池田貴浩のレガシープリズン

池田貴浩のレガシープリズン ~レガシー神挑戦者決定戦 大会レポート~

公開日:池田貴浩

レガシー神挑戦者決定戦 大会レポート

お久しぶりです。池田です。

今回は、先日に参加した、晴れる屋レガシー神挑戦者決定戦の大会レポートを書かせていただきます。

今回は参加者192人と、前回の170人を上回る大盛況っぷりであると同時に、スイスラウンド8回戦の後に、シングルエレミー3回戦で、6勝1敗1分でもオポ落ちのある過酷な大会でした。

私個人としても、コロナ禍の影響により、11月に開催されたエターナルパーティやThe Last Sunに参加することができず、悶々とした日々を過ごしていたため、久々の大型大会にいつも以上に気合が入っていました。

 

環境理解

 

前回の記事でも書かせていただきましたが、今の環境は《敏捷なこそ泥、ラガバン/Ragavan, Nimble Pilferer》に支配されています。ベースとなるのは純正のURモンキーで、そこから白を足したジェスカイモンキーや、黒を足して《死の影/Death Shadow》を入れたグリクシスシャドウモンキー、《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》を擁するRUGミッドレンジなど、青赤(+1色)のデッキが環境の中心です。

最低でもこれらのURモンキー系統のデッキと対等以上に戦えないと、大会では勝ち残れません。

現・レガシー神である高野茂樹さんもURモンキーを使用していることから、URモンキー系統には少なくとも有利であることが求められる環境でした。

『URデルバー』
Takano Shigeki
第18期神決定戦 - レガシー
2021/12/12
呪文(27枚)

4《渦まく知識
2《はらわた撃ち
4《稲妻
4《目くらまし
1《否定の力
4《意志の力
4《思案
4《表現の反復

サイドボード(15枚)

1《カラカス
1《水流破
3《紅蓮破
1《赤霊破
2《外科的摘出
1《削剥
1《否定の力
3《溶融
1《無のロッド
1《覆いを割く者、ナーセット

 

濁浪の執政

 

 

 

第二派閥が、《ウルザの物語/Urza’s Saga》を擁するミッドレンジ系デッキです。《ウルザの物語/Urza’s Saga》のカードパワーは凄まじく、全ての能力をちゃんと解決できたら、土地から3つものアドバンテージを稼ぐことができます。さらに、それは土地なので打ち消せません。

《ウルザの物語/Urza’s Saga》系のデッキも多岐に渡っており、白単ペインター、青単エコー親和、サーガレッドなどのアーティファクト主体デッキはもちろん、土地単やヨーリオン4cゼニスコントロールなどのアドバンテージ源兼フィニッシャーとして採用されています。

今回神挑戦者になられた小野田 顕児さんの使用していたURモンキーサーガは、これら環境の中心カードを余すことなく使ったとても良いデッキ選択だと思います。

カウンターモンキー
Onoda Kenji
第18期神決定戦 - レガシー
2021/12/12
土地(21枚)

1《乾燥台地
2《溢れかえる岸辺
1《
1《霧深い雨林
1《
4《沸騰する小湖
1《蒸気孔
3《ウルザの物語
4《火山島
3《不毛の大地

サイドボード(15枚)

2《溶融
2《外科的摘出
1《カラカス
1《不毛の大地
1《イゼットの静電術師
1《青霊破
1《紅蓮破
1《赤霊破
1《否定の力
1《倦怠の宝珠
1《墓掘りの檻
1《真髄の針
1《無のロッド

ウルザの物語

 

 

 

一方で、コンボデッキはURモンキー系統のデッキに有利が取れないため、数を減らしている印象でした。《敏捷なこそ泥、ラガバン/Ragavan, Nimble Pilferer》により、環境が高速化していることもあり、スニークショーやオムニテル、アルーレンなどの少し重めのコンボデッキは鳴りを潜め、もしも勝ち上がるとしたら、《敏捷なこそ泥、ラガバン/Ragavan, Nimble Pilferer》による影響を無視できる、スパイや最後の審判、ANTといった高速コンボ残ると予想してました。

また、《敏捷なこそ泥、ラガバン/Ragavan, Nimble Pilferer》に対する環境の高速化に伴い、《虚空の杯/Chalice of the Void》系のデッキも増えているように感じました。《虚空の杯/Chalice of the Void》系のデッキには漏れなく《ウルザの物語/Urza’s Saga》も噛み合うため、カードパワーも高めです。

一方で、ヨーリオンデス&タックスもURモンキー系統に強いデッキとして、着実に使用者数が増えてきている印象でした。

 

 

 

 

デッキ選択

 

私が今回使用したのは、サーガレッドというアーキタイプで、私が最も愛用している赤単プリズンからの派生デッキです。

 

サーガレッド
Ikeda Takahiro
第18期レガシー神挑戦者決定戦 - Top16
2021/12/11
呪文(17枚)

3《死亡
4《髑髏砕きの一撃
4《虚空の杯
4《金属モックス
1《大祖始の遺産
1《影槍

サイドボード(15枚)

4《紅蓮破
4《焦熱の合流点
3《三なる宝球
1《カラカス
1《難題の予見者
1《真髄の針
1《大祖始の遺産

 

基本的な動きは赤単プリズンと同じで、豊富なマナ加速をベースに、早い段階から妨害札やクロックを定着させ、相手を圧倒していくデッキです。

赤単プリズンとの違いは、妨害札が圧倒的に少なく、特に《血染めの月/Blood Moon》が入っていないのが特徴です。《血染めの月/Blood Moon》によるロック性能を抜く代わりに、《ウルザの物語/Urza’s Saga》と《難題の予見者/Thought-Knot Seer》という良質なクロックを手に入れ、更には《エインジーの荒廃者/Anje’s Ravager》と《再鍛の刃、ラエリア/Laelia, the Blade Reforged》という2つのアドバンテージ獲得手段により、継戦能力が非常に高いです。

 

難題の予見者

 

一時期はローグアグロというカテゴリーに分類されていましたが、私が調整のために晴れる屋に通い詰めた結果、サーガレッドという新アーキタイプと認めてもらえるまでになりました。(←ただの自慢です)

 

 

私は今回のレガシー神挑戦者決定戦に出るにあたり、このサーガレッドと青単エコー親和、青赤ペインターの3デッキを調整していました。

《敏捷なこそ泥、ラガバン/Ragavan, Nimble Pilferer》を4枚所持していないため、URモンキー系統は使えず、また直近のエターナルウィークエンドレガシーでも《敏捷なこそ泥、ラガバン/Ragavan, Nimble Pilferer》が猛威を奮っていたので、もしかしたらレガシー神挑戦者決定戦の直前に禁止になるかもしれないとも考えました。

そこで、環境2番手である《ウルザの物語/Urza’s Saga》を使う選択をしました。

デッキの完成度としては、青単エコー親和が最も高いですが、直近で神・高野茂樹がURモンキーのサイドボードに《溶融/Meltdown》の3枚目を取っていたので、あまりにアーティファクトに寄せた構築は厳しいと思い、アーティファクトとクリーチャーの多角的に攻めれる、サーガレッドを選択しました。

 

溶融

 

大会前の調整で、URモンキー系統の 《濁浪の執政/Murktide Regent》をちゃんと止めたいのでサイドボードの《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》を増量しました。さらに《ウルザの物語/Urza’s Saga》を使ったアーティファクトデッキとデス&タックスの増加を見越し、《焦熱の合流点/Fiery Confluence》も4枚に増量。代わりに、《実物提示教育/Show and Tell》対策として入れていた《カラカス/Karakas》を減らしました。

 

 

 

 

大会結果・当日のメタゲーム

 

1R URモンキー(先手) ○○

2R URモンキーサーガ(先手) ○×○

3R ヨーリオン4cゼニス(後手) ○×○ 木原惇希さん

4R 奇跡コントロール(先手) ○○

5R ジェスカイモンキー(後手) ○×× 高橋優太さん

6R スパイ(後手) ×○○

7R オムニテル(後手) ××

8R BUGシャドウ(先手) ○○

 

6勝2敗で12位入賞でフィニッシュでした。

 

5Rのジェスカイモンキーは、1ゲーム目は相手の《濁浪の執政/Murktide Regent》をきれいに捌いて勝てましたが、2ゲーム目はマナスクリューしているところに《溶融/Meltdown》が刺さり負け、肝心の3ゲーム目は逆にマナフラッドしてしまい、負けてしまいました。ジェスカイモンキーは他のURモンキー系統のデッキと違い、メインから《虹色の終焉/Prismatic Ending》を採用し《虚空の杯/Chalice of the Void》に触ることが出来るため、URモンキー系統の弱点を克服している印象でした。

この時の対戦相手は、ワールドチャンピオンの高橋優太さんだったのですが、1ゲーム目の私のプレイングから、即座にこちらのゲームプランを読み、2,3ゲーム目にはそれを修正して戦っていたので、流石だなぁと感心したのを覚えています。

ジェスカイモンキー
Takahashi Yuuta
第18期レガシー神挑戦者決定戦 - Top8
土地(17枚)

3《乾燥台地
3《溢れかえる岸辺
1《プラトー
3《沸騰する小湖
3《火山島
4《不毛の大地

サイドボード(15枚)

1《剣を鍬に
2《狼狽の嵐
1《真の名の宿敵
2《否定の力
2《覆いを割く者、ナーセット
2《外科的摘出
2《溶融
1《赤霊破
1《紅蓮破
1《硫黄の精霊

 

 

7Rのオムニテル戦は2ゲームとも2ターン目に《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》でなす術なく敗退。調整段階で、数を減らしていることから対策を薄めにしていたことを後悔しましたが、相手がブン回り過ぎたので、ちゃんと対策していても勝てていたか怪しいところですね。普段ANTを愛用している方だったため、もし当日もANTだったらと思うと、非常に悔しくてなりません。

オムニテル
Arai Yuuta
第18期レガシー神挑戦者決定戦 - Top16
9th
2021/12/11
クリーチャー(3枚)

3《引き裂かれし永劫、エムラクール

呪文(37枚)

4《渦まく知識
3《狼狽の嵐
4《衝動
4《狡猾な願い
2《直観
4《意志の力
4《思案
4《定業
4《実物提示教育
4《全知

 

 

逆に、6Rのスパイ戦は、10戦やったら9回は負けるであろう相性差を覆し、奇跡的に勝利を収めることができました。先行1ターンキルをされていたらなすすべなくやられていましたが、相手のマリガンのおかげもありターンが返ってきたため、《虚空の杯/Chalice of the Void》《三なる宝球/Trinisphere》による封殺が間に合いました。この方も最終的に16位に入賞されているため、スパイというデッキの地力の高さを思い知りました。

 

今回は、厚めに対策していたアーティファクトデッキに当たらず、対策を減らしたショーテル系デッキに当たったのは不運でしたが、それらの試合以外は、当初想定していたメタゲームに沿った展開をしていたため、比較的順調に勝ち進めたかと思います。

 

 

当日のメタゲームは、予想をはるかに超えてURモンキー系統のデッキが多かったです。一方で、《ウルザの物語/Urza’s Saga》系統のデッキはあまり勝ち残っておらず、増えてくると予想したヨーリオンデス&タックスもあまりいませんでした。これは、URモンキー系統のデッキが《虹色の終焉/Prismatic Ending》や《溶融/Meltdown》といった対策カードを多く積んだ結果かと思います。

また、コンボデッキは、やはり高速コンボが勝ち進み、TOP8に4人入った一方、中速コンボはやはり数が少なかったです。

 

入賞ラインにはあまり入りませんでしたが、ヨーリオン4cゼニスやバントコントロール、ジェスカイ奇跡、バント土地単といった、日本人好みの青系コントロールも多くいましたが、やはり《敏捷なこそ泥、ラガバン/Ragavan, Nimble Pilferer》《ウルザの物語/Urza’s Saga》のカードパワーとテンポの良さに競り負けている印象でした。

 

もし、もう一度今回の環境でのトーナメントに参加するとしたら、デッキはサーガレッドのまま、サイドボードに1枚だけ残った《カラカス/Karakas》を《赤霊破/Red Elemental Blast》にして、「絶対《濁浪の執政/Murktide Regent》と《実物提示教育/Show and Tell》倒すマン」になろうと思います(笑)

 

 

 

 

ピックアップデッキ

 

今回、スイスラウンドの1位に珍しいデッキが入賞していました。

BIGsの藤本岳大さんのマッドネスです。

 

マッドネス
Fujimoto Takehiro
第18期レガシー神挑戦者決定戦 - Top8
Top4
2021/12/11
サイドボード(15枚)

2《古えの遺恨
2《骨の破片
1《フェアリーの忌み者
2《炎の嵐
4《虚空の力線
2《巻き添え
2《悪ふざけ

 

 

復讐蔦

 

 

MOでは局地的に流行っていたマッドネスが、ついにリアルの大会でも入賞しました。このデッキの爆発力は凄まじく、戦闘を介すコンボデッキの中では無類のスピードを誇ります。SE1でのgame3は私も驚きました。

 

※動画(30:50頃)

 

また、このデッキは既存の対策が刺さり辛いのも特徴です。「手札を捨てる」という行為が基軸となっているので、墓地対策をされても完全には止まることがありません。

リアルではあまり見ないデッキでしたが、今回結果を残したことにより今後増えてくるかもしれません。《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》4枚が高価なカードですが、コンボパーツとしては汎用性の高いカードなので、今後の更なる値上がりが怖いですね。

 

 

 

 

おわりに

 

今回、top8にはあと一歩届きませんでしたが、調整の過程で新しいアーキタイプとして認められたり、ギリギリの入賞、新しいデッキとの遭遇、と、実りの多いレガシー神挑戦者決定戦でした。
欲を言えばtop8に残りたかったですし、現・レガシー神である高野茂樹さんにも挑みたかったですが、その機会は次回のレガシー神挑戦者決定戦まで取っておくことにします。

レガシーは使えるカードの幅が非常に広いので、色んなタイプのデッキがあります。更には今回のように自分で新しいデッキを組み上げることもできます。
みなさんも固定観念にはとらわれず、お気に入りのデッキやカードでいいレガシーライフを送ってください。

 

池田貴浩のレガシープリズン
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