デバッグ・マジック! vol.3 ~『モダンホライゾン2』後の環境概観と『D&D:フォーゴトン・レルム探訪』編~
By まつがん
『モダンホライゾン2』、バグる。
前回の『モダンホライゾン』がモダンに与えた影響を考えれば当然予測できた事態ではあるが、やはりと言うべきか、『モダンホライゾン2』は完全にウィザーズ側がバグを放り込んできた格好となった。
多くのカードがあまりにあからさまにバグっていたため、わざわざ自身でデバッグしなくてもバグったデッキがそこら中に溢れる始末。こうなっては「セットに隠れたバグを見つけてデバッグする」というこの記事のコンセプトも機能しない。
そこで今回は、前半に「一体モダン環境に何が起こったのか」を主要なデッキとともに解説し、後半では今週末に発売予定の『D&D:フォーゴトン・レルム探訪』のカードを使ったデッキアイデアも紹介していきたいと思う。
目次
1. 『モダンホライゾン2』後のモダン環境
結論から言って、『モダンホライゾン2』はあまりにも強すぎた。
とりわけ《断片無き工作員》《ウルザの物語》《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ドラゴンの怒りの媒介者》の4枚が与えた影響は大きく、上昇したカードパワー・デッキパワーについてこられなかった旧環境のデッキたちは、軒並みメタゲームからの退場を余儀なくされることとなった。
殊更問題なのは、これらがあくまでもフェアなカードであるという点だ。
これまでモダンで禁止カードになったのは、再現性を過度に高めたり、あまりに早いターンから一方的なゲーム展開を作り上げてしまえるようなカードたちだった。
だが、前回の『モダンホライゾン』では《否定の力》を、さらに今回の『モダンホライゾン2』で《緻密》を得たことで、環境のデッキのアンフェア耐性は上がっている。
そしてウィザーズとしても《甦る死滅都市、ホガーク》や《アーカムの天測儀》のように禁止を乱発する事態は避けたい事情もあったのだろう、『モダンホライゾン2』では強力なカードは確かに『モダンホライゾン』に負けず劣らず多かったものの、アンフェアデッキを強化する要素に限って言えば、かなり少なめに絞られていた印象がある。
その結果、何が起こったか。
「アンフェアな墓地コンボの衰退」…… 特に《ウルザの物語》が《トーモッドの墓所》をサーチできるのが大きく、発掘デッキや《復讐蔦》を使ったデッキなどはメタゲームの枠外に追いやられてしまった。
「アンフェアなオールインコンボの衰退」…… 《緻密》《悲嘆》《孤独》などピッチクリーチャーの登場で多くのデッキが理不尽な速度に対抗する術を得た結果、2~3キルに命をかけるデッキは存在意義を失ってしまった。求められるのは「3ターン目に実質勝負の趨勢を決められるポテンシャルがありつつも、二の矢や三の矢を用意できるタフなデッキ構造」…… というように要求水準が上昇した結果、ストームやネオブランドなどコンボ達成に手札リソースのすべてを投じるようなデッキタイプは活躍の機会を奪われてしまった。
もっとも、これらは『モダンホライゾン2』よりも以前からあった傾向であり、より正確に言えば『モダンホライゾン2』がその流れを決定づけたというに過ぎない。
そう、「妨害されない/されにくいコンセプト」をアンフェアと定義したならば、そんなものはもはや存在しなくなってしまったのである。残っているのは、「アクションとしてのバリューが理不尽 (アンフェア)」という意味でのアンフェアだけだ。
そう考えると、今や「アンフェア」は特別なものではなくなった。ならばあとに続くのは、「アンフェア要素のあるミッドレンジ」こそが最強という時代だ。
つまり『モダンホライゾン2』は古い定義での「アンフェア」を一掃し、高すぎるカードパワーで相手を妨害しまたは蹂躙することのできる多種多様な理不尽ミッドレンジを生み出すこととなったと言えるのである。
さて、以下ではそんな『モダンホライゾン2』後のモダンにおいてメタゲームを形成する、主要なデッキたちを見ていくことにしよう。
◇ 死せる生
プレイヤー名:Glacier7
「アンフェアは存在しない」と書いたが、《断片無き工作員》や《緻密》といった大幅な強化を得て生き残った数少ないアンフェアデッキがこの《死せる生》デッキである。
前回の時点で私自身も《悲嘆》《緻密》ダブル採用の《死せる生》の可能性にはたどり着いていたものの、「サイクリング」持ちを減らしすぎたせいでデッキ構造が破綻するという失敗をおかしたことで、それ以上の研究をやめてしまっていた。しかしアンフェアの減少で《否定の力》のフル採用にこだわらなくて済むようになったことから《否定の力》を減らしてスロットを確保したこのリストは、私がたどり着けなかった理想形を見事に実現している。
「墓地コンボの衰退」は、逆に言えば「墓地のマークが甘くなる」ことを意味している。始動が3ターン目で先手なら《ウルザの物語》のサーチよりも早いために生半可な墓地対策を乗り越えられるこのデッキは、アンフェアデッキの愛好者にとって唯一の希望と言えるだろう。
◇ ティムール続唱
プレイヤー名:市川 ユウキ
『モダンホライゾン2』によって誕生した「アンフェアなミッドレンジ」の代表格がこの「サイ続唱」である。
もともと《献身的な嘆願》でも実現できたはずのコンセプトだが、《断片無き工作員》の登場が「『続唱』8枚を3色だけで調達できるようになった」点や「《衝撃の足音》の横に2/2が並ぶので打点上昇につながる」点でデッキパワーを底上げしたのと、何より《否定の力》の隙を埋める《緻密》の登場で「続唱」までの序盤3ターンを支えられるようになったことが大きい。また、地味だが《火+氷》がリーガルになったことも殴り合いを制するのに一役買っている。
「3マナで4/4トランプル2体が出てくる」というのは旧来の意味ではアンフェアではないが、カードバリューからしたら間違いなく理不尽 (アンフェア) であろう。《死者の原野》や《神秘の聖域》が使えた時代の4色コントロールが良い例だが、強いフェアデッキはアンフェアな動きを取り入れるものなのである。
◇ 装備シュート
プレイヤー名:shadow_PT
《ウルザの物語》の登場による恩恵を最も強く受けたのが《巨像の鎚》を使ったこのデッキである。
一撃必殺のワンショットを決めるためには対戦相手の除去をかいくぐる必要があるところ、構築物トークンによるビートダウンという強力なサブプランを手に入れたのが大きい。
また、《エスパーの歩哨》は1マナの《スレイベンの守護者、サリア》のように機能して対戦相手の除去を吸い込んでくれるし、サイドボードの《ヴェクの聖別者》も《ドラゴンの怒りの媒介者》の「昂揚」や《濁浪の執政》の「探査」対策としても機能する。
妨害なしなら3キルも当たり前のデッキの割りに《夢の巣のルールス》で長期戦も得意ということで隙がなく、今回の強化でなお一層マークが外せないデッキとなった印象だ。
◇ 青赤ラガバン
プレイヤー名:MZBlazer
4《敏捷なこそ泥、ラガバン》
4《ドラゴンの怒りの媒介者》
2《戦慄衆の秘儀術師》
4《濁浪の執政》
「(実質) 継続してアドバンテージが得られる1マナクリーチャー」として《死儀礼のシャーマン》に限りなく近い機能を果たす《敏捷なこそ泥、ラガバン》は、赤の1マナ2/1クリーチャーという見た目とは裏腹に、アグロではなくリソースの交換を強要するミッドレンジでこそ輝くクリーチャーだった。
それゆえに環境の輪郭が定まるまでは適切なリソース交換の手段を定めることができず、メタゲームへの登場が遅くなってしまったが、上記のような主役たちによって端役が追い出され、警戒するべきデッキが絞られてきたことで、遅れて駆けつけることとなった。
一見すると細すぎるクリーチャー陣を陰から支えているのが《濁浪の執政》で、《ドラゴンの怒りの媒介者》や《思考掃き》で落とした墓地を燃料に2マナでたやすく6/6や7/7飛行といったサイズで登場するので、2パンでほぼゲームが終了する。装備シュートと並び、現在のトップメタと言っていいデッキだ。
◇赤黒ラガバン
プレイヤー名:MadMaxErnst
4《敏捷なこそ泥、ラガバン》
4《ドラゴンの怒りの媒介者》
4《ダウスィーの虚空歩き》
2《死の飢えのタイタン、クロクサ》
リソースを交換することこそが《敏捷なこそ泥、ラガバン》の本領というならば、手札破壊との組み合わせは言うまでもなく強力に決まっている。
だがそれだけではデッキの屋台骨とまでは言えないところ、このデッキが成立している要因としては《敏捷なこそ泥、ラガバン》に次ぐ2スロット目のシステムクリーチャーとして機能する《ダウスィーの虚空歩き》の存在が大きい。
《コラガンの命令》が装備シュートに強いのもポイントで、《ヴェクの聖別者》という天敵がいるとはいえ、この理不尽ミッドレンジ環境で幅広く対戦相手を咎められるこのアーキタイプは、由緒正しき手札破壊ミッドレンジとして玄人が好みそうなこともあり、今後さらに勢力を伸ばしていきそうだ。
まとめると、構図としてはラガバンvs続唱vsウルザの物語の三つ巴が現環境ということになりそうだ。
すなわち、この構図をどこからどのようにして打ち破るのかがデッキビルダーに課せられた至上命題と言えるだろう。
2. 『D&D:フォーゴトン・レルム探訪』でバグを探そう
さてそんな風に環境が現在進行形の中、今週末にはいよいよ新セット『D&D:フォーゴトン・レルム探訪』が発売する。
これについてはカードリストや「ダンジョン」「d20」「エンチャント-クラス」といったギミックを見てもわかるように、D&Dのフレーバーを再現することに重きが置かれており、モダンに対しての影響は少ないセットと思われる。
だが、どんなセットでも「全くバグの可能性がない」ということはありえない。
というわけで、以下では『D&D:フォーゴトン・レルム探訪』のカードを使ったデッキアイデアをいくつか紹介しよう。
◇《アーチリッチ、アサーラック》
『D&D:フォーゴトン・レルム探訪』のプレビューで、エターナルフォーマット界隈で一際話題になったカードがあった。
《アーチリッチ、アサーラック》。そう、このカードはレガシーにおいては《魔の魅惑》との2枚コンボで無限ダンジョン探索バグによってお手軽に勝利することができるのだ。
一切のコストを支払わずにすべての部屋を通り過ぎてお宝を回収しては何度もダンジョンに入りなおす様はさながらバグ技で序盤に最強装備を揃えるRPGのようだが、ここで一つ問題があった。
《魔の魅惑》がモダンでは使えないのだ。
これでは《アーチリッチ、アサーラック》は最初のダンジョンでスライムに全滅させられるモブになってしまう。
なんとか、3マナ以下のクリーチャーを0マナで出せるようになる他のカードがないか……
あった。
《屋根の上の嵐》だ。
そう、なんと《アーチリッチ、アサーラック》はゾンビなので《屋根の上の嵐》でコストが0になって無限ダンジョン探索RTAが完成するのである。
とはいえ、《屋根の上の嵐》は6マナでしかもエンチャントとモダンで使うにしてはかなり重いため、実用性に乏しいのではないかとも思われた。
しかし『モダンホライゾン2』は、そんな悩みに対する解答をあらかじめ用意してくれていたのだ。
《信仰の復活》。このカードなら3マナの「続唱」呪文で確定で唱えられるようにできるので、《屋根の上の嵐》を墓地に置く手段だけ考えればいい。
あとは「続唱」で《信仰の復活》が確実にめくれるよう、マナコストを3以上に揃えてデッキを組むだけだ。
回らん。
《屋根の上の嵐》を墓地に置く手段として「発掘」を思いついたまでは良かったが、それでも《屋根の上の嵐》が確実に墓地に落ちるわけでもなく、さりとて《アーチリッチ、アサーラック》をサーチする手段に長けているわけでもないので、端的に言ってコンボ成立までのハードルが高すぎたのである。
だが、除去1枚で止まるとはいえ久しぶりに登場した2枚コンボ (こう書くと《サヒーリ・ライ》+《守護フェリダー》で良いのでは???という気がしてくるが冷静になってはいけない) なのである。どうにかして形にしたい。
と、ここで私は思いついた。
ならば、他のコンボと合体させたらどうかと。
《集団意識》。こちらも同じく6マナのエンチャントで、《タイタンの契約》などの契約義務を対戦相手に押しつけることで勝利する2枚コンボのパーツだ。
《アーチリッチ、アサーラック》コンボと《集団意識》コンボ……この2つを悪魔合体させることで、新たなるデッキが爆誕するのではないか。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
見ればわかるとおり、「4ターン目に6マナを出し」「2枚コンボのうち手札に揃ってる方で勝つ」というただそれだけのデッキである。
《集団意識》コンボの方は単体除去が効かないので、対戦相手からすれば除去をサイドアウトしづらくなるといった効果も期待できる。
それぞれのコンボパーツが500%独立している美しさの欠片もないデッキではあるが、ふとダンジョンに潜りたくなった日には (?) 使ってみてもいいかもしれない。
◇《高貴なる行いの書》
有益なコンボを見つける際には、「そのコンボを実現したら何が起こるか」を考える必要がある。
大量の手札とマナを使っても、相手のクリーチャーが全滅するだけだったり、相手の手札を全部捨てさせるくらいの効果であれば、そもそもそのコンボを実現する必要が乏しいとわかるからだ。
その点『D&D:フォーゴトン・レルム探訪』には、何が起こるかどころか実現すればゲームに勝てることが明確なカードが収録されていた。
《高貴なる行いの書》。このカードは起動さえできれば、あとはカウンターを乗せたクリーチャーを守っているだけでゲームに負けなくなる≒自動的に相手のライブラリーアウトで勝てることが確定するという代物だ。
しかし問題は、対象が「天使」に限られる点と必ずしも守りきれるとは限らない点にある。「天使」といえば大抵は3マナ以上のクリーチャーだし、さらに所詮クリーチャーである以上、単体除去や全体除去からは逃れられないので、そこからすべて守りきるとなれば莫大な労力を必要とする。
ゆえに《高貴なる行いの書》の能力をどんなクリーチャーに対して起動したとしても、「負けない」というのは書いてあるだけで実際には敗北の可能性が留保されるため、実用性に欠ける……そう思われた。
だが、1マナ以下で1ターンを過ぎればあとはクリーチャー除去から二度と守る必要がない……そんな理想的な「天使」が、モダン環境には存在していたのである。
否、それは「天使」どころではない。
そう、答えは「多相」にあったのだ。
《変わり谷》。このカードならば3ターン目に《高貴なる行いの書》を設置→4ターン目に《変わり谷》セット+起動から《高貴なる行いの書》起動で綺麗に4ターンキルを決めることができる。
もちろんスタックで除去を打たれるかもしれないが、どうせコンボに成功すれば負けないのだから《否定の契約》も遠慮なく打てるし、土地を割るカードは普通のデッキにはそうそう入っていないだろうから、一度成功すればあとは《変わり谷》を二度と起動せずに、相手がライブラリーアウトするまで「ねえねえ、今どんな気持ち???」と対戦相手を煽っていればいい (※非紳士的行為なのでやめましょう)。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
4《ルーンの与え手》
4《オズワルド・フィドルベンダー》
1《通路の監視者》
1《金属の急使》
3《緻密》
こんなんで「負けません!!!」って言い張るくらいなら《向こう見ずな実験》から《白金の天使》出した方がマシなのでは???と冷静に思わなくもないが、《試練に臨むギデオン》など、とにかくデッキビルダーは「負けない」という能力の魅力に抗えずクソデッキを作ってしまうものなのである。
◇《願い》
『モダンホライゾン2』では「レガシーで使えてモダンで使えなかったカード」がいくつかモダンで使用可能になった。《対抗呪文》や《火+氷》などがその例だ。
一方、『D&D:フォーゴトン・レルム探訪』でも、そのものではないにせよレガシーでしか使えなかったカードがリメイクされて収録される結果となった。
《願い》。《生ける願い》や《狡猾な願い》はモダンでは使用不可で、実用的なサイドボードへのアクセスは《きらめく願い》くらいしかなかったところ、手札に入らないのでターンを分けての分割払いはできないものの、それでもこのカードの登場によってデッキ構築の幅がかなり広がったと言える。
では、この《願い》を最も生かせるデッキとは何だろうか?
分割払いをしないなら、《願い》とアクセス先のカードは同一ターンに唱えることになる。そして《願い》が3マナとやや重めである以上、呪文のマナコスト軽減などと併用したいところである…… ならば、答えは一つ。
「ストーム」だ。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
前回から一か月、私は実はこのデッキの一人回しばかりをしていた。そして「《召喚士の契約》で《ゴブリンの壊乱術士》をサーチする」というアイデアに辿り着いたことで、《前駆軟泥、エーヴ》という「《召喚士の契約》でサーチできるストームカード」の存在にあとから気が付いたのである。
例によって妨害=即死のデッキなので《敏捷なこそ泥、ラガバン》ミッドレンジが多いメタゲームでは使う気になれないが、赤緑型のストームの刃が着々と研がれつつあることは、覚えておいて損はないかもしれない。
3. おまけ:スタンダード・パイオニア注目デッキ紹介
最後に、スタンダードとパイオニアで『D&D:フォーゴトン・レルム探訪』のカードを生かしたデッキを一つずつ紹介しておこう。
プレイヤー名:Mazuku94
20《沼》
4《ロークスワイン城》
4《鋸刃蠍》
4《よろめく怪異》
4《忘却の虚僧》
4《悪魔の職工》
4《悲哀の徘徊者》
4《ロークスワインの元首、アヤーラ》
4《悪夢の番人》
1《荒涼とした心のエレボス》
4《アスフォデルの灰色商人》
(3枚)
3《蜘蛛の女王、ロルス》
《よろめく怪異》は黒単色というカラーリングでは実現しづらいマナ加速を可能とする。特に1マナという軽さが重要で、《よろめく怪異》→《悪魔の職工》とマナカーブが綺麗につながるのがありがたい。
《蜘蛛の女王、ロルス》はそんなマナ加速によってたどり着くべきパワーカード枠であり、《ロークスワインの元首、アヤーラ》との組み合わせでライフプレッシャーをかけつつ《アスフォデルの灰色商人》へとつなげられるのが魅力だ。
プレイヤー名:Xerk
3《復活の声》
2《エメリアのアルコン》
2《エイヴンの思考検閲者》
2《残骸の漂着》
2《形成師の聖域》
2《安らかなる眠り》
1《豊潤の声、シャライ》
1《黎明をもたらす者ライラ》
《高貴なる行いの書》と《変わり谷》とのコンボはモダンだといささか悠長すぎるきらいがあったが、実はパイオニアならば活躍の機会があることが既に示されていた。
特に《高貴なる行いの書》のもう一つの能力である「天使」生成を生かすことで、「盤面を『天使』で攻め立てながら隙を見てコンボを決める」というミッドレンジ+コンボの王道的な構成は、純正コンボが少なく盤面で戦うことが多いパイオニアのメタゲームによく合致しており、今後継続的に活躍してメタゲームに食い込むこともありえそうだ。
4. 終わりに
モダン環境は『モダンホライゾン2』によって大きく様変わりした。ラガバンvs続唱vsウルザの物語の三つ巴の構図は、また次の『モダンホライゾン』シリーズが出るまでの間、長きに渡って定着するものとなっていくかもしれない。
だが、その構図を破るのはデッキビルダーの努力以外にはありえない。
それに『モダンホライゾン2』の中には、将来のカードとのシナジーを待つまだ見ぬ可能性が眠っているかもしれない。
だからまずは、新セットが出るたびにカードリストを見直すことこそが必要なのだ。
ではまた次回!
クソデッキビルダー。独自のデッキ構築理論と発想力により、コンセプトに特化した尖ったデッキを構築することを得意とする。モダンフォーマットを主戦場とし、代表作は「Super Crazy Zoo」「エターナル・デボーテ」「ステューピッド・グリショール」など。Twitter ID:@matsugan
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