ボードゲーム遊び方紹介 第17回 Love Letter(後編)
今回は母親の仕事に興味を持った長男(19歳)が、ゲームの相手をしてくれました。
母子ともに説明書を読むのが苦手です。とりあえず、能力の書いてあるゲームカードを規定の枚数にあわせて16枚取り出しました。
よくシャッフルし、山札から1枚引いて伏せて脇に置き、さらに3枚カードを抜いて公開します。さらに、それぞれ1枚引き、手札にしました。私は「姫」を引きました。
最初なので、羽ペンタイルを使い、ゲームスタート。
まずは私からです。カードに書いてある強さを比較して、小さいほうを脱落させることができる「騎士」を引きました。「姫」を捨て札に置くと負けてしまうので、「騎士」を公開します。次に、手札を公開します。
「せーのっ、ドヤッ!」
「姫」の強さは8、息子が出した「兵士」の強さは1。
1回戦は一瞬で終了してしまいました。
2回戦は勝った私からになりました。ルールをまだよく分かっていません。まずは兵士以外のカードを宣言して、相手の手札と一致したら相手が脱落するという「兵士」を使いました。
「魔術師」
「ブブー」
次は息子です。彼は効果を無効にする「僧侶」を使ってきました。次は私です。「兵士」を引いたので、「兵士」を使います。
「大臣」
「ここにあるじゃん!」
1枚しかない「大臣」は、ゲーム開始前にすでに公開されていました。つまり、山札の中にはないのです。
「しかも、今、効果は無効だからね」
「???」
「1回お休みってこと!」
息子のターンです。彼が出したカードは、プレイヤーと手札を交換する「将軍」。「兵士」を渡され、私は自分の手札の「騎士」を渡しました。
次のターンでは、相手プレイヤーの手札を見ることができる「道化」を引きました。そのまま捨て札に置きます。彼は「騎士」を持っていました。
「あのね、さっきカードを交換したよね。だから、俺が何のカードを持っているか知っているよね」
「そ、そうだった」
初めてのゲームではたいていテンパっているので、そんなことはまったく意識していませんでした。
「わはははは。勝ったぜ」
手札を引く前に勝利宣言をされました。一応1枚引きましたが、息子が出してきたのは「騎士」です。私は手札の「兵士」を出しました。強さ1の「兵士」を持っていることを知っていれば、「兵士」以外のカードなら勝てます。
ターンが続いたら、コツをつかめてきました。このゲーム、2人プレイなら相手の持っているカードや山札に残っているカードがだんだん分かってくるのです。もちろん、はじめに抜いた1枚は何か分かりませんが、消去法から求められるでしょう。
その後、母子対決は10回以上続きました。一瞬で終わる回もあれば、2回戦で息子が持っていた「将軍」「僧侶」コンビを、私が持っている回もありました。
「勝利数多いほうがジュースおごりね」
「数えてるの?」
「いや」
「こういうときにトークンって使うんじゃないの!?」
「あ……」
そんなこと、すっかり忘れていました。
次にプレイするときは追加カードを使ってみようと思います。
1973年生まれ
作家。2007年に宗形キメラ名義で二階堂黎人との合作『ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子』で作家デビュー。2009年には『マーダーゲーム』で単独デビュー。近刊は「少女ティック 下弦の月は謎を照らす」(行舟文化)
ボードゲーム好きで『人狼作家』の編集も手がけ、羽住典子名義でミステリ評論活動も行っている。
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