ボードゲーム遊び方紹介 第63回 『白猫はどこに消えた? ~寝古屋探偵 最初の事件~』 考察編
引き続き、秋山真琴さん『白猫はどこに消えた~寝古屋探偵 最初の事件~』を紹介します。
ゲームは、30枚の情報カードを使って、白猫の行方を導き出す内容です。
よく説明書を読むと、情報カードをめくった枚数によって評価が分かれています。真相を導き出すためにめくったカード枚数が少ないと、評価は上がります。いかに少ない枚数で真相にたどり着けるのでしょうか。これも、ゲームの趣旨になっています。
全部めくってしまった私は、評価外。まさにそのとおりの位置付けです。ですが、まだ答え合わせの封筒は開封していません。つまり、まだプレイ中だともいえます。
残りの20分を使って、ゲーム再開。
このようなプレイ法は、製作者の趣旨と異なります(でも、ほら、記事を書いたり、写真を撮ったりするから、どうしても途中で止めないといけなくて……と言い訳いたします)。皆さんがプレイするときは、ルールはきちんと守りましょう。
さて、真相の検討は、ついています。
ですが、30枚ある情報カード以外からの情報を使ったメタ推理です。そんな真相の導き方では私も自分の考えに納得できません。
前回で10分くらい時間を使っていますので、タイマーを20分にセットして、推理開始。
情報カードは何回でもめくっていいので、最初からやり直してみます。最初にめくる情報カードはランダムではなく、この状況だったらこう動くのが自然かなと筋道を立てました。
高評価を狙うなら、はじめの1枚を選ぶところから、勝負をかけましょう。
慎重さを優先させてめくったら、順調。ただし、1枚ミスがあり、結果、11枚で自分が思う真相にたどり着けました。カードをめくった枚数も覚えておいたほうがいいです。AかBかの二択でも、評価は左右されてしまいます。これは運が関係するかもしれません。
白猫はどこにいるか分かった。
でも、物語全体の要素がうまくつかめない。
やはり全部めくるべきだわ。
再び30枚すべてめくったら、物語の全貌が把握できました。
それでは、答え合わせです。はさみを使わなくても、綺麗に封筒を空けることができました。
見事正解!
手がかりも筋道もあっていました。最短ですと、10枚以内で真相にたどり着けます。
クイズに正解、不正解だけでは終わりません。さらにミッションがあり、それに沿ったエンディングも用意されています。
私が見たエンディングは、一番の理想形でした。当てずっぽうではなく、きちんと導き出した結果です。
ゲームブックやサウンドノベルのように、ゲームを解きながら物語を楽しむツールはありますが、カード式はなかなかない試みだと思います。
血なまぐさい内容ではないので、怖いのが苦手という人にもお勧めです。対象年齢は10歳以上ですが、もっと小さなお子さんでも楽しめそうです。ただし、お子さんのほうが、白猫がどこにいるのかすぐに分かってしまうかもしれません。
脇のキャラクターもしっかり設定されているので、続きが楽しみです。小説の形式としても楽しめそうな物語でした。
「白猫はどこに消えた? ~寝古屋探偵 最初の事件~」
価格:¥2,000(税別)
プレイ人数:1~5人
プレイ時間:45分
対象年齢:10歳から
メーカー商品ページ
1973年生まれ
作家。2007年に宗形キメラ名義で二階堂黎人との合作『ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子』で作家デビュー。2009年には『マーダーゲーム』で単独デビュー。近刊は「少女ティック 下弦の月は謎を照らす」(行舟文化)
ボードゲーム好きで『人狼作家』の編集も手がけ、羽住典子名義でミステリ評論活動も行っている。
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