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『イニストラード:真紅の契り』リリース後のスタンダード環境をざっくりチェックしてみた

公開日:かーむ

 

 

おっすおっす。

かーむです。

 

11月11日に『イニストラード:真紅の契り』がMTGアリーナでリリースされ、早くも2週間が経とうとしていますが、早速新カードたちがスタンダードで活躍しはじめていますね。

前回の記事では、ローテーションと『イニストラード:真夜中の狩り』のリリースで一変した新環境スタンダードのメタゲームを解説させていただきましたが、第3回目となる今回は、『イニストラード:真紅の契り』リリース後のスタンダードの様子をお届けしたいと思います。

※デッキリストの表示はMTG-Decklist Viewerを使用しています。

 

 

 

1.新環境後の競技イベントの結果

新環境といえば、MTG MELEEで競技イベントの結果とデッキリストを眺めるのが楽しい時期ですね。
『イニストラード:真紅の契り』がリリース後、さっそくいくつかの競技イベントが開催されました。

各イベントのTOP8をまとめたものがこちら。

 

 

今回取り上げたのは以下の5イベントになります。

 

 ・11/13 Crokeyz Crimson Vow Tournament:参加者356名

 ・11/14 Red Bull Untapped 2021 International Stop IV:参加者979名

 ・11/15 Hooglandia Open:参加者78名

 ・11/20 $200 GGtoor M:TG Arena Duel #3:参加者85名

 ・11/22 The Pizza Box Open:参加者83名

 

「Red Bull Untapped」の参加人数は979名とぶっちぎりで多いですね。

5つの中でもゴリッゴリの競技イベントということで、プレイヤーの母数もあいまってメタゲーム的にはもっとも信頼できそうです。

 

これらの競技イベントの結果を、mtgmeta.ioが発表しているマトリクスと合わせて見ていきましょう。

 

 

TOP8の顔ぶれを見ると目立つのは白単アグロ

試行錯誤中の新デッキやコントロールをアグロデッキが踏みつぶすのは新環境の風物詩ですが、さすがのパフォーマンスですね。

 

『イニストラード:真夜中の狩り』リリース後に大暴れしていた緑単アグロも高パフォーマンスを披露。

白単アグロには若干やられているものの雑多なデッキに強く、イゼット系デッキとのマッチアップでもよい勝率を維持しています。

 

イゼット天啓、イゼットドラゴンは全体的な勝率は5割前後と少し奮いませんが、各イベントの上位にはちょこちょこと顔を出しており、依然警戒は必要です。

 

今のところ白単、緑単、イゼットの前環境のトップメタたちは新環境でもその座を明け渡す気はなさそうですね。

アーキタイプ名の上に記載のある「total matches」の数も他デッキと比べるとかなり差がありますね。

 

しかし勝率で見るとジャンド、ティムールといったトレジャー(宝物)デッキも負けていません。

また、メタゲームの多くを占める白単と緑単を食い物にしようと、コントロールデッキも覇権を狙っています。

 

 

 

2.新環境のデッキたち(既存デッキ編)

ざっくりとですが、競技イベントの結果やメタゲームをチェックしたところで、続いて各デッキが『イニストラード:真紅の契り』でどう変化しているのかを見ていきましょう。

まずは前環境で活躍していた白単、緑単、イゼットから。

 

 

└白単アグロ

『白単アグロ』
Red Bull Untapped 2021 International Stop IV 2位
プレイヤー名:Simón Arboleda Escobar

土地(23枚)

19 《冠雪の平地》
4 《不詳の安息地》

クリーチャー(33枚)

3 《スレイベンの守護者、サリア》
4 《光輝王の野心家》
4 《クラリオンのスピリット》
4 《堕ちたる者の案内者》
2 《傑士の神、レーデイン》
4 《素拳のモンク》
3 《粗暴な聖戦士》
2 《剛胆な敵対者》
3 《輝かしい聖戦士、エーデリン》
4 《有望な信徒》

呪文(4枚)

1 《カビーラの叩き伏せ》
3 《パラディン・クラス》

サイドボード(15枚)

1 《スレイベンの守護者、サリア》
3 《勇敢な姿勢》
3 《スカイクレイブの亡霊》
1 《傑士の神、レーデイン》
3 《精鋭呪文縛り》
3 《ポータブル・ホール》
1 《粗暴な聖戦士》

 

 まずは3強の一角、白単アグロ。

注目は何と言っても《スレイベンの守護者、サリア》。

 

 

モダンやレガシーなどのいわゆる「下環境」でも活躍するナイスなカードが再録されました。

そのウザさ(褒めてます)はヒストリックでも証明済みですが、もちろんスタンダードでも強力。

非クリーチャー呪文を少しずつ重くすることで、特にイゼット系デッキ相手では序盤の相手の除去をいやらし~く妨害してくれます。

 

 

 

1マナ域の新たな選択肢には《有望な信徒》が加わりました。

1度「訓練」が誘発すればタフネスが3になり《燃えがら地獄》などの軽量火力への除去耐性となり、2度誘発して3/4になれば緑単のクリーチャーとも渡り合えるサイズになる良クリーチャー。

置物破壊能力は使用頻度はそこまで高くありませんが、《ポータブル・ホール》や《エシカの戦車》などをメインから触れるようになるのはここぞという時に役立ちます。

《堕ちたる者の案内者》より優先されることはなさそうですが、《石縛りの使い魔》と《有望な信徒》のどちらを選択するかは難しいところですね。

 

 

 

2015年発売の『運命再編』からの再録された《勇敢な姿勢》も非常に今の環境に合ったカードです。

除去モードは緑単戦では分かりやすく強いですね。
イゼット相手でも《くすぶる卵》、《黄金架のドラゴン》、《溺神の信奉者、リーア》など撃ち先は多いです。
また、白単相手ではたいていのデッキがサイドボード後に除去の枚数を増やしてくることから、除去回避モードはサイドボード後の方が輝くことが多い印象です。

 

 

 

└緑単アグロ

 

『緑単アグロ』
The Pizza Box Open Finalist
プレイヤー名:Paolo Nicosanti
土地(23枚)

20 《冠雪の森》
3 《不詳の安息地》

クリーチャー(23枚)

4 《カザンドゥのマンモス》
4 《老樹林のトロール》
4 《冬を彫る者》
4 《群れ率いの人狼》
3 《ウルヴェンワルドの奇異》
4 《隆盛な群れ率い》

呪文(14枚)

2 《豊穣の碑文》
4 《吹雪の乱闘》
2 《レンジャー・クラス》
1 《蛇皮のヴェール》
4 《エシカの戦車》
1 《不自然な成長》

サイドボード(15枚)

2 《タジュールの荒廃刃》
1 《アヴァブルックの世話人》
1 《茨橋の追跡者》
2 《貪る触手》
1 《豊穣の碑文》
3 《蛇皮のヴェール》
2 《絡み罠》
2 《辺境地の罠外し》
1 《壊れた翼》

 

 

続いてはトップメタに君臨するもう一方のアグロデッキ、緑単です。

 

 

これまでのリストでは、メインデッキのクリーチャーは全て2マナ域以降で構成されていましたが、『イニストラード:真紅の契り』で待望の1マナ域に採用できるクリーチャーを獲得しました。
1ターン目から動けるようになったということで、白単戦では相手の展開についていきやすくなったのは大きいですね。

1/2/1と素ではまあまあのサイズですが、《エシカの戦車》や《レンと七番》が絡めば1マナ3/2と破格のマナレシオに。
先出しでも後出しでも+1/+1カウンターが乗るので、引きたいタイミングが限定されすぎないのがとてもいいですね。

 

 

 

《ウルヴェンワルドの奇異》は4マナ域のパワーアタッカー。
警戒こそないものの、4/4/4速攻の戦場へのインパクトは《探索する獣》で体験済です。
コントロール相手では全体除去の返しに走らせるには最高の1枚ですし、トランプルによってダメージレースでもチャンプブロックを許しません。

緑単アグロの4マナ域は《エシカの戦車》以外の選択肢があまり多くありませんでしたが、《隆盛な群れ率い》と合わせて採用することを考えると4マナ域が少し厚くなるのもポイントになるかもしれません。

 

 

 

└イゼット系デッキ

 

『イゼットコントロール』
Red Bull Untapped 2021 International Stop IV 15位
プレイヤー名:Seth Manfield
土地(20枚)

2 《ストーム・ジャイアントの聖堂》
4 《河川滑りの小道》
1 《廃墟の地》
5 《山》
4 《島》
4 《嵐削りの海岸》

クリーチャー(7枚)

4 《船砕きの怪物》
2 《溺神の信奉者、リーア》
1 《くすぶる卵》

呪文(33枚)

4 《予想外の授かり物》
4 《棘平原の危険》
4 《表現の反復》
4 《ゼロ除算》
2 《プリズマリの命令》
1 《轟く叱責》
3 《消えゆく希望》
2 《セレスタス》
3 《ジュワー島の撹乱》
1 《安堵の火葬》
1 《燃えがら地獄》
2 《考慮》
1 《悪魔の稲妻》
1 《感電の反復》

サイドボード(15枚)

3 《バーニング・ハンズ
2 《才能の試験》
2 《炎恵みの稲妻》
1 《マスコット展示会》
1 《環境科学》
1 《アルカイックの教え》
1 《燃えがら地獄》
1 《軽蔑的な一撃》
1 《溺神の信奉者、リーア》
2 《黄金架のドラゴン》

 

最後はイゼット。

イゼットは《アールンドの天啓》と《感電の反復》のコンボに特化したものや、《溺神の信奉者、リーア》を採用してアグロデッキへの耐性を高めたもの、それから《黄金架のドラゴン》を採用したイゼットドラゴンなど複数のタイプが存在していました。

しかし『イニストラード:真紅の契り』で《船砕きの怪物》が登場し、《アールンドの天啓》を採用しないイゼットコントロールが新たに誕生しました。

 

 

カニのようなエビのようなよく分からない見た目ですが、瞬速、打ち消されない、7/8のボディ、支配的な誘発型能力とコントロールのフィニッシャーとしては申し分ないスペックを誇ります。

プレビューで見たときは能力は場に出た時に誘発するのかと思っていたので、初めて相手に出されてテキストを確認したときはひっくり返りました。

 

 

2マナ3点火力には《削剥》が再録されました。
《エシカの戦車》や《セレスタス》を破壊できるのが魅力ですが、2マナ3点火力の選択肢には《安堵の火葬》もあります。
《安堵の火葬》はルーティングができる点が魅力ですが、《削剝》と違って盤面の状態にかかわらず唱えられる点で《船砕きの怪物》との相性では1枚上手。
メタゲームによって、どちらを採用するかを検討したいですね。

 

 

地味アップデートですが、2色土地が《凍沸の交錯》が《嵐削りの海岸》と入れ替わりました。
《凍沸の交錯》は早いターンからアンタップインできるメリットがありましたが、後半にタップインになりがちなデメリットもありました。
《嵐削りの海岸》は序盤はタップインになってしまいますが、中盤以降にトップしたり《表現の反復》からめくれてもアンタップインできるのが魅力。
手札に島や山を残す必要もないので、土地の置き順でミスをしてしまうこともなくなります。

 

 

 

3.新環境のデッキたち(新デッキ編)

『イニストラード:真紅の契り』で既存デッキが強化されましたが、これまで存在しなかった新しいデッキも登場しています。

 

 

└ラクドス吸血鬼

 

たとえばRedBull untappedでも複数見られたラクドス吸血鬼

吸血鬼はイニストラードでフィーチャーされている種族な割には、部族デッキを組むにはデッキのパーツが足りない印象でしたが、『イニストラード:真紅の契り』では《不笑のソリン》や《血瓶の調達者》などの強力なカードの加入で、メタデッキともやり合えるほどにパワーが底上げされています。

 

 

 

 

└オルゾフミッドレンジ

 

他にも、Crokeyz Crimson Vow Tournamentで優勝していたオルゾフコントロールがあります。
前環境に存在していた黒単コントロールに近い構成をしていますが、《魅せられた花婿、エドガー》の採用でパワーアップ。
特にメイン戦での対アグロ性能はかなりのものです。

 

 

 

 

└ジャンドトレジャー

 

 

またしても黒絡みになってしまいますが、ジャンドトレジャーも上で紹介したマトリクスでは悪くない勝率でした。

こちらは前環境から存在しており、新カードも多くは採用されていませんが、新環境ではパフォーマンスが上がってきています。

RedBull untappedでは9-2の好成績を残しているものもあり、白単と緑単にも強いため、メタゲーム上に存在するデッキの1つとして頭に入れておいた方が良さそうです。

 

 

 

 

4.今後のメタゲーム

メタゲームがもう少し進んでコントロールデッキが環境に最適化されるあたりでちょっとバランスが変わりそうな気はしますが、現状はスタンダードのメタゲームは前環境からさほど大きくは変わっていない印象です。

 

Tier1 白単アグロ
緑単アグロ
イゼット天啓/ドラゴン/コントロール
Tier2 ティムールトレジャー
ジャンドトレジャー
オルゾフコントロール
ラクドス吸血鬼

 

 

 

ですが『イニストラード:真紅の契り』の登場し、これまでとは違うプランが取れるようになっていたり、今まで対処できなかったものに対処できるようになっていたりと、カードプールが広がったことでそれぞれのデッキの中身は微妙に変わっています

 

 

まだ新環境スタンダードは始まったばかりなので、もちろんここから全く新しいデッキが台頭してくる可能性も大いにありますが、まずは既存のデッキたちが新環境でどう変化しているのかを改めて確認するのが重要かなと思います。

この記事がそのために少しでもお役に立てていれば嬉しいです。

それではまた次回の記事でお会いしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました!!

 

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