デバッグ・マジック! Byまつがん

デバッグ・マジック! vol.26 ~もっと!『指輪物語:中つ国の伝承』編~

公開日:まつがん

デバッグ・マジック! まつがん

『指輪物語:中つ国の伝承』の発売から1ヶ月が経過した。

前回「『指輪物語:中つ国の伝承』は『モダンホライゾン3』と呼べるほどのカードパワーはなさそう」と書いたが、その予想は半分当たり、半分外れることとなった。

ほんの数枚のパワーカードが、モダンの環境を大きく動かしてしまったからだ。

というわけで今回も最新の環境をチェックするとともに、新カードを使ったデッキをいくつか紹介しよう。

1.指輪をめぐる戦争が勃発

2023年6月~7月にかけてのモダン環境は、以下のようなメタゲームで展開していた。

 

Tier 1 (7~10%)
青赤ラガバン ←Down…
執政官独創力/頑強独創力 ←Down…
エレメンタル/4Cオムナス ←Up!!!
赤黒不死ラガバン
死せる生 ←Up!!!

Tier 2(3~6%)
装備シュート ←Down…
バーン
トロン
ティムール続唱
Yawg-Chord
アミュレット ←Up!!!

 

久しぶりの激変、しかもまだその最中である。

長い間10%以上のシェアを維持していた「青赤ラガバン」「独創力」という2強の陥落。さらに4Cオムナスの復権。「十強」 (11個あるが) の顔ぶれこそ変わっていないものの、上下度合いは地殻変動でも起こったのかと見まごうほど。この原因は、言わずもがな『指輪物語:中つ国の伝承』の影響である。

ただ、『指輪物語:中つ国の伝承』がやっぱり『モダンホライゾン3』だったのか、というとそんなことはない。環境に影響を与えたのは、わずか3~4枚のカードたちのみだからだ。

まずは上の表に載せている「十強」アーキタイプの『指輪物語:中つ国の伝承』による変化をおさらいしておこう。

・《一つの指輪》で強化
 エレメンタル/4Cオムナス
 トロン
 アミュレット

・《オークの弓使い》で強化
 赤黒不死ラガバン
 Yawg-Chord

・その他強化
 死せる生

・強化なし
 青赤ラガバン
 執政官独創力/頑強独創力
 装備シュート
 バーン
 ティムール続唱

 

《一つの指輪》と《オークの弓使い》。この2種の新カードが「青赤ラガバン」と「独創力」には入らず、かつ他の多くのデッキに入りうるポテンシャルを持っていたため、これまでの青赤優位偏重の環境が大きく崩れることとなったのだ。

 

 

特に《喜ぶハーフリング》の強化も得た「4Cオムナス」と「Yawg-Chord」の躍進ぶりはすさまじく、その影響で土地コンボのポジションも同時に上がったほどだ。

他方、1マナの土地サイクリング各種を獲得して速度・安定性ともに強化された「死せる生」は、初週こそ派手に活躍したものの、《ダウスィーの虚空歩き》の使用率が上がったことで現在は厳しい戦いを強いられている。

さて、直近の関心事と言えば来たる7月末の「プロツアー・指輪物語」、そして8月7日の禁止改定という、モダン環境の今後を占うビッグイベント2つだろう。

注目のトピックとしてはやはり「《一つの指輪》の禁止可能性」が挙げられる。ただあくまで私見だが、商業的な理由込みで「ノーチェンジが80%」という意見に変わりはない。

すべてのデッキに入りうるとはいってもそれは《ウルザの物語》も一緒だし、そもそも現状のモダンは《敏捷なこそ泥、ラガバン》《レンと六番》《ウルザの物語》《悲嘆》といったバグカードにバグカードをぶつけ合う、まさしく「バグりあい宇宙」といった様相と化している。《一つの指輪》もそこに新たなバグが加わっただけで、しかもそれが (少なくとも今のところは) 環境の停滞を打ち破る方向に作用しているのだから、勇み足で台無しにしてしまう理由はないだろう。

無論、一年後の2024年8月にも同じ事情が通用するかはわからない。ただ今後もモダンはバグカードのぶつけ合い環境ということを前提に調整していくものと思われ、そうなると滅多なことがない限り禁止カードは出ないと予想するのだが、さてどうなるだろうか。

またそれはさておき、例によって最近活躍したローグデッキを3つ紹介しておこう。

黒単不死ミッドレンジ
Modern Challenge 2023-07-09, 6th Place, 6-1
プレイヤー:Livor_Odium

黒単不死ミッドレンジ

vol.23で紹介した「黒単貴重品室コン」と、環境トップのデッキの一つである「赤黒不死ラガバン」のコンセプトとをハイブリッドしたようなデッキ。《オークの弓使い》《一つの指輪》《黙示録、シェオルドレッド》の3種を強く使うことに特化しており、指輪同型・オーク同型を一足早く見据えたメタデッキのようなポジションと言えそうだ。

相手に対処を迫るプロアクティブな要素と《廃墟の地》などで《一つの指輪》入りの土地コンボに対応できる余地は維持しつつも、《喜ぶハーフリング》《オークの弓使い》《一つの指輪》の登場で重要性が低下した《敏捷なこそ泥、ラガバン》《血染めの月》を思いきって排した構成は、来たる「オーク指輪デッキ同型戦サイドボード後」への強い意識が伺える。さらなる発展が楽しみなデッキタイプだ。

無限サムワイズ

『指輪物語:中つ国の伝承』で登場した新アーキタイプとしては数少ないガチデッキで、《サムワイズ・ギャムジー》+サクり台+《大釜の使い魔》の3枚で無限ドレインで勝利できる。

Yawg-Chordと似たポジションだが、コンボパーツがどれも軽いので《集合した中隊》が使えるのが最大の差別化点となる。クリーチャーカウントは少ないように見えて《飢餓の潮流、グリスト》も出せるし、《オークの弓使い》《召喚の調べ》と合わせて緑ベースのデッキにあるまじきインスタントスピードでのプレイができるのが魅力だ。

 《イーオスのレインジャー長》でコンボパーツを探しながら相手の「続唱」の妨害兼相手の対応封じもできるなど干渉力もそれなりにあるので、今後も競技シーンでの活躍が期待できそうだ。

赤単財宝発掘

コストを問わずアーティファクトを墓地から釣れる《財宝発掘》は、カードプール内のアーティファクトが強くなればなるほどポテンシャルが増していくカードの一つだ。

任意のアーティファクトを墓地に落とせる《ゴブリンの技師》と、生け贄の種となるアーティファクトを簡単に用意できる《ウルザの物語》との組み合わせで、どんな相手にも有効な大型アーティファクトを蘇生できるのが強みで、特に4Cオムナスの活躍で《隔離するタイタン》が環境的に強くなってきているのは追い風と言えるだろう (自分の被害を回避するために裏側の使い道のない小道が採用されているほどだ)。

反面ゲームを一気に畳みにいけるようなアーティファクトはないので、《御霊の復讐》+《引き裂かれし永劫、エムラクール》のデッキのようなリアニ一辺倒のコンセプトというよりは、2手3手と対応を迫りながら最終的に大技を通すコンボ・ミッドレンジとして運用する方がうまくいきそうだ。

2.もっと!『指輪物語:中つ国の伝承』でバグを探そう

正直、現状のモダンにおいてはこの連載で追求しているようなバグはあまり通用しなくなりつつあるというのが実情だ。

《悲嘆》《孤独》《激情》などのピッチエレメンタルたちの登場により0マナですべてのカードの交換が可能になった時点で、干渉を拒否できる領域やタイミングはなくなってしまった。となれば、すべてのカードは1ターン目から交換を前提とせざるをえない。

そして交換を前提にする限り特定のカードに依存した戦略は脆弱となり、単一のカードのカードパワーが焦点となってくる。《オークの弓使い》や《一つの指輪》の流行は、そうした現在の傾向に合致してのものだ。

他方で、デッキビルダーが好むような発明が有効な余地はどんどん少なくなってきている。使えるターンやマナは常にシビアで、コンボで勝つためには常にいくつものハードルをクリアする必要がある。

しかし、全く発明の余地がないかというとそんなことはないはずなのだ。

何も毎週優勝したいと言っているわけではない。ほんの少しの隙間を突いて、ただ一瞬活躍できればそれでいい。諦めずにデッキを作り続けていれば、いつかは突破できるはずだ。

そのためにも、今日もめげずに新カードをデバッグ (発見・解明) していくとしよう。

《馬の王者、飛蔭》

コンボの基本は本来支払うべきマナコストを踏み倒すという部分にある。したがって、「他のカードのマナコストを踏み倒せるカード」というのは、コンボで使われる可能性が高くなるのだ。

 

馬の王者、飛蔭

(とーびとびとびとびとびとびとびかげ)
君の愛馬が!

……ではなく、《馬の王者、飛蔭》。速攻持ちでかつ攻撃時にパワー以下のクリーチャーを手札から攻撃状態で・・・・・出せるという、少し変わった踏み倒し効果を持つクリーチャーである。

クリーチャーの踏み倒し効果は「出れば勝つ」と書いてあるクリーチャーと組み合わせるのが常道だが、まず既に攻撃状態なので《引き裂かれし永劫、エムラクール》の「滅殺」などの「攻撃するたび~」系の能力は発動しない。さらに《馬の王者、飛蔭》のサイズは4/4なのでそのままではパワー3以下のクリーチャーしか走らせることができない……と、走らせるクリーチャーの縛りがなかなかに大きいのが難点だ。

ならば「パワーを上げる」というアプローチもあるが、その手間によって1枚分コンボパーツが増えてしまうようではいただけない。

となると《触れられざる者フェイジ》のように「攻撃が通れば勝ち」のクリーチャーを馬に乗せたいところだが、パワー3以下でそんな効果を持つカードが存在するはずも……。

あった。

 

残虐の達人

《残虐の達人》を走らせたらそのまま勝ちなのでは???

《残虐の達人》はそのまま使うと、単体でしかアタックできない代わり、ブロックされなかった時点で相手のライフを1にできる (ただし戦闘ダメージは割り振らない) という能力を持っている。これを《馬の王者、飛蔭》の能力で攻撃状態で出すことで、「《残虐の達人》の効果で相手のライフが1になる」→「《馬の王者、飛蔭》の戦闘ダメージで勝利」という綺麗な2枚コンボが完成するのだ。

これぞまさに競走馬と騎手とのマリアージュ。2枚揃えば勝ちということで、これはもはや実質令和の《欠片の双子》コンボと言っても過言ではない。《馬の王者、飛蔭》自体はソーサリータイミングの5マナと少し重いので、デッキの残りのスロットはマナ加速とコンボパーツを集めるためのカードで埋めてやれば完成だ。

 

 

クリーチャー2種を揃えるコンボなので《エラダムリーの呼び声》は外せない。エラダムリーが一声呼んだら《馬の王者、飛蔭》が駆けつけてくるということで、きっと仲の良い厩務員さんなのだろう。

またクリーチャー2種のどちらにもアクセスできるカードは多ければ多いほど良いので、マナ加速や《否定の契約》もサーチできる《不敬な教示者》も入れておこう。

 

 

《馬の王者、飛蔭》コンボの弱点は言うまでもなくブロッカーである。そこでマナを支払うことなくブロッカーを排除できる《激情》は、《エラダムリーの呼び声》からもサーチできることはもちろん、こいつ自身も《馬の王者、飛蔭》から出してかなりの打点を形成できることもあり、デッキに非常に噛み合っている。

ただこれだけだとクソデカ《タルモゴイフ》などが立っている場合に突破できないので、《殺戮の契約》も入れて後先考えずに走り抜けよう。

というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!

 

飛蔭シュート
デッキビルド:まつがん
クリーチャー(14枚)

1《ブレンタンの炉の世話人
1《悲嘆
4《激情
4《残虐の達人
4《馬の王者、飛蔭

飛蔭シュート

どんだけ介護が必要なんだよ!!!

◎《馬の王者、飛蔭》+《残虐の達人》コンボのここがダメ!
 ・カウンターで死ぬ
 ・除去で死ぬ
 ・ブロッカーで死ぬ
 ・それでも4キルと遅い

 

そもそも《欠片の双子》がどうとか言ってるけどそれってモダン老害民の発想で、現代のコンボはフェッチと《不屈の独創力》だったり「続唱」呪文1枚で決まったりする実質1枚コンボばっかりなので、コンボパーツが2枚必要な段階でもはや時代遅れなんだよね……悲しいね、バナージ……。

 

ユ゛ニ゛コォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ン゛ン゛ン゛ン゛!!!

飛蔭シュート2
デッキビルド:まつがん
クリーチャー(12枚)

4《激情
4《残虐の達人
4《馬の王者、飛蔭

飛蔭シュート2

命が短すぎる!!!

NT-Dを発動してあらゆるリスクを負ってでも3キルしようとしたら2マナのサーチなんて撃ってられないということで当連載レギュラーの《血清の粉末》にたどり着いた。やはり速さを極めるなら粉末をキメてドーピングだぜ!!!(そして往々にしてスタートで失敗するのであった)

《一つの指輪》

既にバグっていることが明らかだからといって、さらなるバグの可能性を追い求めない理由にはならない。たとえそれが《王冠泥棒、オーコ》レベルであってもだ。

 

一つの指輪

《一つの指輪》。『指輪物語:中つ国の伝承』の言わずと知れたトップレアであり、使用可能フォーマットすべてをバグらせている筋金入りのバグカードである。

だが少なくとも『モダンホライゾン2』でバグとバグとを叩きつけ合い捌き合うバグの応酬環境に一足先になっていたモダンにおいては、《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ウルザの物語》《悲嘆》《レンと六番》といった序盤のバグの交換が終わった後の新たなバグ補給のためのバグエナジードリンクといった役割に甘んじている印象が強い。

要はイメージとしてはクソ強くなった《精神を刻む者、ジェイス》に近いため、ミッドレンジ的な運用が環境に合致しているという話なのだが、ここまでのパワーカードだと《一つの指輪》それ自体で勝つというようなコンボでの運用の可能性も追求したくなってくる。

では《一つの指輪》で勝つにはどうすればいいか?

私が導き出した答えは、これだ。

 

《睡蓮の原野》と《一つの指輪》を同時にアンタップさせまくったら勝てるのでは???

パイオニアでは《睡蓮の原野》を《演劇の舞台》でコピーで2枚ある状態で《見えざる糸》や《熟読》を駆使してアンタップさせて呪文を連鎖させる「ロータスストーム」が存在する。ならばこれを応用し、《見えざる糸》のように「3マナ以下で《睡蓮の原野》と《一つの指輪》を同時にアンタップできるカード」を連打すれば、《一つの指輪》のドロー枚数がアンタップのたびに増えていき、最終的には山札を全部引ききって《タッサの神託者》で勝てるのではないか。

手札をアンタップ材としてチェインしていく様はさながら令和のMoMa。コンボしようにも色々と邪魔としてくる相手に対しては、「呪禁」と「プロテクション (すべて)」の内側に引きこもることこそが最善の策だったというわけだ。

 

 

3マナでパーマネント2つをアンタップできるカードとしては《日夜の苦役》がある。マナは増えないものの、デッキに大量に入れておけばフリースペルのように使えるはずだ。

また、《精神のくぐつ》は「連繋」を使えば同じく3マナでパーマネント2つをアンタップできる。

というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!

 

テストデッキ
デッキビルド:まつがん
クリーチャー(5枚)

4《樹上の草食獣
1《タッサの神託者

テストデッキ

指輪引かないと何もしなさすぎでは???

《一つの指輪》も《睡蓮の原野》も《古きものの活性》で探せるからってそこだけにすべてが委ねられすぎてて5枚の中に《一つの指輪》がなかった瞬間に精神崩壊する豆腐メンタルデッキが爆誕してしまった。指輪に誘惑されすぎている。

この問題を解決するには《一つの指輪》を確実に手札に加える方法が必要だが、そんな手段があるはずも……。

あった。

《大いなる創造者、カーン》を入れればいいのでは???

《大いなる創造者、カーン》も《古きものの活性》で見つけられる上に相手の《一つの指輪》の起動を封じられるので、サイドに1枚入れなければならない都合上《一つの指輪》の素引き率は下がってしまうものの十分にお釣りがくる採用となるだろう。

また、《霧中の到達》は序盤の動きを安定させながら《精神のくぐつ》と「連繋」させられるので、《一つの指輪》設置後しか使い道のなかった《日夜の苦役》と違って小回りが利くようになるはずだ。

というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!

 

ロータス・リング
デッキビルド:まつがん
クリーチャー(5枚)

4《樹上の草食獣
1《タッサの神託者

サイドボード(1枚)

1《一つの指輪

ロータス・リング

アミュレットでいいだろ!!! (禁句)

めっちゃ苦労して《睡蓮の原野》と《一つの指輪》を揃えたとしてもアンタップさせ続けられるかはドロー内容次第の運ゲーなので、下手すると指輪にめっちゃ重荷が溜まった状態でターンを返してクソザコ指輪死しうるという欠陥デッキになってしまったわけだが、何より一番の問題はマジックオンラインで指輪の値段が高すぎる上に《睡蓮の原野》が対象にとれなくて一人回しできないことにある。一人回しで呪禁パーマネントを対象にとれるようになるアップデート、お待ちしております。

《魔法使の打ち上げ花火》

「既存のカードの下位互換」や「同型再版」のカードであっても、必ずしも誕生した意味がないということにはならない。モダンという広大なカードプールにかかれば、コストが軽くさえあるならばどんなカードにも可能性を見出すことができるのだ。

 

魔法使の打ち上げ花火

 

《魔法使の打ち上げ花火》。軽く起動できる上により多くのマナを変換できるようにもなった《テラリオン》だが、1ターンを争うモダン環境においてはタップインせずに即起動が可能な《彩色の星》に軍配が上がり、出番がなさそうにも思える。

だが逆に、もし仮に「《彩色の星》も《テラリオン》もあればあるだけ使うデッキ」が存在するとしたなら、《魔法使の打ち上げ花火》にも存在価値が生まれてくるはずなのだ。

とはいえ現状そんなデッキは存在しない。ならば自分で作るしかない

しかし《彩色の星》も《テラリオン》も《魔法使の打ち上げ花火》も4枚ずつデッキに入れるとなると、初手に3枚くらい来て1マナずつ払ってもたもた置いてる間に《敏捷なこそ泥、ラガバン》にボコボコに殴られる上に相手に奪われて発狂すること請け合いである。

さて、どうする……?

……はっ!

 

昨日の首飾り

《昨日の首飾り》でコストを0マナに下げればいいのでは???

《昨日の首飾り》は墓地にある同名カードの枚数だけカードのコストを下げられる効果を持っている。これならば《彩色の星》も《テラリオン》も《魔法使の打ち上げ花火》もすべて2枚目以降はタダで設置できるようになるので、4枚ずつ入れることが正当化されるはずだ。

 

 

《テラリオン》や《魔法使の打ち上げ花火》もタップインを待たずに墓地に落としたいところ、《大いなるガルガドン》を「待機」すれば即座に生け贄に捧げることができる。

《昨日の首飾り》でコストを下げるには同名のカードを墓地に落とす必要があるが、《工匠の直感》を使えばこうした「ほぞ」 (1コストで生け贄に捧げられるアーティファクトの通称) を墓地に送り込みながら効率的に集められるはずだ。

 

 

『霊気紛争』の「器具」サイクルは起動に色マナこそかかるものの、《彩色の星》などと同様に起動したかどうかにかかわらず墓地にさえ落ちればドローできるので、白・赤・緑の1マナの3種を合わせて搭載すれば、驚異の「ほぞ」24枚デッキの爆誕だ。

というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!

 

テストデッキ
デッキビルド:まつがん
土地(17枚)

4《空僻地
1《
4《河川滑りの小道
4《産業の塔
4《尖塔断の運河

クリーチャー(11枚)

4《無謀な炎織り
3《回収するタイタン
4《大いなるガルガドン

テストデッキ

どうやって勝つねん!!!

《無謀な炎織り》とか生き残るわけないし、「ほぞ」の連鎖はいつかは止まるので手札は土地と《無謀な炎織り》と《大いなるガルガドン》と《工匠の直感》だけになって終わるので、最終的には《大いなるガルガドン》4体を無理矢理「待機」明けさせての頭の悪いクソビートしかやることがなくなってしまう。

そもそも一番の問題は《昨日の首飾り》を設置するまで、あるいは設置してもなおすべてのアクションにマナがかかりすぎる点だ。

《大いなるガルガドン》「待機」も《工匠の直感》の設置と起動も、正直現在のモダンにおいてはそんなことしてる暇のないアクションである。

ならば必要なのは、《昨日の首飾り》で軽減できるアーティファクトのサクり台と勝ち手段だ。

そしてこの考えに至ったことで、私はついに思い出したのである。

そう……《昨日の首飾り》の相棒とも呼ぶべきカードの存在を。

 

《研磨基地》と《マイアの回収者》のコンボを組み込めばいいのでは???

vol.17でも紹介したように、《マイアの回収者》のコストが0になっている状態では、《マイアの回収者》2枚と《研磨基地》があれば相手のライブラリーをすべて吹き飛ばせる。

そして《マイアの回収者》が2体落ちるか《昨日の首飾り》を2枚設置するまでは、《昨日の首飾り》で0コストにした24枚の「ほぞ」をエサに《研磨基地》を自分に対して起動し続けることで、ひとりでに手札と墓地が良い塩梅に揃ってくれるという寸法だ。

アーティファクトを生け贄に捧げては次のアーティファクトに連鎖させていく様はもはや実質令和のアイアンワークスと言っても過言ではない。《クラーク族の鉄工所》を禁止された恨みを、今こそ晴らすのだ!!

 

 

ちなみに冷静に考えたら《工匠の直感》とかいうマニアカードを使わなくても《ウルザの物語》で《昨日の首飾り》をサーチすればいいことに気づいてしまった。0マナで1マナのカードをサーチして出せるとか便利すぎるだろ。これだから『モダンホライゾン2』は……。

それはともかく、コンボパーツがすべてアーティファクトになったので、『機械兵団の進軍:決戦の後に』で追加された《無謀な始末》も採用できる。探してきたカードが墓地に落ちたら落ちたで《昨日の首飾り》で最終的にコスト軽減できるので無駄がない。ちなみに《無謀な始末》自体も2枚目以降は《昨日の首飾り》で軽くなるので、使用感は本家《ギャンブル》そのものだ。

 

 

一人回しの結果「0マナでアーティファクトを勝手に出せるカード」があるとコンボが成立しやすいと感じたので、《マイアの回収者》を出すとハッピーセットで付いてくる《弱者の剣》を採用することに。

じゃあ《ナルコメーバ》も入れ得じゃね?ってなってあれよあれよとデッキが変質していき……。

というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!

 

カグ・ステーション
デッキビルド:まつがん
クリーチャー(8枚)

4《マイアの回収者
4《ナルコメーバ

カグ・ステーション

もはや原型が残ってねーじゃねーか!!!

一人回しがあまりに楽しすぎて「ポイゾナス・ストーム」以来のお気に入りデッキとなった結果、コンセプトの先の先まで研究してしまった。《研磨基地》と《昨日の首飾り》を揃えると大体勝てるので、こういうガチャガチャしたデッキが好きな方はぜひ一度お試しあれ。

3.終わりに

『指輪物語:中つ国の伝承』はモダン環境に激変をもたらした。

ただそれは、支配的だった2つのアーキタイプを強化せず、他のアーキタイプだけを強化するという多様性を増す方向での変化だ。

今後新たに支配的なアーキタイプが登場するまでには時間がかかるだろう。それまでの間、再び混沌の渦に叩き落とされたモダン環境をぜひ楽しんでみて欲しい。

ではまた次回!

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