【MtGエターナルのススメ】 ゼンディカーの夜明け ~ベルチャー~
こんにちは。ラマダーン柿沼です。
秋も深まり過ごしやすい季節がやってきましたね。MTGではいよいよ『ゼンディカーの夜明け』が発売され、新環境のデッキ構築やシナジーを追求するプレイヤーにとっては忙しい日々になっていると思われます。本日はそんなゼンディカーの夜明けより解禁されたカードにより強化されたパイオニア、モダンのデッキについて紹介していきたいと思います。
1ショットキル!!ゴブリンチャーベルチャー!
レガシー制定当時、その膨大なカードプールよりその後定番になるデッキの前身や多くのローグデッキが混沌と存在していた環境の中、1つのコンボデッキが誕生しました。そのデッキは黎明期に於いて対策を持たないデッキに対して圧倒的なスピードでゲームを決め、当時のレガシーという環境の印象に「1ターンキル」のイメージを与え込んだ要因の一つに挙げられるほどでした。そのデッキが2ランドベルチャーです。
プレイヤー名:Unknown
4:《ほくちの壁》
4:《Elvish Spirit Guide》
4:《猿人の指導霊》
目を引くのが採用されている土地が2枚しか無い点です。
デッキ構築の大半を0マナのマナソースに割いている為、ランドセットを必要としないこのデッキは土地譲渡よりサーチ可能な《Bayou》と《Taiga》のみでコンボを決めることができます。勝ち筋は4マナのアーティファクトである《ゴブリンの放火砲》の起動か、ストーム5以上からの《巣穴からの総出》で場に出した大量のゴブリントークンによるビートダウンです。
1~2ターンキルを目指せ!
デッキ名に冠している《ゴブリンの放火砲》は3マナ起動でライブラリートップから土地カードが出るまで捲り、捲った枚数のダメージを与え、捲れた土地が山であるならダメージ量が2倍になるという能力です。2ランドベルチャーには土地が2枚しかない為、起動すれば殆どの確率で致死ダメージを与えることが可能です。
特筆点はその圧倒的なスピードにあります。先に述べた通り、デッキ構成の殆どを0マナのマナソースに割いている為、1ターン目に4マナ以上を捻出することが可能です。特に《ライオンの瞳のダイアモンド》はスペルのキャストには使用できませんが、《ゴブリンの放火砲》の起動や、《燃え立つ願い》にスタックしてマナを捻出することでフィニッシュへの足がかりとなります。
また、ベルチャーは初手で勝負することが非常に多いデッキです。最低限のキープ基準は以下になります。
2.穴からの総出+ライオンの瞳のダイアモンドを除いて4マナ以上捻出可能なマナソース。
3.燃え立つ願い+6マナ以上捻出可能なマナソース(3マナ+ライオンの瞳のダイアモンドでも可能)
《ゴブリンの砲火砲》プランである場合、カウンターに対して脆い部分もありますが、《巣穴からの総出》プランの場合、ストームからの大量トークン展開の勝ち筋である関係上、《意志の力》の様な単発のカウンターに対して強いという面もあります。その為、対策する側はカウンターの当てどころには注意が必要です。
一般的には3マナに到達する時点でのマナソースにカウンターを当てるのが良いとされています。4マナ到達タイミングのマナソースにカウンターを当てるのは得策では無い理由は《Elvish Spirit guide》と《猿人の指導霊》の存在です。
ハンドから捨てることでマナを捻出することが可能な2種類のクリーチャーを最後までハンドに隠されていると3マナから4マナに到達する際にはカウンターを当てることができず、結果《巣穴からの総出》で大量のトークンが展開されてしまう為です。
上記の様に圧倒的なスピードからコンボを決めることが可能なベルチャーの様なハイスピードなコンボデッキの存在は、その後永らくレガシー環境で青というカラーがもつカウンターが如何に重要かということを多くのプレイヤーに知らしめました。
2ランドベルチャーはその後1ランドベルチャーとなり完成されたコンボデッキの1つとして今尚レガシー界で存在しています。
ランドレスベルチャーの夜明け 〜モダン編〜
ゼンディカーの夜明けでは新しいメカニズムの1つにモードを持つ両面カードというものがあります。これは表面は通常のスペルで裏目は土地カードといった使用する際にモードを選べるメカニズムでこれらのカードがゼンディカーの夜明けでは複数収録されています。
モダンではこの新しいメカニズムを本来の使い方とは異なる方法で使用したデッキが登場しました。それがランドレスベルチャーです。
プレイヤー名:Sebastian Stückl’s
ゼンディカーの夜明けで収録されている両面カードは第二面が全て土地カードになっていることに着目したことで誕生したランドレスベルチャーはレガシーのベルチャー同様大量のマナ加速から構成されています。20枚もの両面カードを採用することで安定したセットランドを可能としながら、ライブラリー内のカードを全てスペルで構築することを可能としました。
また、モーニングタイドに収録された《小道の再交差》はランドレスベルチャーのキーパーツの1枚に挙げられます。元来土地カードをサーチするソーサリースペルですが、土地カードが採用されていないランドレスベルチャーではテキスト後半の『ライブラリーの1番下に好きな順番で置く』の部分だけが参照されて結果ライブラリー内全てのカードを任意の順番に並び替えるスペルとして変換されます。
ライブラリーを並び替える順番は、
上記の積み込み方で次ターン勝利が確定します。この動きは2ターン目に《猿人の指導霊》を起動して《小道の再交差》をキャストすることで最速で3ターン目に勝利することが可能です。
また、サイドボードには《紅蓮地獄》や《神聖の力線》、《萎れ》、《血染めの月》等の定番サイドボードカードが採用されています。
安定したランドセットでサイドからも対策万全!
これは安定したセットランドが可能なランドレスベルチャーの特権でレガシーのベルチャーには見られない利点です。《集合した中隊》、《タッサの神託者》、《地底街の密告人》はサイド後のもう1つの勝ち筋になります。ヘイトベアーである《翻弄する魔導師》やアーティファクトの起動を封じる《大いなる創造主、カーン》、《神聖の力線》等が採用されるマッチアップで特に有効です。
5マナ捻出可能な状態で《小道の再交差》での並び替えを行い
上記のように並べて《集合した中隊》をキャストできれば勝利確定です。
場に出た《タッサの神託者》の能力にスタックして《地底街の密告人》の起動型能力を起動すると土地の入ってないライブラリーが墓地に置かれ、スタックに乗っている《タッサの神託者》の誘発型能力で勝利できます。
ゼンディカーの両面カードがランドレスベルチャーに与える利点
ゼンディカーの夜明けで収録した両面カードはマナコストに見合わず、やや能力を調整されたカードがほとんどですが、その範囲内で相手をコントロールしつつ自分のコンボへの時間稼ぎをするのに丁度いいカードが採用されている点も魅力の1つです。
例えば《棘平原の危険》は1点ダメージを対象に与えられるインスタントですが、単体では《ショック》に劣る火力程度です。しかし、土地としてカウントされているこのカードは、天敵の1つである《スレイベンの守護者、サリア》を葬る事が可能です。
1ターンに多くの非クリーチャースペルを唱えることでコンボを成立させるランドレスベルチャーでは《スレイベンの守護者、サリア》は出されると最も辛いカードの1枚に当たりますが、それでも従来のコンボデッキ程乗り越えるのは苦労はしません。
また《ヴァラクートの覚醒》は第二面が土地カードのドロースペルです。ハンドを捨てて、捨てた枚数+1枚のドローが可能なスペルです。コンボパーツや土地カードの偏りを軽減してコンボ成立に寄与できるカードとしても使用可能です。
《バーラ・ゲドの復活》も有用な両面カードの1枚です。ハンデスやカウンターによって落とされた《小道の再交差》や《ゴブリンの放火砲》をハンドに戻せるこのカードもランドレスベルチャーの足りない部分を補ってくれます。
どの両面カードも土地以外の運用が可能な点は覚えておいて損は無いでしょう。
如何でしたでしょうか?レガシーで強力なデッキとして活躍してきたベルチャーがモダンにも登場したことで、モダン環境もますます盛り上がりが期待されます。レガシー同様のフィニッシャーを有するデッキですが、アプローチはかなり異なるので、レガシーでベルチャーを愛用している方も興味がある方も一度組んで試してみてはいかがでしょうか?
本日はこの辺で、ありがとうございました。
(画像出典:マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト)
北関東の僻地で活動してるMagic: the Gatheringプレイヤー。好きなフォーマットはレガシー。好きなカードをずっと使い続けられるこの環境とプレイを共にする友人が大好き。あと痩せたいです。
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