ボードゲーム ジャンル解説&おすすめボドゲ6選「拡大再生産」編
トリックテイキング、アブストラクト、デッキビルド、ダイスゲーム、ワーカープレイスメント・・・
なじみが無い人には聞きなれない単語が並ぶボードゲームのジャンル(種類)について解説していきたいと思います。
ジャンル、種類、メカ二クスなど、様々な呼ばれ方をしますが、早い話どんな傾向のボードゲームなのかをわかりやすくする指標として使われています。
テレビゲームで言うところのRPGやシューティング、パズル、格闘といったようなジャンル分けがボードゲームにもあると考えるとわかりやすいでしょうか。
今回はボードゲームの中でも人気が高い「拡大再生産」について解説していきたいと思います。
目次
1.拡大再生産系ボードゲームってどんなゲーム?
「拡大再生産」をネットで調べてみると
このように説明がされています。
ただ、これでは分かりにくいので、もう少しわかりやすくボードゲームに例えて説明してみるとこんな感じになります。
最初のラウンドで、1金を払って1金の苗を購入し、畑に植えました。
次のラウンドでは畑に植えた苗が無事成長し作物となり、その作物を売却することで3金を得て所持金は3金になりました。
この3金を使い、追加の畑を1金で手に入れ、さらに1金の苗を2本(合計2金)購入し、それぞれの畑に植えました。
すると、次のラウンドでは成長した作物2個を売却して6金が手に入れることができました!
このように、手元の資産(や勝利点)を増やしていくボードゲームを「拡大再生産(型/系)ボードゲーム」と呼んでいます。
有名な定番ボードゲームだと「カタン」「ドミニオン」「テラフォーミングマーズ」などがそうですね。
2.拡大再生産系ボードゲームはこんな人におすすめ
拡大再生産系のボードゲームでは、資源やお金を貯めて最初は買えなかった物を購入したり、最初はできなかったことができるようになるなど、ゲームの進行とともに変化を実感することができます。
自分の手で成長させていくゲームや、お金を稼いで自分の資産を増やしていくゲームが好きな方におすすめのジャンルです。
デジタルゲームの「シムシティ」みたいなゲームが好きだった人は、特に気に入ってくれると思います。
次の章からは「筆者が選ぶ拡大再生産系おすすめボードゲーム6選」ということで、ボードゲームを6作品紹介したいと思います。
比較的簡単で手軽に遊べる軽量級ゲームから、程よいプレイ時間で満足度もある中量級。
そしてじっくりと腰を据えて楽しめる重量級ゲームまで、筆者おすすめの拡大再生産系のボードゲームを重量別に2作品づつ紹介していきます。
3.拡大再生産系おすすめ「軽量級」ボードゲーム
①ハピエストタウン
自分の街の施設が生み出す定期収入(お金)を上手く使って、より良い街にするために施設を購入していき、他の誰よりも幸せな街を作るのが目的です。
あなたは市長となって、建物を建ててお金を稼ぎ、稼いだお金で更に建物を建てて、自分の街を発展させていきます。
あなたの作る街がしあわせかどうかは、作り上げた街の「人口×幸福度」で決まります。
自分の手番では、建物や施設名が書かれたカードを1枚購入し、自分の街に配置するだけの簡単なルールです。
カードには、購入に必要なコストと、定期収入、勝利点に関係する人口や幸福度のいずれか(または複数)が書かれています。
誰かの街にカードが10枚集まったラウンドを最後までプレイしてゲーム終了。
人口×幸福度の合計が最も多かったプレイヤーの勝利です。
かけ算がまだ難しいお子様でも楽しめるように、足し算ルール(人口+幸福度の合計で競う)もヴァリアント(アレンジルール)として提案されています。
誰でも手軽に拡大再生産に触れることができるとても良いゲームです。
「定期収入→施設の購入」で、次ラウンドの定期収入を増やしたり、勝利点を増やすという部分が拡大再生産ポイント。
収入が無いと施設は買えないが、収入が多くても勝利点は増えない。
シンプルなジレンマと拡大再生産が楽しめます。
②街コロ
各プレイヤーの街には「麦畑」と「パン屋」があります。
この小さな街を大都市へと発展させていくのがゲームの目的です。
自分の街を発展させるためには「駅」「ショッピングモール」「遊園地」「電波塔」といったランドマークの建設が必要不可欠となっています。
いち早くランドマークを建設し、大都市を作り上げるのはどのプレイヤーでしょうか。
手番ではダイスを振り、ダイスの出目に対応した施設を所有していれば、その施設からコインを受け取ることができます。その後、施設を1軒まで(パスもできる)購入し、自分の街に加えます。
最も早く決められた数のランドマークを建設できた人の勝利です。
「ある施設Aを持っていると別の施設Bから受け取れるコインが増える」というような相互作用を発見し、利用できるかがポイント。
同じ施設を複数自分の街に配置することもでき、そうすることで施設に対応する出目が出れば受け取れるコインは大きく増加します。
ダイス運の比重が大きいので、ライトなプレイヤーも気軽に楽しむことができます。
ランドマークを最速で建設することが目的なので、過剰にコインを生み出す必要はあまりありません。(コインが溜まっていくと気持ちは良いですが・・・)
適度なバランスを見極めながら自分の街を拡大することができるかどうか、一歩進んだ拡大再生産を楽しむことができます。
4.拡大再生産系おすすめ「中量級」ボードゲーム
③宝石の煌き
プレイヤーは商人ギルドの長となり、様々な方法で宝石や黄金を獲得し、これらを消費して発展カードを購入。最終的には威信ポイントを多く集めより栄光と名声を獲得することを目指すゲームです。
プレイヤーが手番でできることは「宝石トークンの獲得」「発展カードの獲得」「発展カードの確保」の3つです。
宝石トークンは最大10個までしか持つことができないため、コストの高い発展カードを得るためには低コストの発展カードを獲得して「仮想トークン」を集める必要があります。
(宝石トークンを支払うことなく、その宝石を支払ったものとすることができる ※1枚に付き1個分)
獲得した発展カードやボーナスタイルに書かれている勝利点が15点を超えたプレイヤーが現れたら、そのラウンドを最後までプレイしてゲーム終了です。
最終的に最も多くの勝利点を集めていたプレイヤーが勝利します。
宝石のほかにも「黄金」と呼ばれる、いわゆるオールマイティー扱いのトークンが存在します。
これを獲得するには「発展カードの確保」アクションを実行しなければなりません。
最初の内は『とりあえずたくさん宝石をとろう』と考えて確保は無視しがちですが、カードを確保しつつ黄金トークンを得ることが大事な場面もあります。
獲得した発展カードは失われることがない「宝石」と考えます。
これを複数集めることでよりコストが大きいカードを獲得したり、宝石を支払うことなく発展カードを得ることも可能です。
発展カード1枚につき拡大される宝石は1種類1個だけと微々たる物ですが、じわじわと大きく広がっていく様を体感できます。
宝石の煌きの発展カードは、イラスト自体がフレーバーとなっています。
鉱山への投資、航海、優秀な職人の雇用…。
どんな物語が広がっているのか想像して、想いを馳せてみるのも良いでしょう。
ゲーム終了時には自分がどんなカードを獲得していたのかを比べあい、商人としての生き様はどんなものだったか話しあう…なんていうのも楽しいかもしれません。
④ギズモ
今年もギズモ開発の大きな発表会が迫ってきました! はたしてあなたは最高のギズモを作り上げ、今度の学会で大賞を獲得できるでしょうか?
このゲームの目標は、さまざまなエネルギーとそれを利用する装置を組み合わせたエンジンを発明し、さらにそのエンジンを組み合わせた『ギズモ』を作り上げることにあります。(アークライト製品ページより)
ギズモはエネルギー生成器から排出される4色のカラフルなエネルギー球と装置を組み合わせて、夢の機関(エンジン)「ギズモ」を開発し、ギズモ開発発表会で大賞受賞を目指すゲームです。
手番になったら「格納・ピック・構築・研究」の4アクションから1つを選択し、選択したアクションを実行します。
基本的にはこれだけなので、アクションの内容さえ把握していれば特に難しい部分はありません。
装置を「構築」すると、装置に対応したアクションが徐々に強化されていくのですが、装置を構築するためにまずはエネルギーが必要です。
エネルギーを得るには「ピック」を行なう必要がありますが、ピックしてきたエネルギーは持てる数に上限があります。
この上限を増やすためには装置の構築が必要で…と、こんな風に大変悩ましい状況からゲームはスタートします。
各々が理想の機関を思い描きながら、誰よりも早く4つめのレベル3装置を開発するか、16の装置を開発したら、ゲーム終了。
ゲーム中に装置を起動させることで得られる得点と、装置自体の得点を合計して、最も多くの得点を獲得したプレイヤーの勝利です。
アクションを実行する際に、そのアクションに対応する装置が開発されていればアクションの効率を向上させることができます。
どのアクションも最初は大したことができないのですが、装置を開発していくことで見違えるようなアクションになっていきます。
如何に効率よくアクションを行なうか、そのためにはどんな装置とエネルギーが必要かに頭を悩ませるのが苦しくも楽しいゲームです。
そしてもう1つの見所はエネルギー生成器!
エネルギー生成器からはガチャガチャのようにカラフルなビー玉が排出されてきます。
ここからエネルギー球を取っていくのですが、なんともいえないワクワク感を感じさせてくれるとてもよいコンポーネントです。
装置の構築によって、徐々にアクションが強化されていくのが楽しいですね。
実際はアクションだけでなく、エネルギーを保持しておく上限が増える装置やエネルギーの効率を良くする装置などもあります。
如何に無駄なく効率の良い「ギズモ」を作れるかが腕の見せ所です。
5.拡大再生産系おすすめ「重量級」ボードゲーム
⑤ニューフロンティア(レース・フォーザ・ギャラクシーシリーズ)
ジャンプドライブの発明以来、コロニーは新たな世界への拡大が可能になり、誰もが帝国を夢とするのだ……
『ニューフロンティア』では、プレイヤーは技術を発展させ、新たな世界を探査して移住し、
製品を生産してクレジットや勝利ポイントのために交易する。
最も素晴らしい国家をその手にできるだろうか? (ホビージャパン製品ページより)
ニューフロンティアは、自分だけの銀河帝国を築く惑星開拓をモチーフにしたボードゲームです。
プレイヤーは7種類あるアクションから1つを選択し、帝国の強化を行なったり、新たな惑星の発見や開拓をして、最も偉大な帝国を築いていきます。
選択されたアクションは、全てのプレイヤーが順番に実行できます。
この時、アクションを選択したプレイヤーだけは、実行するアクションに少しだけボーナスが付きます。
他のプレイヤーにうまく相乗りをしたり、自分だけが得をするようにアクションを実行したりして、自分だけが有利になるにはどうしたらよいかを見極めることが重要です。
4種ある終了条件のどれかが満たされると、そのラウンドを最後までプレイしてゲーム終了です。
勝利点を全て合計して、最も多くの勝利点を集めたプレイヤーが勝利します。
開始時に配られる初期ワールドは、プレイヤーによって異なります。
それに加え、ゲーム中に獲得した「ワールド」や「デベロップ」によって、得意な戦略やできることが大きく変わるので戦略を考える楽しみがある。
獲得したものを上手く運用して、「コンボ」を発生させることができるかどうかも大きなポイントとなってきます。
他のプレイヤーの動向を良く見て、考えを読むことができれば相手との差を大きく開くことができるでしょう。
「資源生産→お金(クレジット)変換」をして、新しいワールドやデベロップを獲得していく感じです。
ワールドやデベロップが増えると、それ以降できることが増えたり、コストを軽減したりと様々な恩恵が得られます。
自分の帝国がだんだんと強化されていく様子が上手く表現されています。
コンポーネントも素敵なので、その点にも注目したい一作です。
レース・フォー・ザ・ギャラクシー』
Rio Grande Games / ホビージャパン
プレイ時間:45~75分
(ショートゲームルールあり)
プレイ人数:2~5人
対象年齢:14歳~
AMAZON商品ページ
⑥ル・アーブル
街と港の物語「ル・アーブル」
ル・アーブルはフランスで2番目に大きい港町。このゲームは、港に届く様々な商品を、街やプレイヤー所有の施設で加工して交易しながら、ゲーム終了時所持しているお金、船、建物などの財産を最も多く所有しているプレイヤーが勝利となります。
ただし食料の確保がキーとなり、毎ラウンド終了時の収穫で農産物を入手して、従業員を扶養しなければなりません。
たくさんの建物が登場し、その出てくるタイミングや組み合わせ、さらに毎回少しずつ出てくる「特別の建物」の使い方によって、プレイするたびにゲームの展開が毎回異なるのも、このゲームの魅力となっています。(ホビージャパン製品ページより)
ルアーブルは実在するフランスの港町を舞台にした、重厚な拡大再生産を体験することができるボードゲームです。
建物の効果を使用して集めた資源を加工や販売して、建物の建築や船を造船して資産を増やしていくゲームです。
手番でできることは「供給スペースに置かれた資源を全て取る」か「場の建物を1つ選択して使用する」のどちらかです。
供給スペースの資源は誰かの手番が訪れるごとに何かしらの資源が補充されていきますので、タイミングよく資源を入手しましょう。
場の建物を使用する場合、自分の建物なら無料で使用できますが、街および他プレイヤーの建物だった場合は使用料を支払う必要があります。
最終的に自分の建物や船、現金の合計が最も多く裕福なプレイヤーがゲームの勝者です。
ゲーム中ラウンドが変わる場合食料を支払う必要がありますが、ここで食料が不足している場合、建物や船を売るか借用書を受け取らなければなりません。
これはゲーム終了時まで持っていると大きなマイナスになってしまうので可能な限り終了までに返済を済ませましょう。
また、「ル・アーブル(港)」と呼ばれているだけあって、船なしでの勝利はありえないとルールブックに記載があります。
船の建設は資産になるだけでなく、なぜか食料支払い時の必要料軽減の効果もあるのでしっかり船を建設していきましょう。
拡大再生産ポイント
建物と船の建設により、できることが増えていきます。
アクションの種類は大分して2つだけですが、「建物を使う」の選択肢が建物の数だけあるというのが考えるポイント。
ソロプレイやショートルールもあるので重めの拡大再生産に触れてみたい方や、これまでに紹介してきたゲームでは物足りないという方におすすめです。
Lookout Games / ホビージャパン
プレイ時間:100~200分
(ショートゲームルールあり)
プレイ人数:1~5人(5人プレイ非推奨)
対象年齢:12歳~
AMAZON商品ページ
6.あとがき
どういったボードゲームが拡大再生産と呼ばれているのか、また、どんなことをすると拡大再生産と呼べるのか、なんとなく把握することは出来たでしょうか?
アクションRPGのように複数のジャンルが混ざっているもの(ダイスゲーム+拡大再生産など)もあり、その比率次第で人によって意見が変わるかもしれませんが…。
今回の記事を皮切りにタイトルだけではなくジャンルにも目を向けていただけると、皆様の楽しいボードゲームライフも広がって行くのではないかと思います。
過去に私が執筆した紹介記事の中にも拡大再生産の要素が組み込まれているボードゲームがありますので、よろしければ読んでみてください。
専用ダイスが130個!? バッグのダイスをビルドする戦略的運ゲー『クォーリアーズ』
ダイス2個振りゃキングダム『ヴァレリアキングダム』
GM2018秋で買ってきたもの紹介 <ハピエストタウン第2版>
画像出典
・AMAZON(https://www.amazon.co.jp/)
・ホビージャパン(http://hobbyjapan.games/)
・アークライトゲームズ(https://arclightgames.jp/)
ゼクシオンと読みます。(@Boardgameguild)某ねずみの王様が登場するゲームのキャラクターからとりました。ぜっくんって呼んでね!
群馬県館林近辺で仲間とともに「館林たぬきゲーム会」というボドゲ会の主催しています。最近は「たぬきつね工務店」というサークル名でゲムマとかにも出展し始めました。どちらも良きライバルであり協力者である「みこめくん(@mi_comments)」、後方支援の「BEEさん(@MaskedriderBee)」。その他大勢の協力により成り立っています。
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