ボードゲーム遊び方紹介 第1回 “どうぶつしょうぎ”
ゲームは好きだけど、強くない。
そんな人は、意外と多いのではないでしょうか。
いろいろな種類を試してみたいけれど、弱いからと、なかなか一歩を踏み出せない。
かくいう私が、そういったタイプであります。
なので、本記事では、勝つコツというよりも、ゲームを始めるきっかけになってくれればいいなあと思って、いろいろなボードゲームを紹介していきます。
対面式で行うボードゲームは、ルールが分かっていれば、どんな人とも一緒に遊ぶことができます。
年齢、性別、職業など、相手の属性は関係ありません。共通項はゲームだけ。お互いのことは何も知らなくても、長く付き合っていくこともできます。
人間のつながりが薄い。そんな風潮を吹き飛ばすサポートができたらいいなあと思っています。
第1回は、どうぶつしょうぎです。
どうぶつしょうぎは、幅広い年齢でも将棋が楽しめるようにと、2人の女性プロ棋士さんが作りました。
本将棋盤の9✕9の81マスに対し、どうぶつしょうぎの盤面は、3✕4の12マス。将棋に慣れた大人には、とても小さく感じるかもしれません。
駒も、ライオン、キリン、ゾウ、ヒヨコと、たった4種類です。正方形の駒の周りには、赤い丸印が付いています。これは、駒の進める方向を示しています。
百獣の王・ライオンは、王将と同じ役割です。縦横斜め、自由に移動できます。
ヒヨコは歩兵のように、前に1マスのみ、進められます。相手の陣地に入ったら、駒をひっくり返して、ニワトリに成長します。ニワトリは金と同じ役割で、斜め後ろ以外の6マスに進められます。
並べ方は、足を自分のほうに向け、キリンが真ん中。その両側を、ゾウとキリンが向かい合わせになるように置きます。ヒヨコはライオンの前に立ちます。
パステルカラーの明るい盤面に、ゆるキャラみたいな動物たちが並び、自分の仲間を増やして相手のライオンを追いかけます。本将棋はデザインを変えると、どうぶつたちの鬼ごっこに変身できるのです。
さて、さっそくゲームを試してみました。
流れは、自分、相手、自分と交互に打っていきます。
最初に動かせる駒は、前に進めるヒヨコとキリンとライオンです。
私は、まずヒヨコを一歩動かし、相手のヒヨコを取りました。すると、ライオンが斜めに回ってきて、私のヒヨコの隣に立ちました。次に、ゾウを斜めに動かして、王手。だけど、ライオンは横に入り、私のヒヨコを取ってしまいました。
こんな形で、一歩ずつ、前に進んだり、後ろに下がったり、斜めに飛んだりと進んでいき、早いとだいたい20手くらいで勝敗が決まります。
実は、私は、将棋をやったことがありません。決まり事を覚えるのが苦手なので、なんとなく敬遠していました。
なので、まったく初めての将棋ゲーム。
最初の10局ほどは、とにかく負けていました。でも、相手の出方を見て、自分の仲間を動かしていくという発想で、どうにか勝利できるようになりました。
なかなかうまくいきませんが、とにかく相手の駒を取っていき、一番強いライオンを残すようにすると、勝つコツをつかみやすくなるかもしれません。
盤も小さめで駒数も少ないので、盤上の全体像をすぐに把握できます。短時間で済むので、どんどん次の局、次の局と、気が付いたら時間が経っていました。
対象年齢は3歳以上。まだ字の読めない小さな子供でも、将棋に親しむことができます。座って人と向き合って、開始と終了で挨拶をするという流れは、障害を持つ子供たちの発達支援にも役立っているそうです。
奥が深いと大人にも大人気で、どうぶつしょうぎカフェ「いっぷく」というお店も東京都江東区にできたばかりです。スマートフォンアプリにもなっているので、ちょっとした休憩時間に、ぜひいかがでしょうか。
1973年生まれ
作家。2007年に宗形キメラ名義で二階堂黎人との合作『ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子』で作家デビュー。2009年には『マーダーゲーム』で単独デビュー。近刊は「少女ティック 下弦の月は謎を照らす」(行舟文化)
ボードゲーム好きで『人狼作家』の編集も手がけ、羽住典子名義でミステリ評論活動も行っている。
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