デバッグ・マジック! Byまつがん

デバッグ・マジック! vol.18 ~『兄弟戦争』編~

公開日: / 更新日:まつがん

デバッグ・マジック!18

さて早いもので2022年も暮れにさしかかり、今週末の18日には新セットである『兄弟戦争』が発売となる。

ウルザとミシュラとの戦争をモチーフにしているだけあって強力なアーティファクトが目白押しであり、「試作」という新たなギミックや、「蘇生」といった懐かしのギミックも登場するこのセットによって、モダン環境はどのような影響を受けるのだろうか?

早速直近のモダン環境の模様をチェックしつつ、新デッキの製作にとりかかっていくとしよう。

 

■ 1. 多様化するTier 2勢力

 2022年9月~10月にかけてのモダン環境は、以下のようなメタゲームで展開していた。

 

Tier 1
青赤ラガバン

Tier 2
執政官独創力/頑強独創力 ←Down……
装備シュート
赤黒不死ラガバン
4Cブリンク/4Cオムナス/エレメンタル
死せる生
Yawg-Chord
アミュレット
版図続唱 ←Up!!
エムリーブリーチ ←Up!!

 

前回との比較で見ると、独創力コンボ」の後退が大きなトピックとなる。といってもTier 2にはいるので依然有力なデッキであることに変わりはないが、Tier 1とまで呼べるほどの圧倒的な活躍は見られなくなった。

 

万物の姿、オルヴァール

 

その原因は、サイドボードの《万物の姿、オルヴァール》採用の普及にある。Tier 1でも10%、Tier 2になると3~7%前後にまでメタゲーム占有率が落ちてくるほどに多様なデッキタイプが存在しているモダンにおいて、「専用サイドボードをとらせる」というのはそれ自体強力なデッキコンセプトの証でもあるのだが、それにしても《万物の姿、オルヴァール》の場合は《残虐の執政官》の着地に合わせて捨てられそのまま《残虐の執政官》をコピーされてしまうので、「採用されているかもわからず、また仮にわかったとしてもかわせないし、食らったらそのまま負けうる」という点に大きな特徴があり、「独創力コンボ」にとっては《夏の帳》や《狼狽の嵐》のような守りのサイドカードとは異なって完全に「殺しのサイドボード」として機能してしまう。

 この状況を「独創力コンボ」の側から能動的に解決したいと願うならば《残虐の執政官》を別のフィニッシャーに差し替えるのが最も簡便だが、あらゆるデッキに対して強かった《残虐の執政官》の代わりはなかなかいないと思われるため、結論としては消極的な解決策に訴えるほかない。すなわち、「他のデッキのサイドボードから《万物の姿、オルヴァール》が抜けるまで別のデッキを使う」ことが最適解となる。「独創力コンボ」の後退は、そうした事情もあってのことだろう。

 

力線の束縛

 

一方、ここにきて「青赤ラガバン」が復権の兆しを見せている。といってもTier 1から落ちたことはここしばらくなかったが、《力線の束縛》の登場は少なからず影響を与えていた。《虹色の終焉》のスロットが《力線の束縛》に差し替わるということは、《濁浪の執政》の対処が容易になるということだからだ。

だがこれに対し、「青赤ラガバン」側は《濁浪の執政》の枚数調整と、メインからの《血染めの月》の採用で素早く対応した。《空を放浪するもの、ヨーリオン》の禁止で「4Cオムナス」系統のデッキパワーも落ちたことで、あらゆるアーキタイプに対して様々な角度で手広く「押しつけ」と「対応」を使い分けられる「青赤ラガバン」の天下は、まだもうしばらくは続きそうだ。

 

トライバルズー
Modern Challenge #12485613 2nd Place
プレイヤー:MisterT1980
呪文(19枚)

4《稲妻
4《頑固な否認
1《ドロモカの命令
2《差し戻し
4《部族の炎
4《力線の束縛

トライバルズー
『団結のドミナリア』で「版図」持ちの強力な2マナ域である《ニショーバの喧嘩屋》と実質1マナ万能除去として機能する《力線の束縛》が登場したことで、「1~2ターン目にクロックを設置し、3ターン目には2マナクロックの追加から《力線の束縛》と《頑固な否認》との両面構えをする」というコンセプトが現実的となった。

1マナ域の採用の薄さからもわかるように本質は「2マナストンピィ」であり、1ターン目はフェッチからの3色土地サーチタップインに当てることも往々にしてある。それでも2マナ域の攻撃3回 (2ターン目の1体目が2回と3ターン目の2体目が1回) と《部族の炎》で平気で4キルしうる打点があり、そこに「獰猛」で確定カウンターと化した《頑固な否認》とインスタント《名誉回復》と化した《力線の束縛》を両方挟む余裕があるというのは実際脅威のマウント力である。

素引きした土地の組み合わせが弱いと機能不全に陥るのと、2マナが基軸のため3マナ目が置けないと展開と受けが同時にとりづらいという弱点もあるが、懐かしの「《部族の炎》5点本体!」で勝ちたい方にはオススメのデッキだ。

 

「《敏捷なこそ泥、ラガバン》+《ウルザの物語》」の組み合わせはたびたび環境に現れるが、どれも支配的なコンセプトになるまでには至っていない。その原因は結局、「《敏捷なこそ泥、ラガバン》を引いたときの最適なサポート」や「《ウルザの物語》にとっての最適なサポート」がそれらを引かないときには十分な出力を発揮せず、安定感を損なってしまうからだと考えられる。

そこでこのデッキは《貪欲なるリス》といわゆる「猫かまど」システムによるぶん回りとを併用し、「先攻1ターン目《敏捷なこそ泥、ラガバン》」とはまた別のぶん回りパターンを用意するアプローチをとっている。《貪欲なるリス》や《波乱の悪魔》は《ミシュラのガラクタ》とのシナジーもあり、一瞬にして予想外のダメージをたたき出すこと請け合いだ。

 

アーティファクトバーン
Modern Challenge 2022/11/6 6th Place
プレイヤー:CrusherBotBG
クリーチャー(12枚)

4《メムナイト
4《ボーマットの急使
4《敏捷なこそ泥、ラガバン

呪文(27枚)

4《感電破
4《稲妻
4《爆片破
4《舞台照らし
3《実験統合機
1《黄鉄の呪文爆弾
1《影槍
2《バネ葉の太鼓
4《頭蓋囲い

アーティファクトバーン

こちらも「《敏捷なこそ泥、ラガバン》+《ウルザの物語》」のバリエーションだが、思想的にはどちらかといえば「単体除去のある『装備シュート』」あるいは「8 cast」といったコンセプトに近いデッキとなる。

《頭蓋囲い》以外は実質すべて1マナのアクションだが、クロック・除去・ドローと満遍なく揃っており、さらに土地まで含めたすべてのリソースが対戦相手の20点のライフを常に虎視眈々と狙い続ける。アーティファクトシナジーを採用することでカードパワーの底上げを図った現代的なバーン戦略とミッドレンジとのハイブリッドであり、ライフ13点以下はどこからでも火力の射程圏なので、多くのシチュエーションで対戦相手に「結果的な裏目」を引かせることができそうなコンセプトだ。

 

 

 

■ 2. 『兄弟戦争』でバグを探そう

ウルザ・ブロック、ミラディン・ブロック、カラデシュ・ブロックetc……アーティファクトをテーマにした歴代のセットはことごとくオーバーパワーなカードを生み出してきた。

『兄弟戦争』もその法則に則るのかはわからないが、少なくともその可能性を秘めていることだけは確かだ。

ならばデッキビルダーたるもの、その可能性を見逃すわけにはいかない。

このセットに相応しく、多くの伝説的なアーティファクトを発明したウルザとミシュラの兄弟のような探求心を持って、様々なバグをデバッグ (発見・解明) していこう。

 

 

◇《テリシアの精神壊し》

多くの枚数のカードをより少ないマナで動かせるカードは強力だ。そしてその法則からすれば間違いなく強力と言えるカードが、『兄弟戦争』には存在した。

テリシアの精神壊し

《テリシアの精神壊し》。普通に使うと7マナのクソ重アーティファクト・クリーチャーだが、「蘇生」で出せばわずか4マナで相手のライブラリーの半分を消し飛ばせる能力を持っている。

とはいえ、マジックの勝利条件には「相手のライブラリーを半分消し飛ばしたら勝ち」などというゆるふわな文言は存在しない。そしてたとえ《テリシアの精神壊し》を2体や3体並べたとしても、削れる枚数は1/2、1/4、1/8とどんどん減っていくので、さながらアキレスと亀の寓話のごとく勝利という結果には一生たどり着くことができないのではないか……とも思われるかもしれない。

だがモダンの広大なカードプールにかかれば、「ライブラリーを半分削る」という半端な効果であっても即座に勝利に変換できるカードが存在していたのだ。

そう、そのカードとは。

 

正気減らし

 

《正気減らし》を貼ってから殴れば4キルでは???

 

 

《正気減らし》はターン終了時にそのターン中に墓地に落ちた枚数のライブラリーを再度削るので、《テリシアの精神壊し》と合わせれば相手のライブラリーは綺麗に0枚となる。たった2枚のカードが揃えばその時点で勝ちということは、これぞまさしく令和の《欠片の双子》コンボと言っても過言ではない。

だが、早くもモダンを終わらせてしまったか……とウキウキしながらデッキを作り始めた私を襲ったのは、あまりにも厳しすぎる現実であった。

まずこのコンセプトだけでゲームに勝利するとした場合、各ターンの想定されるアクションは以下となる。

1ターン目:行動A
2ターン目:行動B
3ターン目:《正気減らし》を対戦相手にエンチャント
4ターン目:《テリシアの精神壊し》を墓地から「蘇生」して攻撃、ターンを返して相手のドローステップに勝利

 ……。

 …………。

 

どうやってコンボパーツ探すねん!!!

 

そう、コンボを達成するために3ターン目の3マナと4ターン目の4マナがすべて拘束されてしまっているので、コンボパーツを探すために使えるマナは1ターン目の1マナと2ターン目の2マナの合計わずか3マナ。しかも《テリシアの精神壊し》の側は探すだけでなく墓地に落とさなければならないというのである。

それだけでなく4マナまで事故なく伸ばさなければならないことまで考えると、要求値は実質3枚コンボ以上とすら言えた。

それでも、私は最適な形を必死に模索した。何せ決まりさえすれば100%確実に勝てるコンボなのだ。考えてみる価値はある。

 

 

 

 

《テリシアの精神壊し》を墓地に落とす方法としては、《ゴブリンの技師》が最適に思われた。《無名の墓》でも同様のことは可能だが、ブロッカーが立つのが偉いのと、色が増えすぎるので同時採用は見送った。

また、《正気減らし》をサーチする方法としては《武器庫の開放》に白羽の矢が立った。エンチャントのサーチは通常《牧歌的な教示者》で3マナからになってしまうところ、オーラであれば2マナでサーチできるので行動Bに組み込める。

だが、これらには大きな問題点があった。それは、同じ2ターン目の行動で被ってしまっているという点だ。

本来デッキ構築においては、「1ターン目の行動Aで《正気減らし》をサーチし」「2ターン目の行動Bで《テリシアの精神壊し》を墓地に落とす」といった具合に、各ターンの行動の役割を固定化できることが理想だ。

なぜなら「《武器庫の開放》を引いたら行動Bで《正気減らし》をサーチし」「《ゴブリンの技師》を引いたら行動Bで《テリシアの精神壊し》を墓地に落とす」というような行き当たりばったりのターンを作ると、「前者のパターンではあらかじめ行動Aで《テリシアの精神壊し》を墓地に落とす必要があり」「後者のパターンではあらかじめ行動Aで《正気減らし》をサーチする必要がある」といった具合に、別のターンの行動までもつられて行き当たりばったりになってしまうからだ。

しかし、これを解消する術はなかった。なぜならたとえ《ゴブリンの技師》と《無名の墓》を8枚積んで行動Bを「《テリシアの精神壊し》を墓地に落とす」に固定化したとしても、今度は行動Aで《正気減らし》をわずか1マナでサーチしなければならなくなり、そんな方法は (《大霊堂の戦利品》で臓器を売るか、《血清の粉末》で理性を売らない限り) モダンには存在しないからだ。

かくして私はやむなく、行動Aを行き当たりばったりのままデッキを作るほかなかった。

というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!

 

『サニティ・ブレイカー』
土地(24枚)

2《島》
1《森》
2《繁殖池》
2《神聖なる泉》
2《蒸気孔》
4《溢れかえる岸辺》
4《霧深い雨林》
4《沸騰する小湖》
3《宝石鉱山》

クリーチャー(16枚)

4《面晶体のカニ》
4《傲慢な新生子》
4《ゴブリンの技師》
4《テリシアの精神壊し》

呪文(20枚)

4《否定の契約》
4《異世界の凝視》
4《精霊との融和》
4《武器庫の開放》
4《正気減らし》

サニティ・ブレイカー

 

正気じゃないのはお前の頭だよ!!!

 

SAN値直葬デッキとはこのことか。「1マナで《テリシアの精神壊し》を墓地に落とす行動A」を実現するために採用したのがまさかの《面晶体のカニ》である。つまり墓地に落ちるかは完全に運ゲーだし、その確率を高めるためにたっぷり4枚入った《テリシアの精神壊し》が手札に来てしまったら顔面完熟トマト間違いなしである。

だがいざというときには《正気減らし》と合わせて相手をライブラリーアウトさせることができ……るわけもなく、「お前がテリシアになるんだよ!!!(?)」と叫びながら目つぶしを食らわせてひるませた隙に相手のライブラリーをわしづかみにして墓地に直接ダンクシュートをキメることでどう見てもライフタイム出禁です本当にありがとうございました。

 

 

 

◇《多元宇宙と共に》

マジックは同じカードを4枚しか積めないゲームだ。だが、8枚積めたらどうだろうか?嬉しいに決まっている。

多元宇宙と共に

 

《多元宇宙と共に》。どんなにマナコストの重い呪文でも1ターンに1回踏み倒せるこのカードは、既にモダンのカードプールに存在するとあるカードの5~8枚目としても機能する。

 

全知

そう、《全知》だ。

とはいえ、2枚貼る意味がほとんどないこれらのクソ重エンチャントを8枚も積んだら2枚も3枚も初期手札に来て「バモス!!!!」と叫びながら即マリガンする羽目になるだけではないか、と思われるかもしれない。

だが、どのようなカードも2種類目が存在することによって新たな可能性が開けるのだ。

その可能性とは、そう。

 

 

 

根本原理を8枚積んだデッキに《全知》が8枚入ったら最強では???

 

 

《発生の根本原理》《輝く根本原理》が真に「唱えたら勝ち」の呪文となるためには、デッキ内に「出たら勝ち」と言えるパーマネントが大量に搭載されていなければならない。

これまではそこまでの決定力を持つパーマネントは《全知》とせいぜい《引き裂かれし永劫、エムラクール》くらいだったが、《多元宇宙と共に》の登場により、これらの根本原理が「唱えたら勝ち」にかなり近づいたのだ。

とはいえ、白白青青青黒黒の呪文と赤赤青青青緑緑の呪文とを普通に唱えようとするとマナベースがタバナクルアトペンドレルうんちになってしまう。

 

 

そこで《睡蓮の花》《五元のプリズム》などの無から色マナを生み出せるマナ加速を採用することで、合計5色にまたがる2種の根本原理の同居という暴挙をどうにかデッキという形に落とし込むことが可能となるのだ。

というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!

 

『8根本全知』
土地(20枚)

4《宝石鉱山》
4《真鍮の都》
4《マナの合流点》
4《反射池》
1《低木林地》
1《ラノワールの荒原》
1《憑依された峰》
1《日没の道》

クリーチャー(8枚)

4《無限に廻るもの、ウラモグ》
4《引き裂かれし永劫、エムラクール》

呪文(32枚)

4《古きものの活性》
4《火+氷》
4《発生の根本原理》
4《輝く根本原理》
4《多元宇宙と共に》
4《全知》
4《睡蓮の花》
4《五元のプリズム》

8根本全知

 

 

1ターン目に《睡蓮の花》「待機」できなかったら完全観客ドリーマーじゃねーか!!!

 

ここでも「制約と誓約の覚悟で《大霊堂の戦利品》を使う」という手もあるが、普通に2割くらいの確率で両手両足が吹き飛びかねないのでオススメはできない。かくして「唱えたら勝ち」が禁止カードにならずに許されているのは「唱えるまでは何もできない」からだという、厳しくも当たり前の現実が明らかになったのであった。

 

 

 

◇《ゴブリンの爆風走り》

新セットが発売するとき、能力を見る前に無条件でバグの可能性がある一群がある。それは、1マナ以下のカードだ。

ゴブリンの爆風走り

 

《ゴブリンの爆風走り》。一見するとおよそ現実的でない条件で時たま3/2になる、おおよそただの1/2のゴブリン……そんな風に見えるかもしれない。

だが、モダン環境においてこのカードはまさしく革命的な1枚なのだ。

そう、すなわち。

 

 

 

フェッチランドと組み合わせたら実質《野生のナカティル》では???

 

 

1マナでこれほど軽い条件でパワー3以上になるクリーチャーは実はあまり類を見ない。もちろんただパワーを上げたいだけならば《模範的な造り手》《ドラゴンの怒りの媒介者》や《ステップのオオヤマネコ》《アクームのヘルハウンド》などもこれまでに存在していたが、ここにモダンの落とし穴があり、《レンと六番》のせいでタフネス1にはほぼ人権がないのである。

そこにきてこの《ゴブリンの爆風走り》は通常時からタフネスが2あるので《レンと六番》に引っかからない。かくして久しぶりにアグロ向きで実用的な1マナ域が登場したと言えるのだ。

とはいえ、モダンで普通に1→2→3→……と順番にクリーチャーを出していっても当然勝てるはずもない。勝つためには、何らかのバグムーブが必要となる。

 

 

 

そこで《炎樹族の使者》《隠れた薬草医》で8枚搭載からの《ゴブリンの奇襲隊》《無謀な奇襲隊》の8枚体制で「1→2+2+2+奇襲隊」を目指すことで、モダンでも通用しうる3ターンキルを実現できる。

 

ゴブリンの手投げ弾

 

また、《ゴブリンの爆風走り》が「ゴブリン」であることを生かし、後詰めを《ゴブリンの手投げ弾》にすることで、クリーチャーで削るライフは15点で済むようになる。

というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!

 

『スーパークレイジーエミッサリー』
土地(16枚)

1《山》
2《踏み鳴らされる地》
1《聖なる鋳造所》
3《乾燥台地》
3《血染めのぬかるみ》
3《沸騰する小湖》
3《樹木茂る山麓》

クリーチャー(32枚)

4《野生のナカティル》
4《ゴブリンの爆風走り》
4《ゴブリンの先達》
4《ゴブリンの奇襲隊》
4《炎樹族の使者》
4《隠れた薬草医》
4《無謀な奇襲隊》
4《通りの悪霊》

呪文(12枚)

4《ゴブリンの手投げ弾》
4《魔力変》
4《ミシュラのガラクタ》

 

スーパークレイジーエミッサリー

 

 

2ターン目までに手札を使いきらないと死ぬ病気なのかな???

 

コンセプトに必要なカードが「1マナの《レンと六番》で死なない強クリーチャー」と「《炎樹族の使者》系」と「奇襲隊」の3種類しかないせいで他のスロットはすべて0マナキャントリップで埋める羽目になってしまったが、当然ランダムな1ドローは上ブレもすれば下ブレもするので、3ターン目のドローステップを迎えた瞬間に手札が全部フェッチランドになってダイナミック投了する事態が頻発する。そうなったら「うおおおおお俺自身が《ゴブリンの手投げ弾》!!!」と叫んで自爆するしかないので気を付けよう (?)。

 

 

 

◇《機械化戦》

新カードを見た際にバグの可能性を感じるような種類の効果の一つとして、「ルールを変える効果」というものがある。

ルールを変えるということは、既存のカードではできない動きを実現するということ。それすなわち、新コンセプトの可能性そのものだからだ。

ましてそれが1~3マナのカードとなれば、飛びつかないわけにはいかないだろう。

 

機械化戦

 

《機械化戦》。赤の発生源からのダメージを1点増やすことができる効果を持つエンチャントだ。

ただ、《稲妻》や《溶岩の撃ち込み》が4点になろうと《ボロスの魔除け》が5点になろうと大差なく、それだけならわざわざ3マナも払って設置する意味があるのか?と思われるかもしれない。

だが私は、このカードに類似した効果を持つカードの存在に思い至ったのである。

 

紅蓮術士の刈り痕

 

そう、《紅蓮術士の刈り痕》だ。

そして《紅蓮術士の刈り痕》といえば、使い道は一つ。

 

 

ぶどう弾

 

《ぶどう弾》と組み合わせればいいのでは???

 

 

《機械化戦》の場合は《紅蓮術士の刈り痕》と違って要求される「ストーム」値が1.5倍になってしまうという欠点はあるが、その分《紅蓮術士の刈り痕》と違って先置きが可能なので、重ねて設置できるという利点もある。

とはいえ、これだけだと《紅蓮術士の刈り痕》は8枚になっても《ぶどう弾》の側は4枚しか積めないので、結局それほど実用的ではないのでは?とも思える。

しかし、私はついにたどり着いたのだ。モダン環境に長らく存在していながらもこれまで日の目を見ることがなかった、隠されし2種類目の《ぶどう弾》の存在に。

 

 《記憶の点火》?否。

 

 《騒鳴の嵐》?否否。

 

 そのカードとは。

 

魔力激突

《魔力激突》だァァーーーーーうおおおおおおお最強最強最強!!!!!

 

というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!

 

『デス・マッチ』
土地(13枚)

12《山》
1《陽焼けした砂漠》

呪文(47枚)

4《はらわた撃ち》
4《棘平原の危険》
4《溶岩の投げ矢》
4《無謀なる歓喜の行進》
3《魔力激突》
4《捨て身の儀式》
4《発熱の儀式》
4《魔力変》
4《無謀なる衝動》
4《ぶどう弾》
4《機械化戦》
4《紅蓮術士の刈り痕》

デス・マッチ

《魔力激突》は最速1ターンキルすら可能な奇跡のカード。ひとたび唱えると対戦相手は消え去り神との勝負が始まる。問われるのは己の運命力のみ、敗者には死……そんな異次元の儀式が幕を開ける (注:大抵ただのダイスロールです)。

《機械化戦》はそんな運命力の勝負に若干のイカサマ要素を付加できる。《魔力激突》のダメージは呪文の解決中、コイントスのたびに入るので、《機械化戦》が設置してあれば相手は裏を出すたびに2点食らうようになる (※たぶん)。こちらは1点、相手は2点……すなわち、相手が先に倒れるのは必定ッッッ!!!(注:《魔力激突》はそういう効果のカードではありません)

「じゃあ何で3枚なんだよ」とツッコまれると返す言葉もないです。

 

 

 

■ 3. 終わりに

『兄弟戦争』はモダン視点ではわかりやすくぶっ壊れと呼べるカードこそなさそうなものの、面白そうなカードは多数収録されている。

クソデッキの上にも三年。千里のクソデッキも一歩から。桃栗三年クソデッキ八年 (?)。

ぜひ自分自身の手で、新カードを手に取り新たなデッキを作ってみて欲しい。

ではまた次回! 

 

「Study Hall of M:TG」のMTG Toolsを利用しています。 https://mtg.theuri.net/

※一部のデッキリストは「Study Hall of M:TG」のMTG Toolsを利用しています。

 

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