ボードゲーム遊び方紹介 第12回 4人の容疑者~湯けむりに消えた謎~前編
ボードゲーム遊び方紹介 第1回 “どうぶつしょうぎ”はこちらから。
「温泉旅館で殺人事件が起きた」という設定のボードゲームがあります。
タイトルは、「4人の容疑者~湯けむりに消えた謎」です。
二時間ドラマ好きとしては、気になって仕方がありませんでした。
パッケージは、文庫本と同じ大きさです。本棚に紛れ込んでいても分かりません。
説明書も、文庫本そっくりに作られています。タイトルの下には、「テンデイズゲームズ版」と出版社のように販売元が記名され、別のページには奥付のように制作された方々のお名前が並びます。
内容は、温泉旅館で起きた殺人事件を、探偵役である私(プレイヤー)が聞き込みを行い、犯人を当てるというものです。2人から5人まで遊べます。
ちなみに、某テレビゲームのように、犯人は主人公自身ではありません。
容疑者は、すでに4人に絞られています。美しい女性の赤木京子、チンピラ風な岩井敏夫、経営者っぽい雰囲気の上原夫妻、メガネに口ひげで名探偵風の江崎大輔。この中に犯人がいます。
彼らのアリバイは、それぞれ、16枚のアリバイカードに記されています。ゲーム開始前に、その中からカードを一枚、抜き取ります。そのほかのカードは、手札として均等に配られます。自分のアリバイカードは、他のプレイヤーに見せてはいけません。
この一枚だけ抜かれたカードの内容、すなわち、裏付けのないアリバイを当てるのが、ゲームの趣旨となります。
最近温泉に行った人からゲームスタート。卓上には、2枚の聞き込みカードが表向きに並んでいます。プレイヤーは、自分の手番になったら、どちらかの聞き込みカードを他のプレイヤーに渡して、質問をします。
聞き込みカードには、時間・場所・人物、それぞれ4種類のシンボルと数字が描かれています。
例えば、「場所の3」という聞き込みカードを使った場合、「あなたの手札には、温泉・売店・庭の描かれたカードが何枚ありますか」と、書かれた数字の分だけ具体例を挙げて、そのカードを何枚持っているか尋ねます。指名されたプレイヤーは、正確に答えないとなりません。
聞き込みカードの裏には、コインが記載されています。カードを受け取ったプレイヤーは、情報を提供しなければなりませんが、代わりにそのコインをもらうことができます。コインを集めると、手番がきたら協力者カードを使うことができます。
協力者カードは、旅行雑誌記者・中居・番頭・小説家・庭師・芸者の6種類があります。自分が有利になったり、相手を妨害したりできる能力カードです。手持ちのコインの色と個数によって使えるカードは限られてきます。
これらの情報は、各自に配られている規定のメモ用紙に記入していきます。ゲームが進むにつれて、誰がどの内容のアリバイカードを持っているかが分かり、消去法で抜かれたカードの内容が見えてきます。
答が分かったプレイヤーは、他のプレイヤーの手番であっても、「分かりました!」と宣言して、メモ用紙の絵を大きく丸で囲みます。抜かれたカードと自分の回答が一致したら、勝利者となり、ゲーム終了です。
実際にプレイした、推理関係のあるイベント会社の社長さんは、「プレイする人によって面白さが変わる」とおっしゃっていました。
さて、私はどんな経験をすることになるのでしょうか。実際のプレイ模様は次回になります。
ボードゲーム遊び方紹介 第13回 4人の容疑者~湯けむりに消えた謎~後編へ続く。
1973年生まれ
作家。2007年に宗形キメラ名義で二階堂黎人との合作『ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子』で作家デビュー。2009年には『マーダーゲーム』で単独デビュー。近刊は「少女ティック 下弦の月は謎を照らす」(行舟文化)
ボードゲーム好きで『人狼作家』の編集も手がけ、羽住典子名義でミステリ評論活動も行っている。
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