ボードゲーム遊び方紹介 “スピンオフ” ミステリ・ザ・サード体験記 その4
ボードゲーム遊び方紹介 “スピンオフ” ミステリー・ザ・サード体験記 その1はこちらから。
体験記も今回で最終回です。
遊井かなめさんはトンデモ推理、天祢涼さんはエレガント推理、私は直感で謎解きを進めていきました。
遊「だから、サルモネラ菌が怪しいんですよ」
の「あ、解けたよー!」
天「犯人、誰?」
の「この暗号が解けた」(ドヤ顔)
遊「そこはみんなすでに解いていますから」
私はかなり遅れていました。しかも、ほかの方々はちゃんとした根拠があるのに、私の場合は、眺めていたらなんとなく伝わってきたという……。
の「でもって、犯人はこの人だと思うのだ」
天「どうやって導き出しました?」
の「直感。理由などない」
遊井さんは別の犯人説を、筋道立てて説明しました。
遊「このトリックは有名なアレを使っています。それが可能なのは、この人しかいません」
の「それだ!」
天「でも、絵的に美しくない」
天祢涼さんは日ごろの編集チェックを気にしています。
の「やっぱり動機からだよねー」
遊「誰が犯行可能かを考えるのであって、動機は関係ないんじゃ……」
の「じゃあこの人だよ。動機がないもん」
天「ありえないって! 登場しているから名前を載せているだけだって!」
遊「先ほどの回答ではあっさりしているので、私はサルモネラ菌から考え直します」
(衆人環境の中でこの事件を起こすなら、このトリックはあり。そうすると、第二の事件に結びつかない)
私はありえないと言われた人たちを外し、残った人が犯人だったらと仮定して、第二の事件から解き始めました。でも、たどり着けません。手がかりの見落としがあるはずなのですが、それが何なのか分かりません。
タイムリミットはどんどん迫ってきます。
ここは崖の上じゃない。クローズドサークルでもない。だから、自分は死なない。両隣で推理しているミステリ作家と評論家兼編集者も死なない。
だから、正解できなくたっていいではないか。
プライドも何もかも投げ捨てて、こじつけ推理で解答欄に記入をしていきました。
解決編は、死体となった役者さんも生き返り、再現劇が行われました。
私が解けたのは、第二の事件のごく一部のトリックだけ。気になっていた食材は物語全体の伏線の一つだったので、直感も当たるものなのだなと思いました。
表彰は社長の城島和加乃さんから発表されました。犯人を当てるだけではなく、トリックもすべて解けたら100点満点。3位の方から豪華な景品が用意されています。
満点の方はいませんでしたが、1位の方はかなり高い点数だったと記憶しています。ちなみに、その方は同じテーブルで、序盤で「◯◯◯線で来た人」と聞かれたときに手を挙げていらした方でした。
帰りは役者さん全員がお見送りしてくださいました。いちこちゃんからは「いっぱい絡んじゃってごめんね」と言われました。とっても楽しかったのでいいのです。
全滅だった私たちは、近所の喫茶店で反省会をしました。
天祢さんから一言。
「同じテーブルの方々、サルモネラ菌に惑わされたそうですよ」
実は大正解だった遊井さん。
イーピン企画さん、天祢さん、遊井さん、とても楽しい半日をありがとうございました。
ぜひリベンジしたいです。
1973年生まれ
作家。2007年に宗形キメラ名義で二階堂黎人との合作『ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子』で作家デビュー。2009年には『マーダーゲーム』で単独デビュー。近刊は「少女ティック 下弦の月は謎を照らす」(行舟文化)
ボードゲーム好きで『人狼作家』の編集も手がけ、羽住典子名義でミステリ評論活動も行っている。
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