ラマダーン柿沼 MTGエターナルのススメ

【MtGエターナルのススメ】ランドスティルの歴史

公開日:ラマダーン柿沼

こんにちは。ラマダーン柿沼です。

8月後半から一気に夏が来た!っと言う感じになり、9月に入っても暑い日が続きますね!筆者はコロナ禍の影響もあり店舗大会には出られず、Discordを通じて友人とレガシーの調整を続ける日々が続いています。

今回は現在のレガシー環境の中で特にお気に入りのデッキをその歴史と共に紹介したいと思います。懐かしくもあり新しいカードが加わることでリニューアルを繰り返して来たデッキなので最近レガシーを始めた方も古参プレイヤーも読んで頂ければ幸いです。

 

レガシー最古のコントロール〜ランドスティル〜

大会名:Trader Legacy Mai 2008
プレイヤー名:none
土地(25)

1:《アカデミーの廃墟》
1:《Scrubland》
1:《トレイリア西部》
1:《不毛の大地》
2:《島》
2:《汚染された三角州》
2:《Underground Sea》
3:《平地》
4:《溢れかえる岸辺》
4:《ミシュラの工廠》
4:《Tundra》

クリーチャー(1)

1:《永遠のドラゴン》

呪文(34)

3:《狡猾な願い》
4:《渦まく知識》
4:《対抗呪文》
4:《意志の力》
4:《剣を鍬に》
1:《正義の命令》
3:《神の怒り》
2:《謙虚》
4:《行き詰まり》
1:《ジェイス・べレレン》
1:《世界のるつぼ》
3:《仕組まれた爆薬》

サイドボード(15)

3:《仕組まれた疫病》
1:《悟りの教示者》
3:《根絶》
1:《水流破》
4:《翻弄する魔導士》
1:《原野の脈動》
1:《塵への帰結》
1:《殺戮の契約》

 

2004年の9月に制定されたフォーマット、レガシーはそれまで発売されたセットからポータル系エキスパンションを除き全てのカードを使用できるフォーマットとして、それまで存在していたタイプ1.5から引き継ぎで誕生しました。

 

黎明期ではゴブリン1)レガシーを代表する部族デッキの一つ。赤単、赤黒、赤黒緑、赤白と様々なバリエーションがある。黎明期から存在するデッキであるものの新しいエキスパンションからの恩恵を受けやすいため時代とともにアップデートされ続けている。やベルチャー2)黎明期から存在するコンボデッキの一つ。土地の枚数が極端に少なく黎明期では2ランド、現在では1ランドが主流になっている。デッキの構成がマナ加速スペルとフィニシャーで占められており、早いターンでゲームを決めることができる。等現在でもその名を轟かせるようなデッキやトレード・ウィンド・サバイバル3)黎明期に存在したビートコントロールデッキの一つ。キーパーツの貿易風ライダーからのハーフロックと適者生存の対応能力が魅力のデッキだったが、神河救済で収録された真髄の針が流行ると数を減らし、適者生存が禁止されると環境から姿を消した。やマッドネス4)オデッセイのキーワード能力の一つ、マッドネスを用いたクロックパーミッションデッキ。野生の雑種犬、アクアミーバをはじめとした共鳴者を使用し、日を浴びるルートワラや尊大なワームを捨てることで、マッドネスを誘発させ、テンポとアドバンテージを得る。未来予知発売以降はタルモゴイフが台頭しより相性の良いクロックパーミションデッキであるスレッショルドが主流になっていく。等の今では禁止やパワー不足により存在しなくなったデッキが多数存在していました。

「ランドスティル」5)行き詰まりをアドバンテージ源に据えたボードコントロールデッキ。典型的なドローゴーデッキあり自ターンでの行動は殆ど無い。はそれらのデッキの中で現在でも一線級で活躍することのできるデッキの1つです。
レガシー最古のデッキの1つである「ランドスティル」はレガシーの制定より3年前に発売されたオデッセイに収録されたエンチャント、《行き詰まり/Standstill》をアドバンテージ源に据えた青白+αのボードコントロールデッキです。デッキ名に冠する通り《行き詰まり》設置後からの《ミシュラの工廠/Mishra’s Factory》によるビートダウンが特徴のデッキですが、《行き詰まり》を軸に据えた典型的なドローゴーデッキでもあります。

更地に《ミシュラの工廠》によるビートダウンで3ドローを強制する。

 

優秀な白の除去を最も強力に使えるのは青白系コントロールデッキならでは

盤面を更地にした上での上記のムーブは相手に対してスペルの強制を求めることができる為、結果として3ドローの恩恵はランドスティル側が得ることができます。
デッキの構成は《剣を鍬/Swords to Plowshares》にや《神の怒り/Wrath of God》等の白の除去と《対抗呪文/Counterspell》や《意志の力/Force of Will》に代表される青の優秀なカウンターにより形成されています。

青のカウンターは黎明時から現在まで時代を超えて採用され続けている

 

コントロール向けな優秀なサイクリングカード達

またスカージに収録された2種類のサイクリングカードは「ランドスティル」との相性が非常に良くそれぞれが高い採用率を誇りました。それが《永遠のドラゴン》と《正義の命令/Decree of Justice》です。

《永遠のドラゴン》は序盤は土地サーチ、後半は5/5飛行のフィニッシャーと腐る場面が少なく、《正義の命令》は《行き詰まり》を設置している盤面でも行き詰まりを誘発させることなくフィニッシャーを展開できる点で長い間採用されていくことになります。

 

狡猾な願い

また、現在のコントロールでは珍しい《狡猾の願い》が採用されることもありました。

 

 

ケースバイケースで必要なツールにアクセスが可能!

現在では「オムニテル」6)実物提示教育を使用したコンボデッキの一つ。全知を場面に出すことで引き裂かれた永劫、エムラクールや狡猾の願いから火想者の予見→蟻の解き放ちといったスペルでゲームを決める。似たデッキでスニークショーと比べると実物提示教育への依存度が高い。に代表されるコンボデッキのフィニッシュやユーティリティとして採用される機会が多いカードですが、黎明期の「ランドスティル」では《解呪/Disenchant》や《悟りの教示者》、《原野の脈動》と言ったメインの採用が難しいシルバーバレットのサーチとして重宝されていました。

 

様々なパーマネントを採用することで多くの派生デッキが誕生した

この頃の「ランドスティル」の派生デッキとして、行き詰まりの代わりに『ミラディン』に収録されたアーティファクトカードである《等時の王笏》をアドバンテージ源とした「セプターチャント」や、『アポカリプス』に収録されたエンチャント《破滅的な行為》によりボードコントロールをより強固な形にした「ディードスティル」等が挙げられます。

 

当時の環境を定義するクリーチャー

また、2007年以降の未来予知登場以降は《タルモゴイフ》が採用されることが増えました。これは相手の《タルモゴイフ》へのブロッカーとフィニッシャーを兼ねており、《タルモゴイフ》の低マナ高クロックはそれまでの「ランドスティル」には無かった素早いゲームも可能としました。

 

脱線になりますが、「ランドスティル」だけに留まらずこの時期は様々なデッキに《タルモゴイフ》を採用することが流行りました。相性の良い青緑スレッショルドだけに留まらず、スライ7)クリーチャー主体のバーンデッキ。レガシー黎明期では現在と比べて優秀な火力が少なかったこともあり多くの使用者がいた。やピキュラブラック8)白黒のミッドレンジデッキ。黒の闇の腹心やトーラックの賛歌といったアドバンテージカードと白の剣を鍬にや名誉回復といったボードコントロールカードの採用により、様々な盤面において適応可能なデッキ。、果てはスリヴァー9)テンペストで登場したクリーチャータイプ、スリヴァーを使用した部族デッキ。数年周期で新規のスリヴァーカードが刷られており、愛好者が非常に多い。やマーフォーク10)マーフォークのクリーチャータイプにフィーチャーした部族デッキ。ロードの数が他の部族より多く、特にアトランティスの王と真珠三又の達人が付与する島渡りは、青いデッキが多いレガシーでは有効な場面が多い。等の部族デッキに採用されることも少なくありませんでした。これは《タルモゴイフ》がただ単に強力なパフォーマンスを誇るクリーチャーであるという点だけではなく、相手の《タルモゴイフ》対策に有効な為でした。

この流行という点で言えば、2011年の「精神的つまづき環境」や現在の「オーコ環境」はレガシー黎明期から脈々と続くブームとしてある意味レガシーの面白さだと感じています。

 

 

 

 

メタの隙間を縫っていけ!〜青黒緑ディードスティル〜

大会名:グランプリプロビデンス11 ベスト4
プレイヤー:Paulo Vitor Damo da Rosa
土地(24)

3:《溢れかえる岸辺》
2:《島》
4:《ミシュラの工廠》
1:《霧深い雨林》
2:《汚染された三角州》
2:《沸騰する小湖》
3:《Tropical Island》
3:《Underground Sea》
4:《不毛の大地》

クリーチャー(0)

 

呪文(36)

4:《渦まく知識》
2:《対抗呪文》
1:《悪魔の布告》
1:《四肢切断》
4:《意志の力》
1:《喉首狙い》
1:《無垢の血》
4:《精神を刻む者、ジェイス》
2:《壌土からの生命》
4:《精神的つまづき》
4:《破滅的な行為》
1:《燻し》
3:《呪文嵌め》
4:《行き詰まり》

サイドボード(15)

1:《滅び》
1:《悪魔の布告》
1:《恐ろしい死》
4:《虚空の力線》
1:《大渦の脈動》
3:《思考囲い》
1:《ヴィダルケンの枷》
3:《ヴェンディリオン三人衆》

 

Φマナのカウンターはレガシー界を席巻!

2011年に発売された『新たなるファイレクシア』ではマナの代わりにライフ2点を充てることのできるΦマナが登場しました。Φマナコストは各色に充てられましたが、青に充てられたカードはレガシー以下のエターナル環境に激震を走らせることになります。そのカードが《精神的つまづき》です。

 

青のΦマナで1マナの呪文をカウンターすることのできるこのカードは、特に1マナ帯が強力なエターナル環境では浸透するのに時間はかかりませんでした。
当初は青以外のカラーリングでも使用可能なカウンターとして注目を集め、Zooやマーベリックに採用されることが期待されたのですが、蓋を開けてみれば青を含むほぼ全てのデッキに採用される程の採用率を誇りました。
その為2011年当時のレガシー環境では如何に《精神的つまづき》を無視できるか?という構築とデッキ選択が求められることになりました。

様々なデッキで使用される1マナスペルだが当時は…

 

グランプリプロビデンス2011ではフォーマットがレガシーだった為、多くのプレイヤーがこの問題と対峙していました。後の2012年に殿堂入りするブラジルのパウロ・ヴィッター・ダモ・ダ・ロサはこの環境の答えに「BUGディードスティル」を選択し、見事にベスト4 に進出しています。

 

当時の環境で隆盛していたビートダウンデッキの代表格が《野生のナカティル》などの優秀なクリーチャーを有したZoo11)白赤緑で組まれたビートダウンデッキ。黎明期から存在していたが、アラーラの断片で登場した野生のナカティルをはじめとした優秀なクリーチャーが収録したことにより大幅に強化された。です。環境を定義していた《精神的つまづき》に引っかかる1マナのカードを多数採用していますが、ナヤカラーで構成されているZooにとっても色に縛られずに採用可能なピッチカウンターである《精神的つまづき》は、相手の《精神的つまづき》に睨みをきかせるだけでは無く、除去避けやハンデスと言ったカードに対応することが可能でした。

 

 

コントロールで台頭していたのは青白石鍛治12)フィニシャーに石鍛治の神秘家を添えた青白を中心にしたコントロールデッキ。新たなファイレクシアで登場した殴打頭蓋が登場したことによりレガシーでも一線級となった。や青緑赤ジェイス13)青緑赤で組まれたコントロールデッキ。当時はCABジェイストも呼ばれていた。精神を刻むもの、ジェイスと罰する火コンボによりハンドアドバンテージとボードコントロールを行う。です。

青白石鍛治は同年に《殴打頭蓋》が登場したことで、それまでビートダウンでの採用実績が多く見られた《石鍛治の神秘家》をあらゆるデッキに組み込む事を可能としました。特に《殴打頭蓋》の生体武器のメカニズムと自身をバウンスする能力はコントロールデッキに於いて噛み合いが良くこの時期の青白コントロールと言えばこのデッキが1番に挙がります。

 

 

 

青緑赤ジェイスは優秀なカウンターと火力、《壌土からの生命》と《精神を刻む者、ジェイス》によるアドバンテージを主とした昔ながらのコントロールです。特筆すべき点は前年に登場したエキスパンション、ゼンディカーに収録されたインスタント火力である《罰する火》と、未来予知に収録された《燃柳の木立ち》を合わせた罰する火コンボを採用している点にあります。元々エクステンデッドで猛威を奮ったコンボなのですが、相手がライフを得る度墓地より回収できる《罰する火》と赤or緑のマナを出す度に相手にライフを与える《燃柳の木立ち》で火力を使いまわし続ける事が可能な為ビートダウンやプレインズウォーカーにとって有効でした。強力かつ対応が困難である為、モダンでは現在でも《罰する火》は禁止になっている程です。

 

 

コンボビートの代表格は青緑αオーダーが挙げられます。《自然の秩序》から《大祖始》
を踏み倒すコンボデッキですが、ルーツを辿るとカナディアンスレッショルドに代表されるテンポデッキからの派生の1つに分類されます。青緑スレッショルド14)黎明期に存在したテンポデッキ。不毛の大地やもみ消しといった軽量マナ否定でゲームを掌握し、敏捷なマングースや熊人間等スレッショルドを持ったクリーチャーが多く採用された。、カナディアンスレッショルド15)青緑スレッショルドに赤を足したテンポデッキ。除去火力に稲妻を採用し、サイドボードに赤霊破や紅蓮破といった青メタのカードが採用された。、ニューホライズン16)マナ否定と軽量カウンター、優秀なクリーチャーでゲームを進めるクロックパーミッションデッキの一つ。白青緑で組まれており、当時隆盛を博していたタルモゴイフに対応すべく聖遺の騎士や土を喰うものを採用した。と時代と共に進化してきたテンポデッキの当時の最先端のデッキの1つが青緑αオーダー17)緑の太陽の頂点の登場により安定して盤面に緑のクリーチャーが供給されるようになったことで登場したビートコンボデッキ。自然の秩序から大祖始のコンボを搭載している。青白石鍛治の登場により殴打頭蓋とのダメージレースに弱いため、徐々に姿を減らした。です。

《精神的つまづき》の流行で信頼度の下がった《敏捷なマングース》や《秘密を掘り下げるもの》と言った1マナアタッカーや場面を選ぶ1マナスペルである《もみ消し》を不採用にし、代わりにマナクリーチャーである《貴族の教主》、デッキの安定性を高める《緑の太陽の頂点》、コンボの要である《自然の秩序》が採用されました。また、《目くらまし》や《意志の力》といった優秀なピッチカウンターは相手の脅威を弾いたりこちらの《自然の秩序》を通したりと重宝します。そして《聖衣の騎士》をはじめとした緑のクリーチャー達は《自然の秩序》に頼らずともゲームを決める事が可能です。

 

最後にコンボを紹介します。当時のコンボデッキで代表的なデッキがスニークショーやハイブマインド18)元々はエクステンデッドで流行したコンボデッキ。キーカードは集団意識と契約各種で集団意識で相手に契約をコピーさせることで勝利する。ラヴニカの帰還で死儀礼のシャーマンが流行すると、徐々に姿を消していった。です。どちらのデッキもコンボの要が3マナの《実物提示教育》にあります。

 

 
《実物提示教育》や《騙し討ち》を経由して《引き裂かれし永劫、エムラクール》や《大祖始》などを場に出し、クリーチャーのコンバットを介して勝利を目指すスニークショーに対して、ハイブマインドは《実物提示教育》により《集団意識》を戦場に出した後に《タイタンの契約》や《召喚士の契約》といった未来予知に登場した契約スペルを相手にコピーさせる事で、相手のアップキープ時に遅延誘発する契約コストの不履行により勝利を目指すコンボデッキです。どちらのデッキもコンボの成立に《精神的つまづき》が影響しないため当時の環境には非常に適したデッキでした。

 

 

単体除去に強いファッティに向けた単体除去が多めに採用された

当時のメタ傾向としては先に述べた通り、如何に1マナ以上に重きを置くかに焦点が絞られていた為、それ以前に環境で活躍していた1マナを肝とするANT19)むかつきをキーカードに据えるコンボデッキ。軽量マナ加速からむかつきによる手札確保、十分なストームからの苦悶の触手でゲームを決める。やリアニメイト20)納墓等で大型クリーチャーを墓地に落とし、墓地のクリーチャーを場に戻すことができる死体発掘や再活性でマナを踏み倒すコンボデッキ。等の比較的軽くて早いコンボ、カナディアンスレッショルドに代表される軽量クロックパーミッションは極端に数を減らすことになりました。
その為相対的に重めのカウンターである《対抗呪文》や2マナを打ち消せる《呪文嵌め》といったカウンターの価値は高くなり、結果としてパウロ・ヴィッター・ダモ・ロサのディードスティル21)ランドスティルに破滅的な行為を採用したコントロールデッキ。破滅的な行為により盤面のコントロール力が向上しているが、3色ないしは4色で組まれるため、色供給がやや不安定である。の構築は環境で優位に立つことができたのだと考えられます。

 

 
また《破滅的な行為》は生贄系除去に邪魔なクリーチャーをインスタントタイミングで根こそぎ除去できる為当時の全体除去としては非常に優れていたと思われます。また、《行き詰まり》に加えて《精神を刻む者、ジェイス》や《壌土からの生命》といったアドバンテージを獲得するカードの採用は当時のミッドレンジ〜コントロールが多い環境では相手とのハンド枚数の差を付けて勝負できるカードとして枚数を増やして採用されていました。

 

 
また《破滅的な行為》は生贄系除去に邪魔なクリーチャーをインスタントタイミングで根こそぎ除去できる為当時の全体除去としては非常に優れていたと思われます。また、《行き詰まり/Standstill》に加えて《精神を刻む者、ジェイス》や《壌土からの生命》といったアドバンテージを獲得するカードの採用は当時のミッドレンジ〜コントロールが多い環境では相手とのハンド枚数の差を付けて勝負できるカードとして枚数を増やして採用されていました。

相手より沢山の有効牌を引くことで相手をコントロールしきる

 

 

トップからのドローからの誘発で低コストでキャストが可能!

翌年になると、『アヴァシンの帰還』に収録された「奇跡」というメカニズムはレガシー環境を席巻します。
青系コントロールの頂点は長らくこの奇跡のギミックを仕込んだミラクルコントロール22)奇跡のキーワード能力をふんだんに利用したコントロールデッキ。全体除去である終末を軽量かつ任意のタイミングでキャスト可能なため多くのビートダウンデッキにとって難しいゲームを強いることができる。に譲ることとなりました。奇跡のメカニズムを汲む2種類のカード、《終末》と《天使への願い》は低コストで最大限の効力を発揮することが可能です。

ライブラリートップ3枚を積み込んで相手をハーフロック!

ミラクルコントロールの強みは全体除去やフィニッシャーを任意のタイミングでキャストすることが可能な点にあり、これを支える潤滑油が《師範の占い独楽》と言えたでしょう。
《師範の占い独楽》はライブラリートップ3枚の検閲とインスタントタイミングドローが可能で、奇跡の誘発はもちろんのこと、《相殺》と共にソフトロックすることもできるなど、ミラクルと非常に相性が良いアーティファクトでした。

また上記にある《相殺》とフェッチランドは非常に相性が良く、当時の環境に於いて完成されたコントロールデッキとして長らく多くのプレイヤーに愛されることになりました。しかし《師範の占い独楽》により1ターンにかかる時間が非常に多くなり結果としてWotC社によりゲームに相応しくないものとして烙印を押されてしまうことになります。その結果、2017年4月には《師範の占い独楽》が禁止に指定されました。

 
《師範の占い独楽》禁止後もスロードリップ付きのキャントリップスペル《先触れ/Portent》を採用し、それらと相性の良い《予報》等のドロースペルを駆使したタイプやアドバンテージを重視した《蓄積した知識》を採用したタイプ、また《師範の占い独楽》現役時ではサイドに2枚程度採用されていた《僧院の導師》がメイン採用されたタイプ等多岐にわたるミラクルコントロールが確立されてきました。

 

そんな中、エルドレインの王権に収録された1枚のカードにより奇跡は新たなステージに昇華されることになります。そのカードが《王冠泥棒、オーコ》です。

オーコはレガシー環境を一変させた

しかし、同時に他の多くのデッキにて《王冠泥棒、オーコ》が採用されたこともあり、無尽蔵に場に出てくる鹿トークンに対して《終末》の奇跡はゲーム内に於ける価値を落とすことになります。このように全体除去は現環境ではマストパーツでは無いものと考えられてしまい、結果として奇跡コントロールの数は減っていくこととなりました。

※バント奇跡の成り立ちについては前回の記事23)【MtGエターナルのススメ】2020年上半期レガシー環境の総括」内の「1月〜3月 ジェスカイ死の国からの脱出」にて言及していますので割愛させていただきます。

 

 

 

空飛ぶサメ!?〜サメスティル〜

大会名:Legacy League-2020/8/1
プレイヤー:Bosh N Roll
土地(21)

4:《溢れかえる岸辺》
1:《ヘリオッドの高潔の聖堂》
5:《島》
2:《平地》
1:《虹色の眺望》
3:《沸騰する小湖》
2:《Tundra》
1:《Volcanic Island》
2:《不毛の大地》

クリーチャー(2)

2:《瞬唱の魔道士》

呪文(37)

1:《精神を刻む者、ジェイス》
2:《時を解す者、テフェリー》
2:《議会の採決》
4:《思案》
2:《至高の評決》
4:《渦まく知識》
2:《対抗呪文》
1:《否定の力》
4:《意志の力》
1:《呪文貫き》
4:《剣を鍬に》
1:《世界のるつぼ》
2:《神話実現》
3:《サメ台風》
4:《行き詰まり》

サイドボード(15)

1:《至高の評決》
2:《封じ込める僧侶》
1:《耳の痛い静寂》
1:《解呪》
1:《狼狽の嵐》
1:《僧院の導師》
1:《山》
1:《無のロッド》
3:《紅蓮破》
1:《安らかなる眠り》
1:《石のような静寂》
1:《外科的摘出》

注目カード1 〜サメ台風〜

2020年5月。『イコリア:巨獣の棲処』にて収録された1枚のカードによりかつて青白コントロールの覇権を握っていたランドスティルは復活することになりました。そのカードが《サメ台風》です。

《サメ台風》は6マナのエンチャントでインスタントかソーサリーを唱える度にコスト分の飛行持ちのパワーとタフネスを持つクリーチャーを精製するエンチャントですが、注目すべき点はサイクリング時に誘発するトークン精製の能力にあります。
以前採用されていた《正義の命令》同様の働きをするサイクリング時の誘発型能力なのですが、正義の命令が横に展開するトークン精製に対しサメ台風のクリーチャー精製は注ぎ込んだマナの数だけのパワーとタフネスを持つトークンが場に出ます。
この能力は《行き詰まり》が場にある状態でもクリーチャーを展開することが可能で、相手のコンバット時にサイクリングからプレイする事で相手のクリーチャーを打ち取る事も可能です。また、《正義の命令》とは異なりコストが無色マナ1つ分軽く、出てくるトークンも飛行持ちということもあり運用も容易な為、デッキに多くの枚数を採用することが可能です。その為、過去のランドスティルよりも《行き詰まり》のキャストがし易く、相手の場に少量のクロックが出ている盤面でも《行き詰まり》をキャストして後続の《サメ台風》から相手にとっての脅威を展開することが可能です。

 

 

注目カード2 〜神話実現〜

デッキ内に入っているもう3種類目のエンチャント、《神話実現》はこのデッキのフィニッシャーを担っています。『タルキール龍紀伝』で登場したこの白1マナのエンチャントは、タルキールブロック内の白赤青マナを根源とする「氏族」、ジェスカイにおけるキーワード能力、「果敢」をエンチャントに反映したカードです。

通常の果敢が1ターン内にスペルを唱えるたび+1/+1修正を与えターン終了時に修正が消えてしまうのに対して、《神話実現》では伝承カウンターを用いてクリーチャー化した際のパワーを決定する為、唱えたスペル分だけ強力な力を発揮する事が可能です。また、普段はエンチャントである為、相手からすると対処が困難です。その為、行き詰まりにスタックして除去されることが稀なので1ターン目《神話実現》から2ターン目の《行き詰まり》は相手にとって大きなプレッシャーになります。

また、《神話実現》自体の能力で伝承カウンターを乗せれる為、行き詰まりコントロール下のマナの使い道になる点でもデッキとの一貫性を感じられます。

 

 

注目カード3 〜ヘリオッドの高潔の聖堂〜

エンチャントを多用するデッキはレガシー環境内に於いてパッと思いつく限りでエンチャントレス程度しか存在しません。そのエンチャントレスでは速度を重視し、《繁茂》や《楽園の拡散》をはった土地を《不毛の大地》で破壊されないように基本地形の採用を優先して可能な限り特殊地形は採用されてきませんでした。

墓地にあるエンチャントを白1マナでライブラリートップに置ける能力をもった土地である《ヘリオッドの高潔の聖堂》は相性が良いと思われていたエンチャントレスにも採用実績が無く、《ヘリオッドの高潔の聖堂》が使われるデッキは今まで存在していませんでした。
そんな《ヘリオッドの高潔の聖堂》ですがこの度サメスティルにより日の目が当たる事になります。

上記のようにエンチャントを繰り返し使用可能な能力は《行き詰まり》による継続的なアドバンテージの確保、《神話実現》のクロック回収、そしてサメスティルによる継続ドローとクロック展開と様々な選択を可能とします。

特に《サメ台風》との相性は抜群でライブラリートップを固定する《ヘリオッドの高潔の聖堂》と《サメ台風》のサイクリングはデッキを掘り進めながらクロックも用意できます。またこの動きは行き詰まりコントロール下でも運用が可能で、《行き詰まり》のプレッシャーの中毎ターン飛行持ちのサメを展開できます。今後もエンチャントを繰り返し使用するようなコントロールではお目に掛かる機会も増えるであろう1枚だと思います。

 

 

如何でしたでしょうか?今回は「ランドスティル」の歴史の一部とイコリアに収録された《サメ台風》を使用したサメスティルについてお話しさせていただきました。現在レガシーで活躍するデッキはかつて活躍してきたデッキの進化形であるものが多く存在しています。今記事を読んで頂いている貴方が使用しているデッキにも歴史があるかもしれません。もし機会があればそのルーツを辿ってみるのは如何でしょうか?新しい発見や当時の環境が垣間見れて楽しいものですよ。

 

(画像出典:マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

 

脚注   [ + ]

1.レガシーを代表する部族デッキの一つ。赤単、赤黒、赤黒緑、赤白と様々なバリエーションがある。黎明期から存在するデッキであるものの新しいエキスパンションからの恩恵を受けやすいため時代とともにアップデートされ続けている。
2.黎明期から存在するコンボデッキの一つ。土地の枚数が極端に少なく黎明期では2ランド、現在では1ランドが主流になっている。デッキの構成がマナ加速スペルとフィニシャーで占められており、早いターンでゲームを決めることができる。
3.黎明期に存在したビートコントロールデッキの一つ。キーパーツの貿易風ライダーからのハーフロックと適者生存の対応能力が魅力のデッキだったが、神河救済で収録された真髄の針が流行ると数を減らし、適者生存が禁止されると環境から姿を消した。
4.オデッセイのキーワード能力の一つ、マッドネスを用いたクロックパーミッションデッキ。野生の雑種犬、アクアミーバをはじめとした共鳴者を使用し、日を浴びるルートワラや尊大なワームを捨てることで、マッドネスを誘発させ、テンポとアドバンテージを得る。未来予知発売以降はタルモゴイフが台頭しより相性の良いクロックパーミションデッキであるスレッショルドが主流になっていく。
5.行き詰まりをアドバンテージ源に据えたボードコントロールデッキ。典型的なドローゴーデッキあり自ターンでの行動は殆ど無い。
6.実物提示教育を使用したコンボデッキの一つ。全知を場面に出すことで引き裂かれた永劫、エムラクールや狡猾の願いから火想者の予見→蟻の解き放ちといったスペルでゲームを決める。似たデッキでスニークショーと比べると実物提示教育への依存度が高い。
7.クリーチャー主体のバーンデッキ。レガシー黎明期では現在と比べて優秀な火力が少なかったこともあり多くの使用者がいた。
8.白黒のミッドレンジデッキ。黒の闇の腹心やトーラックの賛歌といったアドバンテージカードと白の剣を鍬にや名誉回復といったボードコントロールカードの採用により、様々な盤面において適応可能なデッキ。
9.テンペストで登場したクリーチャータイプ、スリヴァーを使用した部族デッキ。数年周期で新規のスリヴァーカードが刷られており、愛好者が非常に多い。
10.マーフォークのクリーチャータイプにフィーチャーした部族デッキ。ロードの数が他の部族より多く、特にアトランティスの王と真珠三又の達人が付与する島渡りは、青いデッキが多いレガシーでは有効な場面が多い。
11.白赤緑で組まれたビートダウンデッキ。黎明期から存在していたが、アラーラの断片で登場した野生のナカティルをはじめとした優秀なクリーチャーが収録したことにより大幅に強化された。
12.フィニシャーに石鍛治の神秘家を添えた青白を中心にしたコントロールデッキ。新たなファイレクシアで登場した殴打頭蓋が登場したことによりレガシーでも一線級となった。
13.青緑赤で組まれたコントロールデッキ。当時はCABジェイストも呼ばれていた。精神を刻むもの、ジェイスと罰する火コンボによりハンドアドバンテージとボードコントロールを行う。
14.黎明期に存在したテンポデッキ。不毛の大地やもみ消しといった軽量マナ否定でゲームを掌握し、敏捷なマングースや熊人間等スレッショルドを持ったクリーチャーが多く採用された。
15.青緑スレッショルドに赤を足したテンポデッキ。除去火力に稲妻を採用し、サイドボードに赤霊破や紅蓮破といった青メタのカードが採用された。
16.マナ否定と軽量カウンター、優秀なクリーチャーでゲームを進めるクロックパーミッションデッキの一つ。白青緑で組まれており、当時隆盛を博していたタルモゴイフに対応すべく聖遺の騎士や土を喰うものを採用した。
17.緑の太陽の頂点の登場により安定して盤面に緑のクリーチャーが供給されるようになったことで登場したビートコンボデッキ。自然の秩序から大祖始のコンボを搭載している。青白石鍛治の登場により殴打頭蓋とのダメージレースに弱いため、徐々に姿を減らした。
18.元々はエクステンデッドで流行したコンボデッキ。キーカードは集団意識と契約各種で集団意識で相手に契約をコピーさせることで勝利する。ラヴニカの帰還で死儀礼のシャーマンが流行すると、徐々に姿を消していった。
19.むかつきをキーカードに据えるコンボデッキ。軽量マナ加速からむかつきによる手札確保、十分なストームからの苦悶の触手でゲームを決める。
20.納墓等で大型クリーチャーを墓地に落とし、墓地のクリーチャーを場に戻すことができる死体発掘や再活性でマナを踏み倒すコンボデッキ。
21.ランドスティルに破滅的な行為を採用したコントロールデッキ。破滅的な行為により盤面のコントロール力が向上しているが、3色ないしは4色で組まれるため、色供給がやや不安定である。
22.奇跡のキーワード能力をふんだんに利用したコントロールデッキ。全体除去である終末を軽量かつ任意のタイミングでキャスト可能なため多くのビートダウンデッキにとって難しいゲームを強いることができる。
23.【MtGエターナルのススメ】2020年上半期レガシー環境の総括」内の「1月〜3月 ジェスカイ死の国からの脱出」

北関東の僻地で活動してるMagic: the Gatheringプレイヤー。好きなフォーマットはレガシー。好きなカードをずっと使い続けられるこの環境とプレイを共にする友人が大好き。あと痩せたいです。

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