサイズは比較的早い段階で稲妻の圏外まで育つことができます。
また自身で土地の生贄とサーチが可能な為、自身の効果のみでパンプアップを繰り返すことが可能で、サーチする土地に制限がないので、毎ターン不毛の大地をサーチすることで相手の盤面を崩壊させた後に、巨大化した聖遺の騎士が2パンチでゲームを決めるといった戦術が1枚で成立しました。

土を食うものは3マナで相手と自分の墓地にある土地カードの枚数と同数のP/Tになるトランプル持ちクリーチャーです。

 

土を食うもの

土を食うもののトランプルは、タルモゴイフをはじめテンポデッキが苦手としてきたチャンプブロッカーを許さない高クロックとして一躍有名なカードとなりました。
土を食うものはこれまで一部のチームアメリカやアグロロームに採用されてきた実績があるクリーチャーですが、このクリーチャーの真髄は聖遺の騎士との相性にありました。

まず聖遺の騎士と同様に墓地の土地を参照とするため、聖遺の騎士起動型能力と非常に相性が良い点にあります。しかも相手の墓地も参照するため、フエッチランド1枚から聖遺の騎士を起動するだけで最大+4/+4の修正が入ります。
もう一つが聖遺の騎士が疑似マナ加速として使用できる点です。テンポデッキながら3マナ域7枚体制であるNew Horizonですが1枚の聖遺の騎士さえ着地してしまえば、それ以降はクリーチャー+他アクションも容易となります。

従来のテンポデッキのように序盤にクリーチャーを出して早いターンから詰めるといった風潮から3~4回のコンバットでゲームを決める方向にゲーム展開がシフトしたのは当時としては斬新でした。
またこの頃からレガシー環境でタルモゴイフは絶対的な存在ではなくなりつつありました。理由は1ターン遅れて出てくるとは言え、聖遺の騎士のサイズにタルモゴイフのサイズが劣るシーンが増えてしまったことが要因に挙げられます。
その為、部族デッキでは無理してタルモゴイフを採用することは少なくなりました。
また、火力とテンポで盤面を押し切るカナディアンスレッショルドはNew Horizonに採用されているクリーチャーにサイズで劣ってしまった為その姿を減らすこととなます。

従来のレガシー環境では3マナのクリーチャーは重く活躍しないと謂われてきましたが、聖遺の騎士の隆盛っぷりはその定説に一石を投じる結果となりました。

 

いかがでしたでしょうか?
今回は2008年~2010年頃のテンポデッキとレガシーの変遷についてお話させていただきました。筆者は特にこの頃のレガシーが好きで、大会に参加し始めたのもこの頃なので特に思い出深いですね。
当時は友人達とゲームセンターで15時間続けて同じデッキを回したりとプレイとデッキの奥深さを探求することに熱中していました。当時プレイしていた人はあの頃の懐かしさを、当時を知らない人にも目新しさを感じ取ってもらえれば幸いです。ありがとうございました。

 

※一部ルールの解釈に誤りがありご指摘頂き文章を差し替えさせて頂きました。

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