デバッグ・マジック! vol.10 ~『神河:輝ける世界』編~
By まつがん
ついに今週末、新セットである『神河:輝ける世界』が発売となる。
日本をモチーフとした魅力的なアートの数々に加えて新メカニズム「換装」「改善されている」、さらに懐かしの「忍術」「魂力」なども加わったこのセットが、モダン環境に一体どのような影響を与えるのか。1~2月のメタゲームの動きと、最新カードを使ったデッキをチェックしていこう。
■ 1. 変わらなかった世界と変わるメタゲーム
先月1月25日、禁止改定が発表された……そしてモダンについては、何のアナウンスもなされなかった。つまりは環境に問題なし=ノーチェンジというのがウィザーズの判断だったということだ。
この点、「一番危ないのは《夢の巣のルールス》だが、それですら禁止になるか五分五分」というのは前回、私が禁止改定予想で述べていたことであり、したがってノーチェンジというのもその意味で予想どおりの判断だったと言うことができる。
ただ他方で、ウィザーズのカード開発部に所属するAaron Forsythe氏はこの発表の後、「《夢の巣のルールス》は確かに今回一番禁止を検討したカードだ」「ノーチェンジという以上に何もアナウンスしなかったことについて、たとえば『特定のカードを検討した』と発表すると、『そのカードは明らかに強い』ということがプレイヤーに伝わってしまい、プレイヤーの自然な選好が失われるというジレンマがある」といった内容の個人的なコメントをTwitter上で発していた。
I've been having a couple side chats with folks about Lurrus in Modern, so it's only fair to be more open about the topic. It's the card that we discussed the most this cycle with regard to potential bans. People seems to want us to say that out loud… 1/
— Aaron Forsythe (@mtgaaron) January 26, 2022
ということは当然、手放しで健全な環境かと言われると疑問符が付くということになり、最終的な判断として今回は規制を免れる結果となったにせよ、これにより次回 (おそらく半年もしくは1年後) のタイミングでは《夢の巣のルールス》をはじめとして環境に何らかの手が入る可能性は高まったと言えるかもしれない。
ともあれ、世界は変わらなかった。2022年もまだしばらくは、『モダンホライゾン2』のカードに振り回されることになるだろう。
さて、そういった背景を踏まえて2022年1月~2022年2月にかけてのモダン環境の様子は、以下のようなものだった。
Tier 1 |
Tier 2 |
「何も変わってねーじゃねーか!」と思われるかもしれないが、ここで注目してもらいたのはTier 2の種類数が回復傾向にあるという点である。
前回、「Tier 1がTier 2~3を突き放しつつある」と述べたところからのこの展開は予想外だったが、おそらくTier 1デッキ同士では同型対決があまりに腕の差が出るため、一部の実力派プレイヤー以外にとっては選好を外す方に圧力が働いたのではないかと想像している。
いずれにせよ一度突き放された格差は再び縮まり、Tier 2以下のコンセプトにも活躍の兆しが見えてきて多様性が回復しつつあるというのがここ1カ月の流れである。その結果上がってきたのが「続唱」「スパイ」「ベルチャー」という地獄のようなコンボデッキたちというのは皮肉だが、「《敏捷なこそ泥、ラガバン》を使う」もしくは「《敏捷なこそ泥、ラガバン》を無視する」というのが環境の基本線なので、それも仕方がないといったところだろう。
Modern Challenge - #12383929 優勝
プレイヤー:keeline
《猿人の指導霊》の禁止によって一時期は環境から弾き出されていたアーキタイプだったが、クリーチャーの着地のみによる4マナ1枚コンボという構造上の強さと、墓地対策が薄くなったことで最近メタゲームに復帰してきている。
一応説明しておくと、《地底街の密告人》もしくは《欄干のスパイ》が通った瞬間、自分を対象に能力を起動してライブラリーがすべて墓地に。すると《這い寄る恐怖》《ナルコメーバ》が誘発し、《ナルコメーバ》の着地で誘発した《弱者の剣》を生け贄に、墓地から回収した《回収するタイタン》を唱えると2体目のクリーチャーカウントで《復讐蔦》が墓地から舞い戻って致死ダメージを叩きこむ……という流れだ。
墓地対策が置かれた瞬間に詰むように見えて、《ゴブリンの放火砲》も搭載しているので一筋縄ではいかない。理不尽なコンボデッキ代表として、今後もTier上位の隙を突いて活躍していきそうだ。
Modern Challenge - #12383929 2位
プレイヤー:JaceToFace
1《魂の洞窟》
4《ダークスティールの城塞》
4《溢れかえる岸辺》
2《神聖なる泉》
2《連門の小道》
4《湿地の干潟》
3《剃刀潮の橋》
4《金属海の沿岸》
1《冠雪の島》
2《冠雪の平地》
4《ウルザの物語》
《敏捷なこそ泥、ラガバン》の活躍により相対的に価値が上昇しているのが、《エスパーの歩哨》や《スレイベンの検査官》のように相手の除去に対して残るものがあるクリーチャーや、サイズを選ばず後半まで腐りづらい1マナ除去でありながら《巧妙な鍛冶》や《ウルザの物語》との関係上アーティファクトとしての価値も高い《ポータブル・ホール》だ。
そしてそれらを《孤独》と《最高工匠卿、ウルザ》で結びつけたこのデッキは盤面を使った勝負に滅法強く、かつ自身が《飛行機械の鋳造所》+《弱者の剣》によるコンボフィニッシュを搭載している点でも、Yawg-Chordと似た立ち位置にあると言えるだろう。
Modern Challenge #12383935 優勝
プレイヤー:BenjiGX
1《ボーマットの急使》
4《ドラゴンの怒りの媒介者》
4《エスパーの歩哨》
4《敏捷なこそ泥、ラガバン》
2《ヴォルダーレンの美食家》
ついに誕生してしまった《敏捷なこそ泥、ラガバン》+《ウルザの物語》の到達点。「パーマネント差を付ける」ことに特化した構造となっており、その上でありとあらゆるアクションが相手より軽く行われるため、《大地割り》《爆裂+破綻》による苛烈なマナ封じに一度ハマってしまえば抜け出すことは容易ではない。その上、《虚空の杯》すらも《虹色の終焉》で突破されてしまうのだ。
このデッキが流行れば何ら能動的に生かせる要素のないデッキにも《トロウケアの敷石》を搭載したりすることも考えられ、今後のメタゲームの展開に大きな影響を与えそうなデッキだ。
■ 2. 『神河:輝ける世界』でバグを探そう
『神河:輝ける世界』には、モダン環境に影響を与えそうなカードが数多く含まれている。
だが、それらがどのようなデッキで活躍しそうかに関しては必ずしも自明ではない。
「今までにない効果なので、何となくやってくれそう」「モダンでは不可能だった動きなので、新たなコンセプトを生み出しそう」といった、漠然としたカード評価を下すことは誰にでもできる。
他方で、そうした評価をデッキという形にしっかりと仕上げてみせるのがデッキビルダーの仕事なのだ。
まして発売前ともなれば、まだほとんどの人が試してないであろう期間ということで、どのようないわゆるバグが眠っているかもわからない。それを確かめるべく、今回もカードリストから有望そうな数枚をピックアップして、デバッグ (発見・解明) していくとしよう。
◇《鏡の箱》
『神河:輝ける世界』が再訪した神河次元、その元となった2004~2005年に発売の神河ブロックこと『神河物語』『神河謀反』『神河救済』は、「伝説のクリーチャー」が数多く存在したセットだった。
《夜の星、黒瘴》《明けの星、陽星》といった強大な龍はもちろん、《今田家の猟犬、勇丸》のように当時からしても《サバンナ・ライオン》と大差なかったスペックの1マナクリーチャーまで、そこかしこに大仰な名前の付いたクリーチャーが存在し、カードスペックに関係なく大物であるかのような風格を醸し出していた。
ただゲーム的に考えれば、「伝説のクリーチャー」であることは多くの場合デメリットとなる。そのクリーチャーが強いと思って4枚積んだとしても、レジェンド・ルールがあるために2枚目を引いた瞬間かなりの確率で手札で腐ってしまうからだ。
それゆえに、近年では強力な能力を持つクリーチャーほど「伝説のクリーチャー」としてデザインされることも多くなってきた。それらは背景的に重要なキャラクターであったりもするので、どの道「伝説のクリーチャー」としてシンボリックな方が都合が良い。
しかしそんな中で、『神河:輝ける世界』には「伝説のクリーチャー」であることをメリットに転換するカードが収録されていたのだ。
《鏡の箱》。自分の「伝説のパーマネント」のレジェンド・ルールを無効化するだけでなく、「伝説のクリーチャー」をサイズアップで強化までしてくれるカードだ。
もともと『神河謀反』には、《鏡の画廊》というカードが収録されていた。しかし、それは5マナという重さであったことに加え、レジェンド・ルールの無効化しかできずしかも相手にも効果を及ぼすという到底構築レベルとは言えないカードだった。
《鏡の箱》も、一見するとそうしたファンデッキ向けカードに見えるかもしれない。
だが逆に考えてみよう。もし自分のデッキに「伝説のクリーチャー」しか入っていないなら、このカードは強い《栄光の頌歌》として機能するはずなのだ!
だからそう、すなわち。
「伝説のクリーチャー」だけのアグロデッキが組めるのでは???
モダンの広大なカードプールならば、「伝説のクリーチャー」だけで綺麗なマナカーブを組むことも容易である。
レガシーで禁止されてしまった現状、モダン最強カードと言っても過言ではない忌々しいクソ猿《敏捷なこそ泥、ラガバン》を筆頭に、プレインズウォーカーへの変身能力を持つ《アクロスの英雄、キテオン》がいる。
さらに「実質去勢されたラガバン」こと《鐘突きのズルゴ》と、上述した《今田家の猟犬、勇丸》で、計4スロットもの1マナクリーチャーが存在するのだ。
とはいえ、もちろんこれだけなら普通のビートダウンに《栄光の頌歌》を入れているのと大して変わらない。
だが、「伝説のクリーチャー」を使うメリットは《鏡の箱》だけにとどまらない。
何といっても、このコンセプトで用いたときにだけヴィンテージ級の力を発揮する《モックス・アンバー》を採用することができるのだ。
そして《モックス・アンバー》があれば、《敏捷なこそ泥、ラガバン》と合わせて2ターン目《聖トラフトの霊》も夢ではない。それもマナクリーチャーを使わず自然にビートダウンしながらの展開ということで、ライフプレッシャーは半端ないものとなるはずだ。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
デッキビルド:まつがん
4《乾燥台地》
1《永岩城》
3《溢れかえる岸辺》
1《神聖なる泉》
4《感動的な眺望所》
1《山》
4《天上都市、大田原》
1《平地》
1《聖なる鋳造所》
2《沸騰する小湖》
1《血に染まりし城砦、真火》
1《蒸気孔》
4《今田家の猟犬、勇丸》
4《アクロスの英雄、キテオン》
4《敏捷なこそ泥、ラガバン》
4《鐘突きのズルゴ》
4《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》
4《聖トラフトの霊》
愚直なアグロということで「続唱」系をはじめとするコンボデッキへの耐性が欲しいところだが、《スレイベンの守護者、サリア》は自分にも被害が及ぶので、《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》を採用することにした。これと《虹色の終焉》の部分は無難に埋めてみただけのフリースロットなので、環境に合わせて調整してもらいたい。
ちなみにこのデッキで密かに重要な役割を担っているのが《天上都市、大田原》で、「伝説のクリーチャー」だらけのこのデッキならば「魂力」コストも相応に軽くなるであろうと期待できることはもちろん、「カウンターされず」「手札破壊で抜かれず」「インスタントタイミングで」「相手の場に《時を解す者、テフェリー》があっても関係なく」相手に干渉できるスーパーカードとなっている。
「魂力」コストが軽く前評判が高い《耐え抜くもの、母聖樹》に目が行きがちだが、他の「魂力」持ち伝説土地も十分モダンで採用されうるスペックがある。しかも伝説とはいえ、いざ使うときはこのデッキのように実質スペルとして使うことになるので、デッキに4枚入っても不思議ではない。モダンを遊んでいる方は早めに確保しておいた方がいいのではないかと思われる。
◇《無謀なる歓喜の行進》
前回、モダンで使用されうるカードの条件として「書いてある数字が大きいこと」を提示した。そしてまた、vol.7では「能力に上限がないこと」を指摘した。
だとするならば、『神河:輝ける世界』にはそれらの条件をぴったり満たすサイクルが存在することになる。
そのサイクルとは、そう。
《無謀なる歓喜の行進》。5種の「行進」サイクルは、いずれも対応する色のカードを手札から好きな枚数追放することでそのコストを2ずつ下げられる能力を持っている。
なかでも赤の「行進」であるこのカードはX枚の衝動的ドロー (ただしそのうち2枚しか唱えられないが) を可能にする1枚であり、大量に手札を追放すれば実質1マナで物凄い枚数を見ることができる。
だが、たとえば手札すべてを《無謀なる歓喜の行進》に費やして1マナでトップ10枚弱を見たとしても、残ったマナとその中の2枚だけでゲームに勝てないようでは意味がない。
逆に言えば、それだけで勝てるようなら《無謀なる歓喜の行進》は神のカードということになる。では、そのような条件でゲームに勝つためには何が必要だろうか?
《無謀なる歓喜の行進》を唱えるのに手札のほとんどすべてを費やす前提な以上、ゲームに勝つために取れるアクションは《無謀なる歓喜の行進》の効果で唱えられる2枚しかない。すなわち、「ゲームに勝てる2枚コンボ」が必要となる。
そしてそれは《無謀なる歓喜の行進》を1マナで唱えた後に余ったマナで達成できなければならないから、「軽い2枚コンボ」でなければならない。
さらに、それらのコンボパーツは普通に手札に来ることも想定され、片方だけ2枚も3枚も来た場合に《無謀なる歓喜の行進》で追放できないと《無謀なる歓喜の行進》の威力が弱まってしまうことから、「赤いカード同士の2枚コンボ」である必要がある。
さて、ここでようやく条件は示された……だがはたして、モダンに「軽い、赤いカード同士の、ゲームに勝てる2枚コンボ」が存在するのだろうか?
コンボに必要な前提条件を導き出したとき、その条件を満たすコンボが存在するかどうかは完全に運任せだ。それは過去に存在したかもしれないし、現在も存在しているかもしれないが、他方で未来に登場するコンボかもしれない。
しかしいずれにせよ大切なのは、存在すると信じてまずは必死にカードを探してみることだ。
私は《無謀なる歓喜の行進》がモダンで活躍する未来を信じて、条件を満たすコンボを探し続けた。
そして、ついに出会ったのだ。
刈り痕ストームに最適なのでは???
《紅蓮術士の刈り痕》と《ぶどう弾》とのコンボ、刈り痕ストーム。このコンボは事前にストームカウントが必要とはいえ、わずかカード2枚と5マナのみで本体に致死ダメージを叩きこむことが可能だ。
すなわち、フィニッシュターンに4枚の呪文を唱えた上で6マナある状態から《無謀なる歓喜の行進》を1マナで唱え、X枚の中に《紅蓮術士の刈り痕》と《ぶどう弾》のセットが見つかったなら、相手に21点ダメージをぶち込めるのである。
もちろん相手がフェッチランドなどでライフを減らしていればそこから必要なストームカウントは減るし、手札に《紅蓮術士の刈り痕》か《ぶどう弾》のどちらかがある状態なら《無謀なる歓喜の行進》でめくれるカードへの要求値も下がる。
しかも赤という色は《捨て身の儀式》《発熱の儀式》や《魔力変》など、マナを増やしながらストームカウントを稼ぐことに長けた色なのだ。
《無謀なる歓喜の行進》を唱える際はより多くの手札があった方がコンボの成功率が高まるところ、赤という色は手札を増やすのがなかなか難しい色でもある。だがそこで《無謀なる衝動》はアドバンテージを得ることができるので、《無謀なる歓喜の行進》まで手札をしっかりと温存することができる。
また、《捨て身の儀式》《発熱の儀式》だけだと6マナを作るのはそこそこ難しいが、《業火への突入》を採用することで一気に楽になる。種となるクリーチャーは《召喚士の契約》からの《炎樹族の使者》で確保すればいい。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
デッキビルド:まつがん
1《野生の朗詠者》
1《炎樹族の使者》
1《ゴブリンの壊乱術士》
1《死の一撃のミノタウルス》
青赤ストームでいうところの《けちな贈り物》のように「唱えれば勝ち」というようなリソース無視カードがないので手札破壊を撃たれるだけで対戦相手に顔面パンチしたくなるデッキだが、その代わり相手の準備が整う前に手札だけで勝利してしまうパターンも存在するので、ピーキーなデッキの方が好みという方にオススメだ。
ちなみにバーンに《大歓楽の幻霊》を出されたら「小枝を踏み折れば、骨を折ってあがないとする。」してもいいと日本国憲法に定められているので、バーン使いの方は小枝を踏み折らないよう重々気を付けてもらいたい (?)
◇《不可能の発見》
これまでモダンで新カードの性能を見分けるための基準について書いてきたが、モダンに限らず一般的に新しいデッキを作るカードを見分けるための基準として、「これまでそのフォーマットでできなかった動きをする」というものがある。
新しい動きを実現できるカードは、新しいコンセプトとなる可能性が高い。そしてその観点で言えば、『神河:輝ける世界』にはモダンで活躍すること間違いなしの「マナコストが軽く」しかも「見たことがない動きをする」カードが存在していたのだ。
《不可能の発見》。2コスト以下のインスタント限定とはいえ、「サーチ」と「唱える」を両立した前代未聞の能力を持ったカードだ。
とはいえ、いかに新しい動きができるといっても2コスト以下のインスタントでできることと言えばせいぜい「除去」「カウンター」「サーチ」くらいのものではないか……と、そう思われるかもしれない。
だが、モダンというフォーマットの可能性を侮ってはいけない。2コスト以下のインスタントには、もう一つ安定して実現できる挙動が存在したのである。
《不可能の発見》をコピーしたら連鎖するのでは???
《双つ術》《余韻》といったコピー呪文たちは、2マナのインスタント呪文でありながらスタック上の《不可能の発見》をもう一度唱えることができる。《不可能の発見》を一発唱えただけだと《双つ術》《余韻》を解決する際にはスタック上に《不可能の発見》が存在しないので (挙動を確認してはいないがおそらく) 空打ちになってしまうが、《不可能の発見》にスタックして《双つ術》《余韻》を唱えることで、コピーの《不可能の発見》がさらなる《双つ術》《余韻》を呼び、《不可能の発見》を連鎖させ続けることが可能となるのである。
つまりコンボ始動には5マナが必要なので、ここではこの5マナを《捨て身の儀式》《発熱の儀式》というオーソドックスなマナ加速ではなく、《睡蓮の原野》と《ぐるぐる》《夢の掌握》で用意することにする。こうすることにより、《不可能の発見》で《ぐるぐる》《夢の掌握》しかめくれなかった場合でも、手札に《双つ術》《余韻》が余っていれば1マナを浮かせつつチェインを継続できる (《捨て身の儀式》《発熱の儀式》だと(青)(青)が出せない)。
《高まる復讐心》の「フラッシュバック」もしくは《任務説明》で墓地から《高まる復讐心》を唱えるところまでつなげられれば、ストームを稼ぐことは難しくなくなる。あとは《ぶどう弾》を見つけてフィニッシュだ。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
デッキビルド:まつがん
《商人の巻物》が《夢の掌握》《双つ術》《不可能の発見》すべてにアクセスできるのがオシャレポイント。ただコンボスタート時に余分な《双つ術》《余韻》を抱えていないとマナが増えないので《高まる復讐心》の「フラッシュバック」に辿り着けないし、そもそも5枚で何も見つからずにチェインが止まることもよくあるので、クソデッキの域は出ないだろう。ちなみにバーンに《大歓楽の幻霊》を出されたら「ハイ!ニィ!ヤッ!」と叫びながら脳天にチョップします。
■ 3. 終わりに
『神河:輝ける世界』は、単純なカードパワーという観点だと実はそこまで高いセットではないというのが私の評価だ。
だが、デッキを作るという観点からは面白そうなカードが数多く含まれているセットであることに変わりはない。
そして、それによって『モダンホライゾン2』のカードが跋扈する現在の環境を塗り替えるというわけにはおそらくいかないだろうが、Tier上位が油断しているところに横っ面を張るチャンスであることもまた間違いないのである。
ぜひカードリストを見て自分なりのアイデアで、デッキ作りに挑戦してみて欲しい。
ではまた次回!
クソデッキビルダー。独自のデッキ構築理論と発想力により、コンセプトに特化した尖ったデッキを構築することを得意とする。モダンフォーマットを主戦場とし、代表作は「Super Crazy Zoo」「エターナル・デボーテ」「ステューピッド・グリショール」など。Twitter ID:@matsugan
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