【カルカソンヌ マニアックス】 スタンダード版の種類やルールの違いについて徹底解説!
目次
はじめに
「ボードゲームのカルカソンヌ」と聞いてあなたはどのカルカソンヌを想像しますか?
- 旧版(初版/オリジナル)?
- 日本語(J)版?
- それとも、いずれかの記念版??
色々な種類が発売されていて、「どう違うのかわからない!」と思っていませんか?
安心してください。
筆者もそう思いました。
カルカソンヌを種類別に徹底比較
筆者のように「カルカソンヌの種類について知りたい!」と言う方のために、それぞれのカルカソンヌがどのような仕様になっているのか、簡単にまとめてみました。
カルカソンヌ基本セット
これさえ買えば今すぐにでもカルカソンヌを遊べる!そんなカルカソンヌの基本セットを発売順に歴史を追って紹介していきます。
カルカソンヌ 旧版(2000)
便宜上「旧版」と書いていますが、初版やオリジナル、無印など様々な呼ばれ方をしています。
カルカソンヌの発売自体は2000年ですが、初めて日本語版として2001年に発売されたものが、この「旧版」です。
タイル72枚
ミープル40個
ポイントボード1枚
ルールブック/チャート
上記のみが入っている一番シンプルでスタンダードな基本セットです。
Carcassonne: The City(ディ・スタッド 2004)
内容は?
残念ながら筆者は現物を見たことがありませんが、いわゆる豪華版のような位置付けのスタンドアローン版カルカソンヌです。発売日は2004年になります。
配置や得点方法などの基本ルールはそのままですが、ゲーム開始前に「枚数の異なるタイルの山」を3つ準備します。
準備した山からタイルを引いていくのですが、どこから引いても良いわけではなく、1つ目の山から順番にタイルを引いていかなければなりません。
1つ目のタイルの山は通常のカルカソンヌ同様のルールで進めます。
2つ目のタイルの山以降は、「壁」と「塔」の要素がゲームに加わり、一味違ったカルカソンヌをプレイすることができます。
出典:BGG
ゲーム終了後の見栄えが良いカルカソンヌです。
本物のカルカソンヌよりも素晴らしい城塞都市を作ることができるでしょうか。
カルカソンヌ 10周年記念版(2011)
2011年に発売された10周年記念版。
英語表記だと「10イヤースペシャルエディション」なので直訳して特別版と呼ぶ場合もあります。
特別なタイル
10周年記念版にはミニ拡張の「フェスティバル」が含まれています。
「10周年記念版に同梱されているミニ拡張」のはずなのに、なぜか「フェスティバル」のみのバラ売りがあったようです。
その影響か、フェスティバルタイルの「10周年記念アイコン」が「15周年記念アイコン」に置き換わったものや、そもそもイラストが異なるもの(ゲーム的な変化はない)があります。
ポイントボード/スコアボード
ポイントボードは、外箱を見てお気づきになった方もいるのではないでしょうか。
なんと、10周年記念版ではミープルの形になっています!!
ミープル形になっただけで、通常のポイントボード同様、しっかりと1周で50点までカウントできるようになっています。
遊び心があってとても良いですね。
ミープルの違い
10周年記念版のミープルは木製ではありません。
画像のように半透明のスケスケミープルが使われています。
特別感が演出されていて、とても良いですね。
タイルに乗せてみても見にくいということは…。
黄色は、少しだけ…
”ほんの少しだけ…”見えにくいかもしれませんね!
日本オリジナル版(カルカソンヌJ/J版 2016)
2016年に発売された日本オリジナル版であるカルカソンヌJ。
タイトルの横に輝く『J』はもちろん「JAPAN」の『J』です。
タイルのデザイン
旧版、10周年記念版は同じイラストでしたが、J版ではイラストが一新されています。
見た目は良いのですが「道」にミープルを置くとき、少しだけしっくりこない気持ちです。
ちょっと曲がりくねり過ぎでは…。
川タイル
ミニ拡張「川」のタイルが同梱されています。
ミニ拡張「TheRiver/川」をゲームに採用する場合、通常のスタートタイルの代わりに川タイル12枚を使用します。
川タイルを使うことで、ゲーム開始時の変化を促し、通常タイルだけの時よりもゲーム終了後の見栄えが良い雰囲気になります。
修道院長ミープル
ミニ拡張「The Abbot/修道院長」の修道院長コマが同梱されています。
以前から地形タイルにあった「修道院」や、新たに何枚かの地形タイルに描かれた「庭園」のタイルを配置した際、修道院または庭園にのみ配置できます。
庭園が描かれたタイルは全部で8枚です。
修道院長コマは疑似的な修道院として機能し、手番で配置したタイルにミープルを置く代わりに回収できるという能力を持っています。
Jだけの特別なタイル
カルカソンヌJだけに同梱されている超貴重なミニ拡張「Japanese Buildings/日本の建物」で使う「名所タイル」が6枚入っています。
このタイルはJだけの特別なタイルで、他の言語版には同梱されていません。
『超貴重』と前述しましたが、実はドイツ版・オランダ版などの、「ルールは同じでイラストが異なるだけのバージョン」が複数あります。
名所タイルを使った「観光」というルールでは、基本の修道院タイルと名所タイルを6枚全て入れ替えて遊びます。
名所に観光へ行ってしまったミープルは、ゲーム終了時まで帰ってこないので、通常ゲーム(修道院入り)の時よりもミープルの残数に気を使う必要があります。
日本語マニュアル
『J』は『JAPAN』の『J』。
というわけで、マニュアルは日本語で書かれています。
J版には、三つ折りのルールブックと、ヴァリエーションルール専用の紙が1枚入っています。
【Jだけの特別なタイル】の項で紹介した画像には英語版のルールが映っているので、それしかないような印象だったかもしれませんが、大丈夫です。
しっかり日本語のマニュアルが同梱されていますよ!
カルカソンヌ 20周年記念版(2021)
2021年に発売された20周年記念版。
こちらは10周年記念版と違い、英語表記が「20thアニバーサリーエディション」となっているので、記念版と呼んでも差し支えないでしょう。
20周年記念版にもJ版同様に「ミニ拡張:川」「修道院長」が同梱されています。
さらに、「ミニ拡張:20周年記念」が追加で同梱されています。
タイルの違い
タイルはこれまでのカルカソンヌとは一線を画すような仕上がりになっています。
わかりやすいように光を反射させて写真を撮ってみました。
おわかりになるでしょうか?
タイルの一部が厚盛ニス加工のような、非常にいい感じの加工が施されています。
これは直接本物を見てもらいたいと思います。
筆者は箱を開けてこのタイルを見たとき「は?え?すげえ!」と思わず口走りました。
タイルのイラストも20周年記念にふさわしい賑やかな雰囲気になっています。
ミニ拡張変更点
20周年記念版に同梱されている「ミニ拡張:川」はJ版とは内容が異なっています。
J版ではミニ拡張の川タイルは12枚しか入っていませんでしたが、20周年記念版では17枚の川タイルが入っています。
20周年記念版で増えた5枚のタイルは、新規収録の追加タイルです。
そして、泉と湖(始点と終点)はそれぞれ1枚のタイルでしたが、泉が2枚分の大タイルになり2方向にタイルが置けるように変更されており、それに伴い湖が2枚になり、都市+道/修道院が付け足されています。
最新版 基本セット カルカソンヌ 21版(2022)
2022年1月に発売された(執筆時点で)最新の『カルカソンヌ21』です。
2021年中に発売予定だったから…なのかはわかりませんが、なぜか21という数字がタイトルについています。
これ以降は次のスタンダードセットが発売されるまで、J版に変わって21版が流通していくことになると思います。
タイルの違い
最新の21版では、イラストが少しだけ変わっています。
どちらかというと20周年記念版に近いイラストです。
徐々に都市が発展してきているようなイラストの変化ですね。
左:J版 右:21版
ちなみに、J版と21版ではタイルの枚数に変化はありません。
※実はJ版のルールブックにはエラッタがあり、ルールブックだけ見比べると枚数表記がおかしくなっています。
流石に21版のルールブックではしっかりと修正されていました。
表記がおかしいだけなので、実際の枚数には影響ありません。
これまでとの違い
比較対象となるJ版との決定的な違いが2点あります。
1つめは、ミニ拡張「Japanese Buildings/日本の建物」が入っていません。
どうしてもこの拡張が欲しい場合はJ版を探す必要があります。
2つめは、ミニ拡張「川」のスタートタイル(泉タイル)が異なります。
それぞれ、右下にあるタイルがスタートタイルです。
よく見るとイラストが異なっており、21版には道が追加されています。
道が付いたことでゲーム性にも変化が起きそうですね。
カルカソンヌ 霧に浮かぶ亡霊(2023年2月発売)
2023年2月、カルカソンヌの最新作が発売されました。
本記事の執筆当時、最新版は『カルカソンヌ21』でしたが、新しいカルカソンヌが発売されましたので追記したいと思います。
発売されたカルカソンヌは『カルカソンヌ 霧に浮かぶ亡霊』というタイトルです。
副題が長くて読みにくいので、筆者は勝手に『オバケソンヌ』と名付けました。
…どこかに同じ感性の人がいることを信じています。
地形タイル60枚
犬2枚
目標タイル1枚
スタートタイル1枚
オバケコマ15個
ミープル(番人ミープル)6色各5個
得点ボード1枚
レベルチャートボード1枚
説明書2部
同梱されているミープルは通常の形状ではなく、手に何か持っているような不思議な形になっています。
このセットのみで遊ぶ場合は単にミープルと呼びますが、拡張セットとして利用する場合は「番人ミープル」と呼ばれます。
また、1~5人プレイにも関わらず、なぜか6色目が入っています。
好きな色が選びやすくなりますね!
■『カルカソンヌ 霧に浮かぶ亡霊』は拡張セット?独立セット?
『カルカソンヌ 霧に浮かぶ亡霊』は、拡張セットであり、独立したセットでもあります。
基本セットのカルカソンヌと組み合わせれば拡張セットとして遊ぶ事ができ、霧に浮かぶ亡霊単独で新しいルールのカルカソンヌとして楽しむこともできます。
どっち?と聞かれた場合、「両方です」と答えることになりますね。
■『カルカソンヌ 霧に浮かぶ亡霊』はどんなゲーム?
・単独で遊ぶ場合
カルカソンヌ初の「協力ゲーム」として楽しむことができます。
タイル配置などの基本的なルールはカルカソンヌのままなので、カルカソンヌを知っていればすぐに馴染むことができます。
カルカソンヌを知らなかったとしても、手札などの見えない要素がないタイプの協力ゲームなので、気軽にプレイできると思います。
・拡張として遊ぶ場合
拡張として遊ぶ場合は、新要素である「亡霊(霧)・城・墓地」のルールが追加されますが、協力ゲームではなくなってしまいます。
これまでのカルカソンヌ同様に「得点を最も多く集めた人が勝つ」タイプのゲームになるということですね。
霧に浮かぶ亡霊は、他の拡張と一緒にプレイすることもできるようですが、ルールブックには「自己責任で」との注釈がつけられていました。
■タイルの雰囲気
霧に浮かぶ亡霊では、オバケ感のあるイラストになっていますが、暗い・陰鬱な感じはありません。
良いデザインですね。
スタートタイルはなんとタイル4枚分の大きめタイルとなっています。
おそらく過去のカルカソンヌの中で、1枚としては最大の大きさ。
大きいのは良いことです。
■これまでとの違い
やはり、協力ゲームになったのが一番の違いと言えるでしょう。
さらに、単独で遊ぶ事も出来て、拡張としても使用できるというのはカルカソンヌの中でも珍しい部類です。
多くのスタンドアローン版とは異なる部分ですね。
ちなみに、基本セットと混ぜた後、元に戻したい場合は、タイルの表面にオバケマークが描かれているので、それを目印にして仕分けしましょう。
番外編
ここからはカルカソンヌの中でもあまり知られていないスタンダードセットや、拡張版についての解説になります。
カルカソンヌ14(ニューエディション/14版)
内容は?
2014年に発売されたので「カルカソンヌ14」、または旧版の次にリニューアル発売された基本セットの版でもあるので、ニューエディションとも呼ばれているようです。
ここでは14版と呼称します。
タイミング的には10周年記念版と日本版の間で発売されています。
残念ながらこの14版、現物が用意できなかったため文字のみとなってしまいますが、ご了承ください。
基本的には「日本版(J)」と同じ内容・構成で、デザインも外箱のタイトル部分に『J』が描かれていないだけでJ版とほぼ同じです。
もしかすると、14版、日本語版が存在していないかもしれません。
内容物の基本構成は同じなのですが、J版には同梱されている「観光地タイル」が14版には含まれていません。
特別な思い入れやこだわりがない限り、J版を買った方がお得かもしれません。
…というより、この14版は見つけるのも一苦労。
もし運よく見つけたとしても、少しお値段が高い可能性があります。
お手頃価格で見つけられたら買い……かどうかは人それぞれですが、興味がある人は探してみるのも一興かもしれません。
拡張版について
発売から20年経過した今でも新版が作られるくらい人気のボードゲーム『カルカソンヌ』。
ご長寿ボードゲームにはお約束?となるゲームを彩る拡張セット、もちろんカルカソンヌにもたくさんあります。
発売されている種類
実はカルカソンヌには、ものすごい数の拡張があります。
これで半分ほど。
ミニ拡張なども含めると、なんと50種類以上。
なぜか筆者の手元には記念版をはじめとした基本セットばかりしかないのですが、またまたなぜか「ミニ拡張:学校」と「プレイ人数追加用ミープル」を持っていました。
なんという偶然でしょう。
ルールの変化など
ミニ拡張はその名の通り、大きな変化を感じることはないでしょう。
ラージエキスパンションなどと呼ばれる大規模な拡張では、ミニ拡張数個分のようなさほど大きくない変化から、まったくの別物というと少し言い過ぎかもしれませんが、そのくらい大きな変化を楽しめる拡張まで様々です。
もし拡張に興味があるなら、まずはJ版以降のセットについているミニ拡張を追加してゲームをプレイしてみましょう。
それでは飽き足らず、「もっといろいろなカルカソンヌで遊びたい!」というあなたは手に入りやすい拡張を少しずつ集めていくか、少し値が張りますがBIGBOXの購入を検討してみると良いでしょう。
タイルデザインが違う拡張版は使用できるのか
「旧版」や「J版」、「20周年記念版」のタイル表面のイラストには違いがあります。
どの版のカルカソンヌを使っていたとしても、すべての拡張を使用することは可能です。
裏面が同じデザインのものである限り、基本でも拡張でも混ぜて使用することができます。
ただし、以下のような問題点もあるので、様々な方法(時には力押しや気にしない寛容な心)で解決する必要があります。
問題点①
旧版のカルカソンヌと新版(J版)以降に発売された拡張を組み合わせて使う場合は、イラストの違いに違和感を感じる
新旧混ぜて並べてみましたが、違和感はどうでしょうか?
「この程度なら大丈夫だ!問題ないぜ!!」という寛容な心があれば問題なくプレイできるでしょう。
問題点②
裏面の色味が若干違う
10周年記念版ミニ拡張「フェスティバル」と20周年記念版ミニ拡張「20周年記念」を混ぜて遊んでみよう!
そう思った方も多いのではないのでしょうか?
ですが…、なんと裏面の色味が若干違うのです。
薄い方が「20周年記念」で、濃い方が「フェスティバル」です。
これだけ違いが目立つと「どちらかを狙って引く」ということができてしまいます。
「やっぱり生産のタイミングが違うと色ムラとか出ちゃうよね」
…なんて通ぶったことを筆者はドヤ顔で語ったりしていたのですが、そういうわけでもなかったという事実に衝撃を受けました。
上記画像はどちらのタイルも「フェスティバル」です。
よく見ると下に置かれているタイルの方が下地が濃いめになっています。
生産タイミングとは。
この問題を解決するためには、タイルを山積みにして山引きするのではなく、袋の中に入れて袋引きにすれば万事OK。
と、いいますか、同梱のタイルでさえ裏面の色味が若干違う様子なので、カルカソンヌを楽しむ際は袋引きで遊ぶことを筆者は推奨します。
重ねてになりますが旧版と新版以降の拡張を合わせて使うこと自体は問題ありません。
前述のように、問題点がないわけではありませんが、解決する方法自体はとても簡単。
気になる拡張があったら色々混ぜて遊んでしまいましょう!
…ちなみに、袋引きにすれば混ぜられないこともないですが、違和感がものすごいことになるカルカソンヌもあります。
カルカソンヌ ウインターエディション
内容は通常のカルカソンヌですが、冬の雰囲気が漂い雪が降ったカルカソンヌが舞台になっています。
確かに裏面にしてみると一目瞭然ですね…
そのほかの関連作品は?
カルカソンヌの名を冠している、それ単独で遊ぶことができるスタンドアローン版(拡張ではなくそれ単体で遊べる作品)があります。
「カルカソンヌ:原子の営み」や「カルカソンヌ:サファリ」などがスタンドアローン版にあたります。
出典:Amazon
珍しいところでは「カルカソンヌ:スターウォーズ」なんていうものも。
出典:Amazon
また、カルカソンヌTシャツやミープルを模したアクセサリーなどのファンアイテムも探すとたくさん見つけることができます。
日本語版はあるの??
ショップさんが付けてくれている日本語訳ルールが付属しているだけというパターンがほとんどで、調べた限りではほぼ全ての拡張やスタンドアローン版には日本語版が発売されていません。
おそらくスタンドアローン版では「カルカソンヌ:原子の営み」が唯一の日本語版であり、拡張に至っては前述の同梱されているミニ拡張以外に日本語版がなさそうな雰囲気です。
おわりに
カルカソンヌの種類について、皆様が知りたかったことや疑問を解決出来たでしょうか?
カルカソンヌは拡張やスタンドアローン版、ファン拡張のようなミニ拡張など、種類が非常に多すぎてすべて網羅するのは困難です。
ここで紹介した基本セットの5種類(ディ・スタッドや番外編を除く)は、少なくとも日本国内において日本語版が発売されています。
自分の求めている、入手しやすいセットを購入し、カルカソンヌを楽しみましょう!!