【MtGエターナルのススメ】 ミドルスクールをはじめよう!
こんにちは。ラマダーン柿沼です。
皆さんはミドルスクールというフォーマットをご存知でしょうか?
筆者は1999年にマジックザギャザリングを始めました。当時は小学生であり、雑誌等に掲載されている有名なデッキを組むことは叶いませんでした。しかし現在では当時のカードは安くなり、憧れていたデッキは簡単に手が届くようになりました。その当時のマジックザギャザリングの環境をそのままにプレイできるフォーマットがミドルスクールなのです!本日はそんなミドルスクールについて解説していきたいと思います。
目次
ミドルスクールとは
ミドルスクールとはオールドスクールとモダンの間の期間に発売されたエキスパンションを使用してデッキを構築する非公式限定構築フォーマットの1つです。
使用が可能なエキスパンションは1995年から2003年まで期間に発売されたエキスパンションとプロモーショナルカードである以下のエキスパンションが使用可能です。
エキスパンション | |
オンスロート | 2002年10月発売 |
レギオン | 2003年2月発売 |
スカージ | 2003年5月発売 |
オデッセイ | 2001年10月発売 |
トーメント | 2002年2月発売 |
ジャッジメント | 2002年5月発売 |
インベイジョン | 2000年10月発売 |
プレーンシフト | 2001年2月発売 |
アポカリプス | 2001年6月発売 |
メルカディアン・マスクス | 1999年10月発売 |
ネメシス | 2000年2月発売 |
プロフェシー | 2000年6月発売 |
ウルザズ・サーガ | 1998年10月発売 |
ウルザズ・レガシー | 1999年2月発売 |
ウルザズ・デスティニー | 1999年6月発売 |
テンペスト | 1997年10月発売 |
ストロングホールド | 1998年2月発売 |
エクソダス | 1998年6月発売 |
ミラージュ | 1996年10月発売 |
ビジョンズ | 1997年3月発売 |
ウェザーライト | 1997年6月発売 |
アイスエイジ | 1995年6月発売 |
アライアンス | 1996年6月発売 |
ホームランド | 1995年10月発売 |
第7版 | 2001年4月発売 |
第6版 | 1999年4月発売 |
第5版 | 1997年4月発売 |
第4版 | 1995年4月発売 (日本語版は1996年4月発売) |
クロニクル | 1995年7月発売 (日本語版は1996年7月発売) |
ルネッサンス | 1995年8月発売 |
スターター2000 | 2000年8月発売 |
スターター | 1999年7月発売 |
ポータル三国志 | 1999年5月発売 |
ポータル・セカンドエイジ | 1998年8月発売 |
ポータル | 1997年7月発売 |
アンソロジー | 1998年11月発売 |
バトルロイアル | 1999年11月発売 |
ビートダウン | 2000年11月発売 |
デッキマスターズ | 2001年9月発売 |
ProTour NewYork Decks 1996 | |
World Championship Decks 1997 | |
World Championship Decks 1998 | |
World Championship Decks 1999 | |
World Championship Decks 2000 | |
World Championship Decks 2001 | |
World Championship Decks 2002 | |
World Championship Decks 2003 |
プロモーション・カード |
闘技場/Arena |
Sewers of Estark |
ナラスニ・ドラゴン/Nalathni Dragon |
大アナグマ/Giant Badger |
Windseeker Centaur |
一部のルール変更
特徴的な点は一部のルールが現在のものと異なり、1995年から2003年当時のルールを一部適用している点です。概要は以下になります。それ以外は現在のマジック:ザ・ギャザリングのルールを適用してプレイします。
1.戦闘ダメージがスタックに乗る点
これはM10発売時に廃止となったルールで第6版からM10まで適用されていたものです。端的に言うと戦闘でクリーチャーダメージがスタックに乗った場合、その後にダメージ源であるクリーチャーが何らかの効果により戦場を離れていてもスタックに乗っているダメージの値は変化しません。
このルールにより現在よりも相対的に強化されているのが、《変異種 / Morphling》や《モグの狂信者 / Mogg Fanatic》といった戦闘ダメージスタック後に選択肢がある起動型能力を持つクリーチャー達です。
上記のルールにより変異種はマナが許す限りタフネス5以下のクリーチャーを一方的に倒すことが可能ですし、《モグの狂信者》は戦闘ダメージにスタックして生贄に捧げることでタフネス2の相手を討ち取ることが可能です。
2.マナバーンの適用
これもM10導入時に廃止になったルールの1つです。マナバーンとは各フェイズの終了時に使いきれなかったマナの数だけ自身にダメージが与えられる状況起因効果です。つまるところマナは使い切れる分だけ出すことが推奨されていました。
このルールにより相対的に強化されたのが《エラダムリーのぶどう園 / Eladamri’s Vineyard》です。相手にも強制的にマナを提供し続けるため相手のマナバーンを誘うことが可能になります。また反対に相対的に弱体化したのがウルザトロンランド各種や《陰極器 / Cathodion》といった不用なタイミングでマナが発生しうるカードです。
3.願いで追放領域からカードを手札に加えることが出来る
こちらもM10導入時に変更になったルールの1つです。願いとはジャッジメントで登場したサイクルの1つで、いずれの願いもゲーム外から特定のカードを手札に加えることができるスペルです。
M10導入と同時にゲーム外=サイドボードと定義されましたが、それ以前のルールでは追放領域からも手札に加えることが可能です。
このルールは願いサイクルのカードを相対的に強化し、《剣を鍬に / Swords to Plowshares》で追放されたクリーチャーを《生ける願い / Living Wish》で手札に加えるといったプレイが可能です。
禁止カード
ミドルスクールでは環境バランスを崩しうる一部のパワーカードが禁止されています。禁止カードのリストは以下になります。
ミドルスクール 禁止カード |
Amulet of Quoz |
天秤/Balance |
渦まく知識/Brainstorm |
青銅のタブレット/Bronze Tablet |
チャネル/Channel |
暗黒の儀式/Dark Ritual |
Demonic Consultation |
閃光/Flash |
ゴブリン徴募兵/Goblin Recruiter |
伝国の玉璽/Imperial Seal |
宝石の鳥/Jeweled Bird |
ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond |
魔力の墓所/Mana Crypt |
魔力の櫃/Mana Vault |
記憶の壺/Memory Jar |
精神の願望/Mind’s Desire |
精神錯乱/Mind Twist |
再誕/Rebirth |
露天鉱床/Strip Mine |
嵐のイフリート/Tempest Efreet |
Timmerian Fiends |
トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy |
吸血の教示者/Vampiric Tutor |
意外な授かり物/Windfall |
ヨーグモスの取り引き/Yawgmoth’s Bargain |
ヨーグモスの意志/Yawgmoth’s Will |
アンティカードは他フォーマット同様に禁止になります。ミドルスクール独自の禁止カードについて印象的な点として、マナ加速の制限とキャストしたターンにゲームの勝利を達成し得るスペル全般が禁止されているようです。
マナ加速の禁止カード
マナ加速について特徴的な禁止カードなのが《暗黒の儀式 / Dark Ritual》です。
黎明期から存在するこのカードはメルカディアン・マスクスの収録を最後に通常エキスパンションより姿を消しました。手札を消費してテンポアドバンテージを獲得するこのカードはスタンダード当時環境を壊すカードとは考えられておらず、一度も禁止リストに入ったことはありませんでした。しかし、ミドルスクールでは制定された当時より禁止リストに組み込まれ続けています。
その理由の一端がアイスエイジに収録されたエンチャントである《ネクロポーテンス / Necropotence》です。レガシーでは禁止リストに入っているこのカードはライフを手札に変換することができます。この能力は手札をマナに変える《暗黒の儀式》ととても相性が良く、《ネクロポーテンス》自体も黒のトリプルシンボルであることからスタンダード当時ではほぼ100%同時に採用されるカードでした。
ミドルスクールでは《ネクロポーテンス》が使用可能な代わりに《暗黒の儀式》が禁止になっていることから、《ネクロポーテンス》の黒トリプルシンボルは《暗黒の儀式》がない環境であれば適切な強さであり、レガシーとの差別化を図る上でも適当な禁止であると考えられます。
またそれ以外でも《マナの墓所》や《魔力の櫃 / Mana Vault》、《トレイリアのアカデミー / Tolarian Academy》といった環境を著しく壊す様なカードが禁止されている点は妥当に感じられます。
その一方で《厳かなモノリス / Grim Monolith》や《スランの発電機》が禁止されていないのはレガシー同様で、2マナランドというデメリットを持つカードを駆使しなければ高速展開には繋がらない点で許されていると感じます。
《ネクロポーテンス》と《ヨーグモスの取引き》について
上記で紹介した《ネクロポーテンス》が使用可能な中、類似点が多い《ヨーグモスの取引き》は禁止リスト入りすることとなりました。
これは《ヨーグモスの取引き》が《ネクロポーテンス》とは異なり、ペイライフの調整と即効性において優位な点に起因すると考えられます。
《ネクロポーテンス》のドローが自ターン終了時になるのと異なり、《ヨーグモスの取引き》は出したターンすぐにカードのドローを可能とします。その為、出したターンにフィニッシュまでたどり着く事が可能である点から、コントロールやビートダウンに適したドロー効率である《ネクロポーテンス》に対し、《ヨーグモスの取引き》の方がコンボデッキのドローパーツとして適しています。
また《ネクロポーテンス》は《暗黒の儀式》の禁止により黒トリプルシンボルを捻出するのに適した構築を強いられのに対して、《ヨーグモスの取引き》はより多くのデッキでの採用が見込まれます。その点に於いても《ヨーグモスの取引き》の禁止は妥当に感じられます。
《渦まく知識》の禁止
私の中で一番印象的な禁止カードが《渦まく知識 / Brainstorm》になります。レガシーではプレイアブルでありヴィンテージでは制限カードになっているこのキャントリップは、相性が良いとされるフェッチランドの存在するミドルスクールではオーバーパワーであると判断された様です。
《対抗呪文 / Counterspell》や《意志の力》に代表される強力なカウンターと《蓄積した知識》や《嘘か真か》と言った強力なドロースペルが揃うミドルスクールの青というカラーに対するある種の制限ともとることができます。
この裁定は、エクステンデッド環境でも猛威を奮った「ドネイト」[1]ドネイト:《寄付》と《Illusions of Grandeur》を組み合わせたコンボデッキ。《Illusions of … Continue readingや「プロスブルーム」[2] … Continue readingといったコンボデッキがビートダウンより強くなることを危惧していると思われます。
プレインズウォーカーもまだ登場していないミドルスクールの環境においてはクリーチャーの殴り合いを主にしたい意図も感じ、《吸血の教示者 / Vampiric Tutor》や《Demonic consultation》といった万能チューターの禁止からもコンボデッキ一辺倒な環境にならない様な配慮が見受けられます。
サンプルデッキの紹介
次はサンプルデッキの紹介です。当時のエクステンデッドを屋台骨にチューンアップされた独自のデッキは当時を知る人も新たにプレイするような感覚を感じられでしょう。またレガシーでは禁止に指定されているカードも組み込める点にも注目です。今回紹介するサンプルデッキは「スタイフルノート」「ゴブリン」「ワイルドゾンビ」の3つです。
スタイフルノート
4:《ミシュラの工廠》
4:《不毛の大地》
12:《島》
4:《ファイレクシアン・ドレッドノート》
4:《選択》
4:《先触れ》
4:《もみ消し》
4:《幻視の魔除け》
4:《目くらまし》
4:《意志の力》
4:《対抗呪文》
2:《衝動》
2:《直観》
4:《蓄積した知識》
3:《基本に帰れ》
3:《寒け》
3:《トーモッドの墓所》
3:《水没》
3:《ブーメラン》
ミドルスクールにおける最大のサイズを誇る《ファイレクシアン・ドレッドノート / Phyrexian Dreadnought》による圧殺をゴールとするコンボデッキです。
主となるコンボは《ファイレクシアン・ドレッドノート》+《もみ消し / Stifle》or《幻視の魔除け》。着地時の《ファイレクシアン・ドレッドノート》の誘発型能力を《もみ消し》により打ち消すか、誘発後に《ファイレクシアン・ドレッドノート》自体を《幻視の魔除け》でフェイジングさせることで能力の立ち消えを狙います。
12/12トランプルの性能はミドルスクールでは唯一無二で、メインでは白の《剣を鍬に / Swords to Plowshares》、もしくは黒の布告系除去でしか対抗できません。
また、スタイフルノートの構成下には《ファイレクシアン・ドレッドノート》を守る手段が豊富にあり、《目くらまし》《対抗呪文》《意志の力》を筆頭に、コンボパーツの一端を担う《幻視の魔除け / Vision Charm》のフェイジングは《ファイレクシアンドレッドノート》を除去から守る上でも使用可能です。
サイド後はどのデッキも置物破壊を入れてくる為過信はできませんが、2ターン目にカウンターを構えながら12/12トランプルのファッティによる爽快感をお求めの方にはお勧めです。
赤単ゴブリン
4:《カープルーザンの森》
4:《樹木茂る山麓》
4:《不毛の大地》
10:《山》
1:《森》
4:《ゴブリンの従僕》
4:《ゴブリンの群衆追い》
4:《ゴブリンの戦長》
4:《ゴブリンの女看守》
4:《ゴブリンの首謀者》
1:《ゴブリンの名手》
4:《宝石の手の焼却者》
3:《モグの狂信者》
3:《包囲攻撃の司令官》
1:《スカークの探鉱者》
1:《ゴブリンの王》
1:《ゴブリンのうすのろ》
3:《稲妻》
3:《帰化》
3:《紅蓮破壊》
3:《トーモッドの墓所》
3:《紅蓮操作》
2:《稲妻》
1:《森の知恵》
ミドルスクールにおいてもゴブリンは一線級です。それどころか《霊気の薬瓶》が無いことを除いてはレガシーのゴブリンにも引けを取らないパワーを有しています。
特に《ゴブリンの従僕 / Goblin Lackey》のテンポアドバンテージはミドルスクール環境のゴブリンに於いて強力で、2ターン目に《ゴブリンの従僕》からの誘発で《包囲攻撃の司令官》のコンボはゲームスピードを大幅に早めてくれます。
また《ゴブリンの従僕》のアタックをねじ込むために、《モグの狂信者》《宝石の手の焼却人 / Gempalm Incinerator》《稲妻》等除去にデッキスペースを多く割いています。
またハイスピードなゲーム展開以外にも《ゴブリンの首謀者 / Goblin Ringleader》や《ゴブリンの女看守》によるハンドアドバンテージ獲得からのミッドレンジプランや《スカークの探鉱者》+《ゴブリンの名手》によるコンバットを介さないコンボプラン等様々な戦略を取れるのがミドルスクール環境のゴブリンの魅力です。
ワイルドゾンビ
2:《反射池》
2:《硫黄泉》
4:《カープルーザンの森》
1:《沼》
1:《山》
2:《森》
4:《宝石鉱山》
4:《ラノワールの荒原》
1:《真鍮の都》
4:Krovikan Horror》
4:《野生の雑種犬》
4:《灰燼のグール》
4:《隠遁ドルイド》
4:《ゴブリンの太守スクイー》
4:《納墓》
4:《ゾンビの横行》
4:《生き埋め》
4:《炎の嵐》
3:《陰謀団式療法》
2:《窒息》
3:《紅蓮破》
2:《無のロッド》
2:《スパイクの飼育係》
3:《非業の死》
3:《トーモッドの墓所》
ワイルドゾンビは2002年前後のエクステンデッドで活躍した、リアニメイト要素を内蔵したビートダウンデッキです。キーカードの1枚である《隠遁ドルイド / Hermit Druid》は現在のレガシーでも禁止に指定されているクリーチャーです。
ライブラリーに数枚入った基本土地をライブラリートップから探す起動型能力を有していますが、その過程で捲れたカードは全て墓地に置かれるため、1回でも起動できれば大きなアドバンテージを得ることができます。こうして墓地に落ちた、《ゴブリンの太守スクイー / Squee, Goblin Nabob》《灰燼のグール》《Krovikan Horror》は盤面や手札に戻ることで継続的なビートダウン戦略を取ることができます。
また、《ゴブリンの太守スクイー》と2種類の共鳴者である《野生の雑種犬》と《ゾンビの横行》は相性が良く、毎ターンパンプアップとトークンの精製に寄与してくれます。
瞬間的なコンボデッキではありませんが、レガシーでも禁止されているクリーチャーを使用した粘り強いゲームが好みのプレイヤーにお勧めです。
いかがでしたでしょうか?
今回は非公式フォーマットのミドルスクールの紹介をお届けさせていただきました。1990年代後半から2000年代初頭は多くのメディアでマジック・ザ・ギャザリングの情報が取り上げられ、プレイヤーが増加した時期です。そんな時代に生まれたデッキは数知れず、中には歴史に埋もれてしまったデッキも少なくありません。みなさんも当時は組めずに憧れていたデッキや思い出深いデッキを持ち出してミドルスクールで遊んでみてはいかがでしょうか?
脚注
北関東の僻地で活動してるMagic: the Gatheringプレイヤー。好きなフォーマットはレガシー。好きなカードをずっと使い続けられるこの環境とプレイを共にする友人が大好き。あと痩せたいです。
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