5分でわかる!今の遊戯王ガチ環境 2022年7月 ~リミットレギュレーションによる影響~
こんにちは!主に関東圏にて遊戯王OCGをプレイしているぽとふと申します。2014年頃から本格的に遊戯王のCSに出始め、今も現役で競技目線で取り組んでいます。
今回は、2022年7月に施行された、リミットレギュレーション(制限改訂)について書かせていただくこととなりましたので、チェックしてみてください。
目次
禁止カード
まずは禁止カードを確認していきましょう。どれも環境に大きな影響を与えるカードです。
餅カエル
【スプライト】の展開の終着点が禁止カード指定を受けました。登場から間もないテーマの切り札が直後の制限改定で規制を受けるのは珍しく、これまでの活躍がよほど危険視されたのだと感じました。
しかし、圧倒的な一強デッキという印象はなくなったものの【スプライト】デッキの勢いは依然強いままです。餅カエルで固定化されていた着地点にバリエーションが出ているのは良い変化のように思います。
一例として流行の【イシズティアラメンツ】をほぼ詰みに持っていける《双穹の騎士アストラム》(《I:Pマスカレーナ》経由で相手ターンに出す)+《虹光の宣告者》や、《ギガンティック・スプライト》に《ユニオン・キャリアー》で《破壊剣ードラゴンバスターブレード》を装備してエクストラデッキの展開を封じるプランがあります。今後画期的な展開方法を見つけるのは今この記事を見ている皆さんかもしれません。
トーナメントシーンでよく見かけるデッキとは言い難いものの、【海晶乙女】デッキは強力なオプションを失うことになりました。
※余談ですが、先月私が執筆した記事にも影響がありました。
『5分でわかる!今の遊戯王ガチ環境 2022年6月 『スプライト、ティアラメンツ、エルドリッチ』』
水晶機巧 – ハリファイバー
《捕食植物ヴェルデ・アナコンダ》に続き、特定の召喚方法を補助する汎用リンクモンスターが禁止カードに。
【天威勇者】等のいわゆる「アウローラドン展開」を軸としていたデッキは軒並みその優位性を失うことになりました。②の効果を活用して相手ターンシンクロで戦うデッキの中だと、【魔術師】や【セフィラ】、【P.U.N.K.セリオンズ】等も弱体化は免れないでしょう。
禁止カードの《サモン・ソーサレス》や《リンクロス》、前述の《幻獣機アウローラドン》が控えていることで初めて《水晶機巧ーハリファイバー》が悪用されているという構図になるので、いつか《幻獣機アウローラドン》の禁止化と入れ替わりで制限復帰するであろうと勝手な予測をしています。
虚無空間
煮え湯を飲まされたデュエリストも多いのではないでしょうか。素直に喜べる良改定ですね。
ただ、現状環境トップシェアの【スプライト】や【ティアラメンツ】系統のデッキは攻撃力の低いモンスターを場に残したり相手のターン中に自分のデッキからカードを墓地に送ったりする都合、《虚無空間》との相性が良くありませんでした。環境トップに追随するデッキの側に痛手となってしまっている事実は、環境を良くするという意味では「今じゃない」という評価になるのかもしれません。
相手の行動を制限する永続罠で、代わりのポジションに入ってきそうなのは《サモンリミッター》でしょうか。対戦するデッキによっては刺さりが悪いケースも考えられますが、効果適用下でも自身が少しだけ行動できることや、《虚無空間》よりも【ふわんだりぃず】に有効な点で差別化されます。
制限カード・準制限カード
テーマデッキの安定性を高めていたカード群は、制限カード・準制限カードになった印象があります。
烙印開幕、烙印融合
前回の改訂で準制限カード指定を受けた《烙印開幕》が更に枚数を減らされ、ついに《烙印融合》も準制限カードになりました。《デスピアの導化アルベル》や《悲劇のデスピアン》を経由して《デスピアの導化アルベル》をサーチできた《おろかな埋葬》を合わせても、【デスピア】の初動枚数は安定に足る数字ではなくなりました。少なくとも今までと同じような構成での純正構築は難しくなったと感じます。
次弾でアルバスストーリー関連のカードの登場も決まっており、それら新規カードを取り込む、【ティアラメンツ】やその他の融合テーマのオプションとして共存を目指す等、新たな選択を迫られているタイミングです。
ふわんだりぃずと謎の地図
【ふわんだりぃず】も【スプライト】の台頭を主な要因として、一時的に分布が減ったデッキでした。【ティアラメンツ】の勢いが増し《幽鬼うさぎ》を見かけなくなって「さあ!これから【ふわんだりぃず】の時代だ!」と思った矢先のキーカード準制限化です。
とはいえ《ディメンション・アトラクター》を無理なく採用できることや《ふわんだりぃず×えんぺん》や《烈風の結界像》の拘束力等、明確な利点は多くあります。安定感のある構築の作り込みや大会の分布予測など、プレイ以前に考えるべきことも多いデッキです。玄人向けのデッキを使いたい方は、チャレンジしてみるのも良いのではないでしょうか。
イーバ
主に【竜輝巧】のキーカードとして長く活躍してきました。2枚採用して自分・相手のターンで2度効果を使い合計4枚の天使族モンスターをサーチすることで、《崇光なる宣告者》や《神光の宣告者》の効果発動回数を増やす使い方です。今回制限カードとなったことで従来の展開は不可能になり、【竜輝巧】は構築の改変を余儀なくされています。
デッキ単位で《剣神官ムドラ》や《宿神像ケルドウ》の②の効果が直撃すること、手札誘発の採用枚数が多い環境だったことで元から母数は減っており、【竜輝巧】ユーザーたちがどのような改変を加えてくるのかは続報が待たれます。
制限が緩和されたカード
ここからは規制緩和されたカードです。
サンダー・ボルト
目玉はついに3枚投入できるようになった《サンダー・ボルト》です。モンスター除去性能としては最高レベルのパフォーマンスを誇ります。
とはいえ、相手のモンスターを無力化する点において、似たような役割である《冥王結界波》や《月女神の鏃》にはモンスター効果をチェーンできない効果があり、安定性という点では《サンダー・ボルト》は劣ります。
勿論、効果が無効にされなかった時の、全体破壊というリターンは大きいですが、相対的に見て、環境で一番評価の高い除去カードにはならないだろうと分析します。
《サンダー・ボルト》は【スプライト】デッキに対して使うのも【スプライト】デッキ自身が使うのも強いカードです。《冥王結界波》や《月女神の鏃》で、モンスター効果を無効にしたり、並んだモンスターのうち何体かを処理したりしても、《スプライト・スマッシャーズ》の妨害に屈するケースは多いでしょう。
ただ《サンダー・ボルト》なら《スプライト・スマッシャーズ》まで同時に発動不能にできますし、《冥王結界波》を発動されても装備カードとして場に残る《破壊剣ードラゴンバスターブレード》も解決してくれます。
また、前回の記事(5分でわかる!今の遊戯王ガチ環境 2022年6月 『スプライト、ティアラメンツ、エルドリッチ』)で【スプライト】はワンターンキルが成立しづらいのが欠点だとお話ししましたが、最近は《スプライト・ガンマ・バースト》が採用されることがほとんどです。
メインデッキに《サンダー・ボルト》3枚と《スプライト・ガンマ・バースト》を投入した構築が大型の非公認大会で優勝しており、現実味のあるプランとして既に世に出ています。
反面【ティアラメンツ】系統のデッキには刺さりが悪いでしょう。特にシャドールの入っているタイプは主妨害が《エルシャドール・ミドラーシュ》であるためほとんど刺さりません。分布の変遷に伴い採用率の変動が激しいカードになるでしょう。
龍相剣現
【相剣】デッキは、動きの再現性、自由枠の多さ等、高いミッドレンジ適性がベテランプレイヤーたちに好まれました。【相剣】デッキの、1枚初動はこのカードから【相剣士ー泰阿】をサーチする動きだけであり、事故と隣り合わせの【相剣】にとって、この緩和は朗報といえます。
調弦の魔術師、雷獣龍ーサンダー・ドラゴン、オルフェゴール・ディヴェル
また、10期遊戯王OCGの中心を担ったデッキのキーパーツが一斉に無制限カードになりました。
とはいえ【魔術師】は未だに制限カードが多くある上に、今回の改訂で《水晶機巧ーハリファイバー》を失いましたので、全盛期とは程遠いです。
【サンダー・ドラゴン】は《雷鳥龍サンダー・ドラゴン》が制限カードになったとはいえ、環境デッキにはなりえないでしょう。
【オルフェゴール】も《オルフェゴール・ディヴェル》が緩和されましたが、《トロイメア・マーメイド》が禁止カードでどうしても全盛期と同じとまではいきません。
まとめ
今回の禁止カードで最も注目なのは《水晶機巧ーハリファイバー》でしょう。長年、多くのプレイヤーに使用されてきたカードなので影響は大きく、現在《水晶機巧ーハリファイバー》の代わりとなるカードを模索しているプレイヤーも多いでしょう。大量展開のための潤滑油がなくなったことで、大きく遊戯王の競技環境は変化するでしょう。
緩和されたカードたちが、影を潜めていた間に、遊戯王のカードプールは激変しています。緩和されたカード&テーマを駆使して、環境に風穴を空けるデッキは現れるでしょうか。個人的には、古くからの使い手のプレイヤーたちの活躍に期待したくなるリミットレギュレーションになりました。
ぽとふ(@urami_yugi)と申します!
2014年頃から本格的に遊戯王のCSに出始め、今も関東地方で活動中です。
セレーネをリンク召喚した回数とチキンレースでドローした回数では誰にも負けません。ドロールが苦手なデッキをよく使います。
よろしくお願いします。
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