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DIACLONE GATHERIZE アラフィフのための昭和マイナー玩具コレクション 第3回 ダイアクロン第一次アタックシステム編

公開日:Tg

『ダイアクロン』旧シリーズ紹介PART1

2016年より新シリーズが好評展開中のタカラトミー『ダイアクロン』。そのベースとなったのは、1980年(昭和55年)に販売開始された同名の男児向けシリーズでした。旧『ダイアクロン』はアニメや特撮といった映像作品を持たず、玩具展開じたいが原作そのものとなる、玩具オリジナルシリーズでした。そのシリーズを昭和マイナー玩具と呼ぶのは若干疑問ではあるのですが、やはり玩具オリジナル展開というのは、アニメや特撮などテレビ展開をしていた作品から見たらかなりマイナーな部類だったと思います。もちろんその代わりに「放送のない地方でも(雑誌展開などで)ストーリーを追える」「長期にわたる展開が可能」などの利点があるのですが。80年代は地方局では放送しなかったり、何年か単位での放送遅れなどがあったそうです(埼玉出身なのでそこは問題なかったのですが)。80年代後半は衛星放送がありましたが基本ニュースなどの配信中心で、アニメなどのエンタテインメントが、文字通り星のようにあふれてくるのはWOWOWほかCS放送、そしてデジタル放送がいきわたる21世紀以降のこととなります。また、今のようにインターネットを介したコミュニケーションはなく、情報の共有も非常に難しかった時代でした。カタログに載っていないバリエーションや番外的存在のリモコンカーロボットなどは、ネットの情報がなかったら偶然出会うまで存在を把握できませんでした。

90年代半ばころからの個人サイトの発展にはじまった掲示板文化よって、発売アイテムや非カタログ掲載アイテムの情報共有が飛躍的に進むようになります。ここからの苦労がまた長いのですが、そんな細かい苦労はさておき(さておくんかい)。

「たいむましん」のツイッターアカウント(@time_machine_go)では、2020年7月の発売40周年を記念して、ツイッターの日替わり企画「今日のデスクトップトイ」にて2週間ほど旧版アイテムを紹介しました。現状だとログに流されてしまいますので、今回は番外編としてスタッフブログとして再構成しました。紹介したのは「第一次アタックシステム」と呼ばれる時期のアイテムで、およそ新発売から最初の1年目に該当します。「デスクトップトイ」というテーマから、あえてファーストアイテムでありフラッグシップであるロボットベースは除外しましたが、読み物化にあたって追加収録します。

 

力強きその姿は人類の至宝:ロボットベース

最初に紹介するのは、ツイッターでは「デスクトップトイ」という制約があったために掲載を遠慮した「ロボットベース」です。せっかくの読み物ということで新撮で登場! 第一次アタックシステムの集結です。

ロボットベース


※大腿部側面のフリーゾンミサイルが欠品状態です。

 

『ダイアクロン』の第一弾アイテムにしてフラッグシップアイテムです。雑誌広告などでも発売の約半年前から全面に押し出されていたことからも、このロボットベースの基地遊びこそが、初期ダイアクロンがメインと設定したプレイバリューであることが推測できます。


いまなお巨大ロボット史上唯一無二といえる複雑なフレームワークで構成されたその胸部は、おそらく『ダイアクロン』の語源とされる「ダイヤモンド(のように固い友情と団結)」をデザイン化したものと思われます。


フリーゾンビームキャノンが一門付属。左右どちらかの拳と入れ替えて装着することができます。手の甲にはダイアクロン隊員が搭乗するフィスト・コクピットが設けられており、一種の戦闘機のような扱いになっているようです。

 

戦車基地


膝から下を前後に開くことで戦車基地へと変形します。足の内部でギアがかみ合うことで前後の開き具合が連動したものとなり、変形はかなりスムースです。戦車基地になることで背面のエスカレーターも着地するようになります。頭部を倒すとベースファイターをセットできます。


▲大腿部のハッチはそのまま階段となり、むこうずね部分を通って足先に格納されたベースアタッカーに乗り込む、という搭乗シークエンス的な遊び方もできます。

 


▲胸部は司令部室兼コックピットとなっており、腹部はフリーゾンミサイルの発射装置が内蔵されています。

 

 

合金×合体を廉価に!:ダイアバトルスシリーズ

もう1点、第一次アタックシステムのアイコン的アイテムとなっているのが三機合体メカ・ダイアバトルスです。01~03の単体箱とセット箱の全4種のパッケージで発売されました。

ダイアバトルス

●バトルス01

まずは小型高速車・バトルス01です。両サイドに装備された2門のミサイル発射装置は、合体後は両肩の装備となり、ダイアバトルスのシルエットの特徴の一つとなります。車体中央上半分のシルバー部分がダイキャストで、全長約8cmながらちょっとした重量感があります。

 

●バトルス02

小型戦闘機バトルス02は、機体左右にミサイル発射装置を装備。ダイアバトルス への合体時は発射装置を含む両側のパーツが左右に開き、機体中央のコックピットが背面に回り込みます。このコックピット周りのほとんどがダイキャスト製で重量があり、両側を開くと自重でそのままコックピットが翼の背面に回り込みます。

コックピットと機体(翼部分)との接続もあえてゆるくなっており、計算された自動変形の一種だと思います。最初にいじった時は感動しましたね。
バトルス02変形ムービー

また、主翼下にはバトルス01~03共通のミサイルパーツを懸架できるジョイントがあります。軍用機ではメジャーな装備方法ですが、当時の子供向けトイではまだ珍しいギミックでした。ここに02と03の分のミサイルをセットすることで、合体後も余剰のミサイルが発生しません。

 

●バトルス03

小型攻撃機バトルス03は、ダイアバトルスの両足をほぼそのまま双胴型のマシンにアレンジしています。左右の脛にコックピットが設けられた2人乗りですが、付属人形は1体のみです。

01、02同様に2門のミサイル発射ギミックを持ち、本体の上半分がダイキャスト製となっています。可動部は4枚の翼のスイングと足首のブロック。シルバーの主翼は合体時にコックピットを覆うカバーとなりますが、隊員が搭乗したままでは閉まりません。

バトルス01、02、03集結! 


戦闘機(バトルス02)と攻撃機(バトルス03)の違いは『艦これ』で知るまで気にしていませんでした……。

●ダイアバトルス

バトルス01、02、03が合体したのがダイアバトルス です。実はダイアクロンがデビューした1980年はロボットアニメが多数製作され、ポピー(現バンダイ)の超合金の売り上げがぐんぐんと伸びていた時期でした。

ダイアバトルスはそうした合金ロボの対抗馬としてデビューしています。ダイキャストの多用もそのためですね。全高約13cmとコンパクトながら、セット版でもお値段は2200円。価格・サイズともにスタンダード合金クラスでありながら、DX合金トイの合体機構を盛り込んだわけです。


バトルス01の頭部をあえて収納したまま02、03と合体させることで、03に押し出されるかたちで最後にジャキーン!と頭が出てきます。


おそらく当時のロボットアニメの合体バンクのイメージを描いていたものだと思っています。

 

そうした事情を鑑みると、ロボットベースとはまた違う意味で頼もしい存在に感じられますね。

 


新旧のダイアバトルスを並べると初代バトルスが小柄に見えてしまいますが、逆に考えればこのサイズでワルダー軍団と戦える当時最新鋭の性能を持っていたと思うとわくわくしますね。機会がありましたらぜひとも新旧両方のバトルスに触れてみてください。

自動変形を実現!    アタックマシーンシリーズ

いわゆるゼンマイ機能を採用することで、時間差を持たせた自動変形を実現したシリーズです。前年にトミーから発売された『科学冒険隊タンサ―5 』の「ミラクルチェンジ」シリーズの影響が大きいと思われます。アニメや特撮の映像のような「自動変形」は当時の子供、そして開発陣にとっても恐らく夢のギミックでした。

アタックマシーン

●ダイアトレイン

電車型のビークルからジェットマシンに変形する、アタックマシーンシリーズ『ダイアトレイン 』。車体上部のボタンを押すと1:左右の主翼展開 2:機首のせり出し 3:小型ウイング出現の「1プッシュ3アクションの時間差変化(アタックチェンジ)」が自動で行われます。

 

ダイアトレイン変形ムービー

アタックチェンジはゼンマイ動作を介して変形に時間差を持たせているのが特徴です。

 


展開後のダイアファイターでは4人分の座席に加え砲台部に1人搭乗可能。さらに主翼付け根にも鉄板があって隊員を立たせることもできます。

え?隊員足りるの?と思われるかもしれませんが、バトルスを合体させるとあぶれた隊員が乗せることができます。当時の開発側がそこまで意図していたかはわからないのですが。

ダイアトレイン悲劇の変形
オマケ映像(映画のエンディングのNGカット集みたいな)。隊員を乗せて変形させたら勢い余って微妙な惨事が起こっています。

 

 

●コズモローラー

コズモローラーは対ゲリラ戦用に開発された戦闘用大型装甲車。車体上部のボタンを押すと1:外装が左右に展開 2:2門のミサイル発射 3:小型偵察マシン射出の3アクションが楽しめます。

 

展開状態は特に名称はないのですが、情報収集能力が高いという設定です。前線におけるCIC的な役どころなのでしょうか。


装甲車状態では壁面にあたる部分にも隊員が乗りこむスペースがあり、鉄板も多いため、ダイアトレイン同様多くの隊員を収容できます。

それこそバラしてみないと確認できないのですが、左右のミサイルと小型偵察車、どんな順番で発射されるのが正解なのか、買ってから何十年経っても気づかないことがけっこう多いというコレクターあるあるですね。ダイアトレインとあわせて一度分解してゼンマイ周りをメンテしてみないとかもしれませんねえ……。
コズモローラー変形ムービー

 

無限に繋がる前線基地:パワーベース

8cm×8cmの連結可能なベースと小型ビークル(パワー機動車)、そして隊員1体の3点セットです。ブリスター状態で販売されました。パワーベースTYPE-1から4の4種類、各タイプ3色ずつのカラーバリエーションがあります。

パワーベース

●TYPE-1 指令センター

唯一ベース部にシートモールドが設けられています。パワー機動車はフロントよりにコックピットがあるのですが、個体差なのかうちのは隊員が乗り込みにくくなっています。

 

●TYPE-2 出動エリア

TYPE-1同様にコーナー型のベースです。パワー機動車はスタンダードな、台形型のデザインです。

●TYPE-3 補給エリア

ベース部分にタンク状のモールドがあり、道の部分が坂になっています。パワー機動車はドリル付き、フリーゾンを掘るんでしょうか。

●TYPE-4 修理センター

道は直線道路になっています。ただしカーブ仕様の2種と同じく両端が高い位置にあるため、TYPE3との連結は接続方向に制限があります。

パッケージなどでは連結が奨励されていますが、実際には集めて楽しむよりも、紛失した隊員の補充用など、単品売りに近い位置づけだったのではないでしょうか。オーバルコースを組むのも難易度高いです(最低2セットずつ必要)。

余談ですがパワーベースの凹凸を組み合わせたジョイント周りの構成は、結合すると凹凸が見えなくなるのが特徴。この形状は2017年発売のトランスフォーマーマスターピース MP-41 ダイノボット以降のいくつかの商品に付属するディスプレイスタンドにも応用されています。名称が「TFパワーベース」なのも偶然ではないわけですね。ベースを共通化させることで複数を連結させて集合状態で安定させたディスプレイが可能です。

 

ちなみにパワー機動車はコズモローラー付属の偵察マシン(中央)とほぼ同ボリュームでした。コズモローラーにセットできる機動車もあるのですがひっかかって取り出しにくくなりますのでご注意。

 

重爆撃機から変形する天空の要塞:ダイアアタッカー

敵移動要塞を攻撃するために開発された機動力と攻撃力を備えた多目的変身ロボ。超音速重爆撃機スペースアタッカーに変形します。スペースアタッカーは最大7人搭乗可能と結構な大所帯です。

ダイアアタッカー


ミサイルギミックが全6門+パンチ発射ギミック2門とダイアバトルスを凌駕し、小型機1機(背面)に戦闘機2機(パンチと差し替えですが)と、ロボットベースに匹敵する搭載量をほこります。パンチには隊員が乗るスペースもありました。

第一次アタックシステム後期のフラッグシップアイテムであると同時に、よく言われるようにロボットベースの廉価版的な役割があったようです。とはいえ基本的には、当時のアニメは変形・合体ロボの戦国時代であり、そのさなかに投入された正統派な変形ロボだったと思います。

 


▲なお、でかでかとタイトルにしておいて何ですが「GATHERIZE」は「集合・集結」をイメージした造語です。正しい英語にはない言葉のようですしそもそも文法というか文脈として変?気にしない気にしない。

 

関連リンク

●タカラトミー  ダイアクロンページ(現行シリーズの公式サイト)

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