明星HiveのMTGスタンダードタイムズ

プロツアーTOP16入賞!『ファイレクシア:完全なる統一』ドラフト解説

公開日: / 更新日:テルテル

MTGプロツアー

皆さんこんにちは。

明星Hiveのテルテルと申します。

前回の記事でもお知らせしましたが、かーむさんが連載していた「かーむのMTGスタンダードたいむず」は、今後はかーむさん含む明星Hiveのメンバーでいろんな記事をお届けしていくことになりました。

前回はさっそく茂里さんが新環境スタンダードについて解説してくれました。

スタンダード環境解説 All Will Be One、全ては白になるのか?

先日、アメリカ・フィラデルフィアで行われたプロツアー・ファイレクシアにて14位でTOP16に入賞することができ、特にドラフトラウンドでは5-1という好成績を残すことができましたので、今回私からは新セット『ファイレクシア:完全なる統一』のドラフトについて解説していきたいと思います!

初参加のプロツアー、アメリカという不慣れなフィールド、そして周りはドラフト強豪だらけという環境にもかかわらず、私が5勝できたのは練習内容によるものとプロツアーという舞台を意識してドラフトできたからだと考えています。今回の記事ではその練習内容ドラフトに対する意識プロツアー本番でのピックについて書いていきます。

よろしくお願いします!

ドラフト練習

プロツアー開催が2月17日。 2日前には入国したいので出発は2月15日。そして「ファイレクシア・完全なる統一」の発売日が2月3日なので練習期間は12日間。

す、少ない…!

なので発売前に調整メンバー(プロツアー参加者8人+数人の調整メンバー)とドラフトの調整内容を事前に決めてできるだけスムーズに調整できるようにしていました。

さっそく私達は「ファイレクシア・完全なる統一」が発売してすぐに調整メンバーにてリアルで集まり2日間ドラフトをやり続けました。この段階ではカードの強さはそこそこ評価できていましたがアーキタイプの強さは正しく評価できていませんでした。

初日は負け越したものの2日目は2-1×3回と勝てるようになり、帰宅してから自信満々でアリーナのドラフトを回し続けました。

か、勝てない…!!

ジェイスの敗北画像

7勝どころか勝ち越すことすらなかなかできない始末。何故…?と疑問に思いながら数を回すことでわかってきたことがありました。

赤白赤緑が強い!

ファイレクシア・完全なる統一」はアーキタイプの性質が強く押されていてクリーチャーの質が高く除去が少ない。そうなると先に殴りだす、またはシナジーを形成できたほうが圧倒的に有利になる環境でした。

赤白は装備、赤緑は油ミッドレンジと公式から言われていますが、どちらも殴ることを想定したアーキタイプでありナヤカラーのクリーチャーのスタッツの高さにより優位に立ちやすくなっています!しかし危険な爆風》による押し込みや装備品による打点アップなどで押し切りやすい赤白赤緑と比べ緑白は少し見劣りします。

危険な爆風

 赤白、赤緑は多色も強い!! 

赤白赤緑に比重を置いたアリーナドラフトをすると勝てる勝てる!この環境は強アーキタイプを使えばいいんだ!と考えるようになりました。その後調整メンバーとオンラインでドラフトピックができるサイトを使用してデッキを作成しアリーナで対戦するという練習をしました。

か、勝てない…!!

 

ギデオンの敗北

さすが調整メンバー。皆さん赤白と赤緑が強いことをよく理解していました。

すると起こる卓内でのカードの取り合い。最初に説明しましたがこの環境はアーキタイプ環境でありシナジー重視。カードを取り合うとマナカーブが歪んだりシナジーを形成しにくくなり中途半端なデッキに、最悪カードが足りないといった現象が発生しました。そして3-0デッキは卓1だったアーキタイプデッキがほとんど

つまり卓の立ち位置がいいプレイヤーが勝っていました。

これからわかるようにアリーナドラフトとリアルドラフト(高いレベル)は別物す。

今回は特に顕著でシナジー環境故、色があってればカードを取れるというわけでなくデッキに合ってるか見定めて取る必要がります。そしてプロツアーという環境では8人中8人、皆さん使うカードをしっかりピックします。当然カードが足りなくなりがちです。そして逆にいえばカットが高い効果を持つことを意味します。8人中8人がしっかりピック出来ることはほぼない、カットという概念がないアリーナドラフトでは気づけませんでした。

そこで私が考えたこの環境の意識したことは

1.「空いているアーキタイプをやる

2.「カードの評価を極める(特に他人が低く評価しているものを高く評価する)」

でした。

1.「空いているアーキタイプをやる」はドラフトの基本ではありますが、しっかりシナジーを形成した場合どのアーキタイプでも強めのデッキになること、ボムレアの多いこの環境では流れてきたレアのおこぼれを頂き得る可能性があること、ピックに余裕ができるので積極的にカットしに行けるといった利点があり、この環境では3-0する可能性の高い戦略だと考えました。

2.「カードの評価を極める(特に他人が低く評価しているものを高く評価する)」についてですが、これはカードが足りなくなるという現象を抑えるために意識しました。

シナジー環境ということは単体では弱いが組み合わせると強いといったカードがあるはず。特に他人が評価していなければそのカードは流れてきやすいということでもあり、デッキを組みやすくなります。

例えば《同化のヴェール》、このカードを強いと言っている人を見たことがありませんし14手目で流れてくることも多いです。しかし殴ることが重要なこの環境では打点アップ、警戒付与は殴り合いにおいて攻防一体のカードになります。青白アーティファクトで使用すると赤白、赤緑相手にすら殴り勝てるようになりました。こういった評価の積み重ねにより使えるカードの幅を増やしていきました

同化のヴェール

そして評価を極めるもう一つの利点として、カードの受け入れの広さの理解があります。《大顎の大司法官は青白アーティファクトはもちろん、装備品(赤)やダニ(黒)ですら誘発するので緑以外であれば高いバリューを期待できます。つまりデッキに採用しやすいのです。

大顎の大司法官

 

逆の例です。磁器の盲信者》、強いですよね。ところが毒性がない赤、青は微妙ですし黒も除去多めで守る構成になってしまうとこのカードを生かしにくくなってしまいます。採用できるデッキに限りがあるのです

磁器の盲信者

 

カードだけでなく色にもそれは言えて強アーキタイプが赤白、赤緑である点、後述しますが白を含めたアーキタイプの評価は比較的高めなので赤と白のカードをピックすることが受け入れを広くしているといえます。最初の段階でこれらを意識することでピックしたカードが腐りにくくなることが期待できます。

これらのことを意識した練習をフィデルフィアについた翌日も行っていてこの段階でも新しい発見がいくつもありました。プロツアーは練習時間が本当に足りませんね。

最終的なアーキタイプランク評価

1. 赤白赤緑
2. 青黒、白黒、緑白青白
3. 赤青緑黒
4. 青緑赤黒

3以降はレアを取れないとデッキパワーが足りない印象があります。逆に言えばレアさえあれば卓1でない強アーキタイプにも勝てます!受けドラフトを制するものはONEドラフトを制す。

プロツアー本番

ここからは練習の成果を生かすターンです。プロツアーでの実際のピック、特に上手くいった一回目のピックをお見せします。

第一回目ドラフト 1パック目

1-1

レジスタンスの火、コス
《レジスタンスの火、コス》

 

感動~!

《レジスタンスの火、コス》は赤のトップクラスのカード!パック的にほかに強い赤も無いので色主張もできて文句なしのピック!このパックは赤以外の強い色のカードがあり、黒に関しては数枚ありました。

1-2

白の太陽の黄昏
白の太陽の黄昏》

 

とんでもないカードが来ました。

全体除去でありフィニッシュも務めてくれる白の太陽の黄昏》です。このカードが流れてくるのは意外でしたが理解できます。前述したとおりONEドラフトは高速シナジー環境。このカードは実質7マナとかなり重く間に合ってないことも多くあります。ただこのカードを流したということは上家は白をやらない可能性が高く受けドラフトを狙いやすくなります。

土地を伸ばせる《レジスタンスの火、コス》とも相性がよく赤白をやれる可能性もあるので少し考えてピック。このカードは誰でも高く評価していると思っていたのでそれを流す考えを持ってきていた上家のプレイヤーに感動を覚えました。ここはプロツアー、練習を多く重ねてきた自分でも思いつかない考えを持った強者が数多いるフィールド。気が引き締まりました。

その後は白のカードが多く流れてきてピック。赤も少しつまみましたがあまり流れ来ず上家は赤をやっているのかと考えていました。下家には黒緑のカードを多く流しました

2パック目

2-10

 

血清核のキマイラ
《血清核のキマイラ》

間をおいて2-9パック目。それまでは赤と白のカードが流れてきたのでピックしていました。この時点であとは上家から白のカードを流してもらうだけでデッキになると考え赤白固定に。その間上家には青のカードを多く流していました。上家が赤をやっていると予想していましたがそうなると赤青を組んでいる可能性があります。その時《久遠への消失》もパック内にありましたがこのカードはメイン級ではないカードなのでそれならばカットのほうがバリューがあると考えカットピック

3パック目

3-2

耐え忍ぶカー、ケンバ
耐え忍ぶカー、ケンバ

これは嬉しい!赤白のベストカード!白の受けドラフトをした甲斐がありました。

3-5

格子刃のカマキリ
格子刃のカマキリ

このパックは23枚目に入るか入らないか程度の白のカードしかなかったと覚えています。それならば脅威になる《格子刃のカマキリ》をカットピック。

そしてピックを終えたデッキのリストがこちら。

ドラフトデッキ1回目

カードが足りてません。

 

土地が18枚と多めですし弱いと言っていた《久遠への消失》が入ってますね。レアは強いですがそれ以外のカードが弱めです。ただ《白の太陽の黄昏》《耐え忍ぶカー、ケンバ》、装備品による装備コストなどマナを使う機会は多くあります。色もできるだけほしいですし土地18は正解だったと思います。むしろ《久遠への消失》が土地だったら勝ちえたゲームがあったので19枚で良かったですね。

いざ対戦!

初戦は上家だったプレイヤー。プロツアーではデッキリストを公開しての対戦でしたが、リストを見ると対戦相手の色は赤青!《血清核のキマイラ》をカットした甲斐がありましたね。そしてリストを見るとまとまってはいるもののカードが弱め。《耐え忍ぶカー、ケンバ》と装備品によるロングゲームの強さで勝てました。

2戦目は下家のプレイヤー。《グリッサ・サンスレイヤー》が入った緑黒でしたがカードが足りてなさげ。こちらは《格子刃のカマキリ》のカットが活きましたね!

1ゲーム目は赤白のアグロ、3ゲーム目は《レジスタンスの火、コス》が大活躍して勝ちました!

グリッサ・サンスレイヤー

そして3戦目、《迷宮壊し、ミグロズ》が入った赤緑。ただしこのリストもカードが足りておらず。
ここまでお話してわかったと思いますが、みなさんデッキが弱いんですよね。やはりプロツアーというフィールドでは強いデッキは作りにくいのでしょう。この対戦は《耐え忍ぶカー、ケンバ》による装備の高クロックが活躍して2-0で勝利できました!

迷宮壊し、ミグロズ

ということで無事3-0することができました!ここでオポを高めにすることができたので最終的に14位という好成績を収めることができたのだと思います!

余談ですが《白の太陽の黄昏》を唱えた試合は全敗しました。リスト公開性ということもあり皆さんケアが上手く効果的に機能しにくかったです。上家プレイヤーの判断は正しかったということでしょうか。MTGは奥が深いですね。

第二回目ドラフト

向上した精霊信者、ニッサ

2回目のドラフトですが1-1で《向上した精霊信者、ニッサ》と最高のカードを取り、1-10ほどまで緑のカードが流れており下家から赤のレアが流れてきたこともあり、赤緑は卓の位置がいいなと考えていました。しかし蓋を開けてみれば赤緑が確認できただけでも4人おり、《迷宮壊し、ミグロズ》が卓に4枚も出てました(自分だけ持っておらず)。これは卓全体のパックの引きが相当偏っていたのが伺えますね。3パック目からカードが流れてこなくなり焦りました。《向上した精霊信者、ニッサ》をプレイしたゲームは勝ちそれ以外は負けました。おかげで2-1することができました。《向上した精霊信者、ニッサ》に感謝…!

ドラフトデッキ2回目

終わりに

いかがだったでしょうか?ラッキーもありましたがプロツアーに合わせた調整が実を結んだと思っても驕りではないと考えています。

今回が初プロツアー、初の海外でのMTGということで不安が大きかったですが、いざ参加してみたら親切な方ばかりで自分の拙い英語でも会話してくれました。そして何よりMTGがとんでもなく上手いプレイヤーばかりで本当に楽しかったです!次回の権利も手に入れたので今から楽しみです!

今回プロツアーに挑むにあたって一緒にプレイしてくれた調整メンバーには改めて感謝です。

調整メンバーでの練習過程や取り組みについては、明星Hiveのメンバーでもある曳山まつりかちゃんnoteで記事を後悔してくれていますので、そちらもぜひチェックしてみてください!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

明星Hive

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競技シーンで活躍するメンバーが自然と集って発足したMTGチーム。
元MPLやスポンサードプロ、配信者やブロガーなど12名の多様なメンバーが在籍。
チーム発足時に、明星が輝く朝方まで海外のオンライン競技イベントに参加していたことがチーム名の由来。

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