【MtGエターナルのススメ】トップメタデッキにも勝てる!オリジナリティ溢れたローグデッキ解説〜Mono Black Karn〜
こんにちはラマダーン柿沼です。
現在レガシーというフォーマットでは27年の歴史を持つMagic: The Gatheringの大半のカードを使用しデッキを組むことができます。必然的にその中でも優れたカードにより構築されたトップメタデッキが存在する一方で、膨大なカードの中から選択され、構築されたデッキの中には誰も思いつくことの無いようなオリジナリティ溢れたローグデッキ[1]オリジナルデッキや地雷デッキの総称。メタ外のデッキであるためサイドボード後も対策できないこともある。も存在します。今回はそんなトップメタデッキにも勝てるレガシー環境のローグデッキについて紹介させていただきます。
デッキリスト
画像はクリックで拡大 ※上記の画像は[MTG-ELEVEN-NEXT]様を利用して作成しています。
デッキデザイナー:orim67
4: 《ドロスの大長》
「Mono Black Karn」デッキ
このデッキは2020/1/25に行われた「MTGO Legacy League」の5-0入賞デッキです。「Mono Black Karn」と題されたこのデッキはドラゴンストンピィ[2] … Continue readingや白単スタックス[3]白単色で組まれたプリズン系デッキ。マナ要求と土地破壊で相手を妨害し煙突で蓋をする。勝ち筋が限りなく細い。に代表されるプリズンデッキの1つですが、「Mono Black Karn」はそれらのデッキとは異なり黒単で組まれています。
プリズン系デッキの基本的なムーブは《虚空の杯》をはじめ《三なる宝球》で動きを阻害し、展開してきた相手のクリーチャーに対しては《罠の橋》を設置することでシャットアウトします。
各色で個性を発揮するのは追加の妨害やフィニッシャー、アドバンテージ元になります。今回はその中でも黒単色で組まれたプリズン系デッキ「Mono Black Karn」について解説していきます。
黒単プリズンのメリット
プリズン系のデッキを黒単にしている特徴として勝ち筋の多様さが挙げられます。プリズン系デッキではアーティファクトやエンチャントによるロックが決まった後に勝ち筋を引けずに捲られてしまうシーンが多々ありますが、「Mono Black Karn」ではそういったシーンを無くすよう勝ち筋を積極的に確保している節が見受けられます。
それが《ドロスの大長》、《不幸の呪い》、《大いなる創造者、カーン》です。
以下では「Mono Black Karn」の特徴である《ドロスの大長》、《不幸の呪い》について掘り下げていきたいと思います。
ドロスの大長
7マナ6/6飛行絆魂のクリーチャー。初手から公開すると各対戦相手から3点ドレインの誘発型能力付き。一見すると初手の誘発と金属モックスの刻印以外は使い道の無さそうな重量クリーチャーですが、このデッキにおいては優秀なフィニッシャーになり得ます。それを可能にするのが《傲慢な血王、ソリン》です。
デッキ内の吸血鬼は《ドロスの大長》のみなのでさながら専用のプレインズウォーカーと言っても過言ではなく、特に-3能力は最短2ターン目に6/6飛行絆魂の登場を可能にします。《実物提示教育》を彷彿とさせるこの動きは、対デルバー戦[4]デルバーを始め低マナ域のクリーチャーと軽量カウンターで戦うクロックパーミッションデッキ。多くのカラーバリエーションが存在する。や早いクロックでゲームを決める必要になるコンボ戦で有効です。
6/6というサイズは火力で落とすことができない為デルバー側は《ドロスの大長》への対処はかなり限定的なものになります。また、飛行絆魂はダメージレースを優位にし、地上でのコンバットを挟まない為チャンプブロックで時間を稼いでいる間に対抗策を探すといった間も与えずゲーム決めてくれます。
また《傲慢な血王、ソリン》の+1でサイズを1つ上げることでデルバーブロック+3点火力の圏外まで育てられる点も重要です。
不幸の呪い
各アップキープの開始時にライブラリー内のエンチャント(呪い)カード[5]イニストラードブロックで登場したエンチャントタイプの一つ。相手に貼るエンチャントで多くのデメリットをもたらす。を探して対戦相手に貼ることができるエンチャント。「Mono Black Karn」が黒というカラーをとっている理由といっても過言ではないカード。
5マナと重めのカードですが能力自体は凄まじく、似たカードでエンチャントを毎ターン場に出せる《不朽の理想》が7マナなのを考えると破格とも呼べます。サーチ先が呪いカードのみと限定的ではありますが、破滅の刻に収録された呪いカード《圧倒的輝き》の登場により呪いカードを引っ張ることのできる《不幸の呪い》は相対的に強化されました。
引っ張ってくる呪いの順番は最初に圧倒的輝きで相手パーマネントとクリーチャーを無力化し、《死の支配の呪い》で圧倒的輝きで1/1にした相手のクリーチャーを一掃&完封、最後に《愚者の知恵》の呪いで蓋をし勝ちを目指します。また《死の支配の呪い》と《愚者の知恵の呪い》は素キャストも可能で、単品で強力な効果を盤面に与えます。
デメリットとしては手札に来てしまった呪いをライブラリーに戻す手段が無い点です。素キャストが可能な《死の支配の呪い》と《愚者の知恵の呪い》とは異なり圧倒的輝きはハンドに来てしまった瞬間完全な死に札になります。初手に圧倒的輝きがあるようなら素直にマリガンしましょう。
サイドボードについて
サイドボードで特徴的なのが《トーラックへの賛歌》と《魔術遠眼鏡》になります。黒というカラーパイの特性上、場に出ているクリーチャー以外のパーマネントの処理がどうしても苦手になります。《魔術遠眼鏡》をサイドボードに3枚採用しているということは黒の苦手なパーマネントへの対処ということが見てとることができます。
特に《王冠泥棒、オーコ》をはじめとするプレインズウォーカーに対しては《魔術遠眼鏡》1枚場に出ていれば後続の同名プレインズウォーカーをシャットできるので「Mono Black Karn」においては最良の選択といえます。《大いなる創造者、カーン》で引っ張ってくることを前提でサイド後必要なマッチでは2枚インすることが予想されます。また、他プリズン系デッキとは異なり《トーラックへの賛歌》をサイドインできるという点は魅力的です。
対コンボ戦では相手のコンボパーツを落とし、対コントロール戦では先に《トーラックへの賛歌》を撃つことで後続の本命となるスペルを通しやすくします。
課題
攻守に渡り紹介してきた「Mono Black Karn」ですが最後に何点か課題について考察していきたいと思います。
まず第一点目はクロックの遅さについてです。
似たデッキの一つである赤単プリズンを例に挙げると、ロックデッキでありながら《ゴブリンの熟練扇動者》やゴブリンの《軍勢の戦親分》を2マナランドから速いターンに展開してクロック勝負を挑むことができます。一方で「Mono Black Karn」では単体でクロック勝負に挑めるカードは採用されておらず、対コンボ戦等はロックを決めた後からライフを詰められず手札にためた置物対策からコンボを決められ捲られる可能性があります。
メインにクロックを積むスペースは無さそうですが、サイドボードに《群れネズミ》の様な高クロッククリーチャーを積む選択肢もありそうです。
2点目は妨害札の多くがアーティファクトに依存している点です。現環境では《ハーキルの召喚術》や《活性の力》といった様々なアーティファクト対策を見ることができます。これはレガシーという環境においてアーティファクトがもたらす力が大きい為です。「Mono Black Karn」でも例に漏れず、《虚空の杯》、《三なる宝球》、《罠の橋》等1枚で特定のデッキを封殺し得るアーティファクトが多数採用されていますが、経験豊富な多くのレガシープレイヤーはこれらを予見しています。
脚注
↑1 | オリジナルデッキや地雷デッキの総称。メタ外のデッキであるためサイドボード後も対策できないこともある。 |
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↑2 | 赤単色で組まれたプリズン系デッキ。血染めの月や月の大魔術師等を積めるため特殊地形を多用しているデッキに強い。デッキ名のドラゴンはラクドスの地獄ドラゴンから来ているが使われてはいない。 |
↑3 | 白単色で組まれたプリズン系デッキ。マナ要求と土地破壊で相手を妨害し煙突で蓋をする。勝ち筋が限りなく細い。 |
↑4 | デルバーを始め低マナ域のクリーチャーと軽量カウンターで戦うクロックパーミッションデッキ。多くのカラーバリエーションが存在する。 |
↑5 | イニストラードブロックで登場したエンチャントタイプの一つ。相手に貼るエンチャントで多くのデメリットをもたらす。 |
北関東の僻地で活動してるMagic: the Gatheringプレイヤー。好きなフォーマットはレガシー。好きなカードをずっと使い続けられるこの環境とプレイを共にする友人が大好き。あと痩せたいです。
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