ボードゲーム遊び方紹介 第3回 “QUARTO”
ボードゲーム遊び方紹介 第1回 “どうぶつしょうぎ”はこちら。
ゲームが大好きなのに、ほとんど勝ったことがありません。
そういった方に向けて、勝敗よりも内容そのものを楽しめるボードゲームを、本記事では紹介していきます。
第3回目は、フランスで発売され、世界各国でゲーム関係の賞を受賞しているQUARTO(クアルト)です。
QUARTOは、簡単にいうと、四目並べです。
盤は4×4マス。コマはマス目の数と同じく、全部で16個あります。
特徴は、薄茶色と濃い茶色、形は丸と四角、高さが高いものと低いもの、穴が空いているものと空いていないものと、まったく同じコマはありません。すべてバラバラです。
プレイヤーはコマを交互に盤上に置いていき、縦、横、ななめ、どれか一列に同じ特徴のコマを揃えられたら、そのプレイヤーは「クアルト!」と声高々に勝利宣言。ゲームは終了になります。
勝利条件は、薄茶色あるいは濃い茶色を4つ、丸か四角を4つ、高いものか低いものを4つ、穴が空いているかいないかで4つの、どれか一つを並べるだけです。例えば、薄茶色を4つ揃えた場合、丸・四角・低い・穴空きと、ほかの特徴はバラバラでも構いません。
意識せずに、たまたま揃ってしまうケースもあります。その場合は、プレイヤーたちが気付いていないことも少なくありません。
もしも自分の手番で見落としてしまったら。相手が気付いた場合は、次のターンでは何もせずに「クアルト!」と言って、ゲームを終了させます。もちろん、勝利者は気付いたほうになります。2人とも気付かなかった場合は、そのままゲーム続行となります。
囲碁や将棋、オセロ、チェスと2人で行うボードゲームは、幅広く知られております。これらのゲームは手持ちのコマを使っていきます。
ですが、QUARTOは、コマを持たずに始めます。これが、ほかのゲームとは異なるもっとも大きな特色です。
それでは、どうやって遊ぶのでしょうか。
まず、ジャンケンなどで先手と後手を決めます。次に、先手は相手にコマを渡します。後手はもらったコマを盤上のマス目のどこかに置きます。手持ちのコマをトレードするわけではありません。相手からもらったコマを、いかに有効に置いていくかが、勝敗の鍵になります。
初心者同士の場合、序盤は、そんなに深く考えず、なんとなく置いていったので大丈夫です。端からでも中央部からでも、好きな場所に置きましょう。
問題は、あと一手で4つ揃うとき、つまりリーチがかかったときです。
濃い茶色・四角・高い・穴なしコマ、濃い茶色・丸・高い・穴空きコマ・濃い茶色・丸・高い・穴なしコマが3つ並んでいたとします。
この場合、あと一手で「クアルト!」になります。自分が相手にコマを渡すとき、濃い茶色と背の高いコマは渡せません。いえ、正確には渡せるのですが、その時点で相手が4つ揃えられると気付いたらゲームセットです。
なので、その手番のプレイヤーは、濃い茶色と背の高いコマ以外のコマを選ばざるを得ません。リーチ状態になると、ゲームはだいたい5~6手まで進んでいます。したがって、コマの数も少なくなってきています。どれでもいい状態よりは選択肢が少ないぶん、楽になっているかもしれません。
相手がどのコマを渡してくるのか分からないから、勝利条件には運と機転の効かせ方が大きく関わってくるでしょう。最初は直感的に、慣れてきてからは数学の確率を応用し、計算から4つ並べられる術を見出だせそうです。
ちなみに、私はこれまで勝ったことがありません。どうも相手に有利になるコマを渡してしまう傾向があります。どうも、並べることができないコマはないかと探す消去法が苦手なようです。
ルールには反しますが、複数人で2チームに分かれてみんなで考えるという楽しみ方もできます。
発売元は、いろいろな脳トレゲームを手がけるフランスのGigamic社。おしゃれなデザインのボードゲームに力を入れてもいますので、ちょっとしたインテリアにもお勧めです。
1973年生まれ
作家。2007年に宗形キメラ名義で二階堂黎人との合作『ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子』で作家デビュー。2009年には『マーダーゲーム』で単独デビュー。近刊は「少女ティック 下弦の月は謎を照らす」(行舟文化)
ボードゲーム好きで『人狼作家』の編集も手がけ、羽住典子名義でミステリ評論活動も行っている。
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