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KOTOKOs GAME SONG COMPLETE BOX 「The Bible」 ~KOTOKO中心に語るゼロ年代PC美少女ゲーム主題歌ライブについて~

公開日: / 更新日:センセイ (べ・一文字)


 

前回に続いての『KOTOKO's GAME SONG COMPLETE BOX 「The Bible」』の話です。同年代のえろげオヂサンの皆様お待たせしました(そしてお手柔らかにお願いします)。

2004年の4月にジェネオン・ユニバーサルより1stアルバム『羽 -hane-』を発売してメジャーデビューを果たしたKOTOKOですが、その前くらいまでの、ほぼ「ゲームソングのみ」のKOTOKO(とその周辺界隈)について語ったので、今回はそのメジャーデビュー以降の流れからです(文中敬称略)。


1stアルバム『羽 -hane-』

これまでのPC美少女ゲームに関係したアーチストがCDやアルバムを出していなかった訳ではないんですが、PC美少女ゲームソングが切っ掛けで名が知れ、そこからずっと業界に関わってきたシンガーがメジャーデビュー、しかもアニメやコンシューマ移植等でオタク界隈にその名が浸透したI'veが満を持してプロデュースすると言う事で非常に注目され、『羽 -hane-』は発売週オリコン7位を記録しています。

そしてその年の夏、7月末から8月にかけファーストライブツアー「KOTOKO -HANE- TOUR 2004」を福岡、広島、名古屋、大阪、仙台、東京の全国6カ所にて開催します。
打ち込みメインのゲームミュージック(しかもPC美少女ゲーム)のライブなんてと言う懸念を吹っ飛ばす全生演奏の見事なライブで、これ以降KOTOKOのライブツアーは定番となっていきます。

このツアーはアルバム曲中心のセットリストでしたが、アルバム曲以外では「ShootingStar」を、アンコールで「Face of Fact」「ShortCircuit」を披露し、ゲーム曲も決して忘れていない事を伝えていることが嬉しかったです。

ツアーファイナルの東京公演・新木場STUDIO COASTではゲストミュージシャンとして「Face of Fact」の時はC.G.mixがキーボードで、Wアンコールの「ShortCircuit」では高瀬一矢がギター、中沢伴行がキーボードに参加と、この時点でのI've所属のコンポーザーが全員集合しての集大成!という雰囲気を出しています。


「KOTOKO -HANE- TOUR 2004」ツアーパンフ

このライブツアーでバックバンドの一員としてベーシストを務めた横田昭(PONCHAN)は、元々個人のライブツアーでギターやキーボードを扱うミュージシャンでしたが、KOTOKOバンドではベーシストを担当、ライブMCでKOTOKOに「からあげ君」と呼ばれて人気になりました。
その縁で後にI'veの川田まみがメジャーデビューした際のCD発売記念イベントのMCを務めたり、KOTOKOの先生である島みやえい子がメジャーデビューしライブツアーを行った際もベーシストとして参加します。

その島みやえい子先生がアコースティックライブツアーを開催した際はキーボードとして参加しましたが、そのツアーにギタリストとして参加したのが『マクロス7』歌バサラにしてJAM Projectの一員でもある福山芳樹。
ツアーでは島みやえい子先生と福山芳樹で「キングゲイナー・オーバー!」を披露したりもしたのですが、このツアーで横田昭と福山芳樹は意気投合したのか、直後の福山芳樹ソロアルバムに製作協力し、ライブにもサポートで参加、そのまま福山芳樹バンド「F-BAND」の一員として現在までキーボードを務めており、福山芳樹との二人組ユニット「福PON」で語り引きツアーも開催しています。

元々I'veSoundはPC美少女ゲーム主題歌・BGMを手掛けていたことから、打ち込み主体のテクノ系楽曲がメインだったのですが、このKOTOKOの1stライブツアー以降楽器による生演奏をも念頭に置いた作風が多く見られるようになります。参加したギタリストの尾崎武士はこの前後にI'veに所属し、作曲・アレンジャーとしてI'veから楽曲を発表し、またKOTOKOのライブでギタリストとして参加も続けます。

メジャーデビューしたこの年2004年ですが、活動の主軸がゲームから離れると言う事はなく、むしろこの年に印象的な数々のゲーム主題歌が発表されています。
1月に発売されたDress『王立ネコミミ学園 ~あなたのための発情期♪~』主題歌「乙女心+√ネコミミ=∞」は島みやえい子とのユニットで、島みやえい子が歌唱した唯一の電波ソングになります。
2月発売の戯画『カラフルハート ~12コのきゅるるん♪~』は前年発売『カラフルキッス ~12コの胸キュン!~』と直接のつながりはないものの明らかな同シリーズで、主題歌「きゅるるんKissでジャンボ♪♪」は合いの手と台詞とのバランスが極上なこの頃最強の電波ソングです。
「さくらんぼキッス ~爆発だも~ん~」と併せて「きゅんきゅん姉妹ソング」としての認知度も圧倒的で、匿名掲示板では「キュンキュン!」「ハイハイ!」の合いの手に併せてアスキーアートが作られ、それを元にしたFLASH動画が作られたりしました。KOTOKO本人もそのアスキーアートの存在を知っていたと言う事がラジオ等で語っています。

この年には戯画から発売された『らずべりー』主題歌で電波ソングの「らずべりー」と、『BALDR FORCE』を手掛けたチームバルドの新作『DUEL SAVIOR』主題歌「Fatally」を担当し、メジャーデビュー直後でもこれらの楽曲に携わっている事で従来のPC美少女ゲームファン層も満足していました。
この『DUEL SAVIOR』の初回限定版には、前回話した『BALDR FORCE』と同様に「戯画 オープニングサウンドトラックVol.2」が付属し「戯画 オープニングサウンドトラック2001-2002」に収録されているものも含めたI've以降の主題歌が全て収録されています。
『BALDR FORCE』初回盤含め、オープニング主題歌が収録されてるサントラが初回盤にのみ付属しており、その事から妙にプレミアになる事が多い事を受けての発売でないかと。


戯画『DUEL SAVIOR 初回限定版』
実はシナリオに丸戸史明も関わっています

 

またこの年にはきゃんでぃそふと『姉、ちゃんとしようよっ!2』主題歌「ねぇ、…しようよっ!」も担当、「ねぇ、…しようよっ!」は台詞と合いの手が入るKOTOKOらしい電波ソングですが、作詞の際にゲーム内容でもある弟に対する姉の恋心と言うものが判らず、自分の好きな高校球児をイメージして詞を書いたところ、メーカーより「ゲーム内容は高校野球と関係ないので…」と駄目出しされ発表された甘々なものになったと後のライブMCで語っています。

このようにKOTOKOが担当した美少女ゲーム主題歌はKOTOKOが作詞曲を手掛けることが多く、作詞の前に発注元からのオーダーとして作品イメージを受けてから作詞に取り掛かる事でゲーム本編のイメージと一致する主題歌が誕生する事に繋がっています。
その為作品の評価が主題歌にもダイレクトに反応されるので、主題歌を採用した美少女ゲームの中でも印象に残る作品が多かったI'veSonudはこのPC美少女ゲーム界隈で屈指の存在感を持つに至ったとも言えます。

KOTOKOが作詞曲に関わっていない曲でも、同年にリリースされた130cm『プリンセスブレイブ!~雀卓の騎士~』は前年発売『プリンセスブライド』の続編で、主題歌「Princess Brave!」は作詞がシナリオ担当のウツロアクタでサビが韻を踏んだ言葉遊び全開の歌詞は前作「Princess Bride!」と同様だったので、これ以上無い位にシリーズとしての統一感を図れています。


130㎝『プリンセスブレイブ!~雀卓の騎士~』
原画担当は『織田信奈の野望』『ハイスクールD×D』挿絵のみやま零

 

この「作品イメージと一致したテーマソング・主題歌」と言うのは、90年代半ばに主にアニメ・ゲームで見られた「作品イメージと乖離している、タイアップありきの主題歌」が多々あった風潮への反動からも評価される向きがあったと思われます。
事実2000年に結成された、現在では世界にその名が知られているヒットメーカー「JAM Project(Japan Animationsong Makers Project)」はタイアップありきの風潮に疑問を感じ「21世紀へ古き良き“アニソン魂”を残したい」と水木一郎の呼びかけがあっての結成でした。

ちなみにその作品イメージと乖離している代表としてよく挙げられる『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』主題歌「そばかす」は、歌唱・作詞したJUDY AND MARYのYUKIが「アニメソングということで『キャンディ・キャンディ』のイメージで作詞した」と語っていた事が知られています。

JUDY AND MARYと言えば、KOTOKOはデビュー前にJUDY AND MARYのコピーバンドに参加しており、さらに後年にアニソンフェスである「ANIMAX MUSIX」に参加したKOTOKOは「そばかす」をカバーして披露したのですが、手慣れた歌い方は完全に電波ソングのそれだった事はその場に居合わせたファンの一人として伝えなければいけない記憶です。

 

KOTOKOの2004年は、1stライブツアー終了直後に1stシングル『覚えてていいよ』を発売、現在でもライブの終盤に使われることの多い盛り上げ人気曲です。C/Wの「DuDiDuWa*lalala」はNHK教育『天才ビットくん』の枠内アニメ『魔法少女隊アルス』(原作:雨宮慶太、監督:芦野芳晴)のエンディングに採用されてます。

10月に発売した2ndシングル『Re-sublimity』は、介錯のコミックを原作としたアニメ『神無月の巫女』(監督:柳沢テツヤ)主題歌で、巫女で百合で輪廻転生で巨大ロボと介錯全部入りの作品で、C/Wの「agony」がエンディングに、「Suppuration -core-」が挿入歌に採用されてます。
発売週はオリコン8位にランクイン。これまた現在でも人気曲のヒトツです。


「覚えてていいよ」「Re-sublimity」

 

メジャーデビューにシングル発売、並行して複数の主題歌発表と多岐に亘った2004年のKOTOKOは、年末に「KOTOKO LIVE TOUR 2004 WINTER ~冬の雫が連れて来た君が聖者だ★Happy White X'mas★~」ツアーを開催します。
東京会場は現在では取り壊された東京厚生年金会館で、前のツアーから間を開けてない事もありPC美少女ゲーム曲は少ないかと思いきや、「Imaginary affair」、「Face of Fact」、「I pray to stop my cry」(ANIM『陵〇看護婦学院』OP)、「Just as time is running out」(林組『ぎりギリLOVE』OP)、アンコールにて「きゅるるんkissでジャンボ♪♪」「らずべりー」の各曲を披露、アニメ主題歌としても「Re-sublimity」「Shooting Star」の他、OVA版『とらハ』主題歌「Trust You’re Truth ~明日を守る約束~」(過去コラム「なのは15周年」回もご参照ください)も歌い、ダーク系からバラード、電波ソングまで網羅した当時のKOTOKOの集大成!とでも呼ぶべきライブとなりました。

特に『陵〇看護婦学院』(タイトル一部伏せ)主題歌「I pray to stop my cry」の披露には「メジャーデビューしてアニメ主題歌まで歌ったのにガチエロゲOPも歌ってる…!」と驚いた事をよく覚えています。
また来場者特典として、POKKAの「じっくりコトコト煮込んだスープ」のパッケを貼り換えた「じっくりコトコの煮込んだスープ」が配布された事はこういう場で書いておかないと歴史から消えてしまう可能性もあるので記しておきます。


DVD『KOTOKO LIVE TOUR 2004 WINTER ~冬の雫が連れて来た君が聖者だ★Happy White X'mas★~』初回限定版


来場者特典、POKKA「じっくりコトコの煮込んだスープ」
中身はおいしく頂きました

 

そして翌2005年ですが、この年はアニメソング・ゲームソングに於いて特異点とも言うべき出来事が多々あった年です。

7月に「Animelo Summer Live」の第一回公演が国立代々木競技場第一体育館にて開催されました。「アニサマ」の通称で知られるイベントで、この年以降毎年夏に開催、会場も翌年より武道館→さいたまスーパーアリーナ2DAYS→さいたまスーパーアリーナ3DAYSと規模はどんどん拡大してゆき、現在では世界最大のアニメソングのライブイベントとして名を馳せるアニサマ第一回目がこの2005年に開催しています。

そのアニサマ第一回にも参加した声優の水樹奈々は、1月に声優としては椎名へきるに次いで2人目となる日本武道館コンサートを開催、そしてこの年10月放送の『魔法少女リリカルなのはA’s』主題歌「ETERNAL BLAZE」はオリコン2位を記録し、以降水樹奈々はオリコンチャートの常連となっていきます。

PS2用ソフト『第3次スーパーロボット大戦α -終焉の銀河へ-』の発売もこの年で約60万本の売り上げを記録、JAM Projectが担当した主題歌「GONG」はこの年のJAMライブツアータイトルにも取り入れられ、この前後に発表したJAMのスパロボ曲「鋼の救世主」「SKILL」「VICTORY」はJAMの鉄板盛り上げ曲として圧倒的な知名度を誇り、ゼロ年代を代表する日本のアニソンです。

またこの年にアーケードにてナムコ(後のバンダイナムコゲームス)『THE IDOLM@STER』が稼働、現在でもコンテンツが継続されているアイドル育成ゲームの元祖にして、キャラクターを演じる担当声優いわゆる“中の人”が歌って踊るライブを披露する『ラブライブ!』等に繋がるアイドルコンテンツ人気の火付け役でもあるアーケード版『アケマス』も2005年スタートです。


PS2『第3次スーパーロボット大戦α -終焉の銀河へ-』
ラスボスはCV水木一郎なので、最終面では新生JAMの曲が流れる中JAMの非常勤を攻撃すると言う倒錯的な光景が

 

I'veSoundの2005年もその激動の例に漏れず様々な出来事が起きます。
まず1月に川田まみがTVアニメ『スターシップ・オペレーターズ』主題歌「radiance」を担当し、KOTOKOに続いてのメジャーデビューを果たします。シングルCD発売時のトークイベントによると、当時のI'veは新規の外注が受けられない程パンパンのスケジュールだったのですが、ライトノベル原作『スターシップ・オペレーターズ』主題歌と言う話に、原作者の水野良(代表作に『ロードス島戦記』)のファンだったコンポーザー中沢伴行が一も二もなく飛びついたとの話です。

3月にはKOTOKO含めI've所属歌姫の先生である島みやえい子がアルバム『ULYSSES』でメジャーデビュー、5月には渋谷O-East(現TSUTAYA O-EAST)にて1stライブを実施します。
このライブでアルバム収録曲以外にPC美少女ゲーム主題歌の「Automaton」(CALIGULA「真説 猟奇の檻」)、「砂の城 -The Castle of Sand-」(ねこねこソフト「朱 -Aka-」)、「Dreamer」(moon「せんぱい」)を披露し、KOTOKO以外のI've歌姫も認知度を上げてゆき、主題歌をライブで視聴する機会が増えてゆきます。

KOTOKOも7月に2ndアルバム『硝子の靡風(がらすのかぜ)』を発売、9月に発売記念のライブツアー『KOTOKO LIVE TOUR 2005 “硝子の靡風 -garasu no kaze-”』 を大阪・名古屋・東京の三都市で実施、このツアーでは「went away」、「We survive」、「Princess Brave!」、「ねぇ…、しようよ!」とPC美少女ゲーム主題歌を披露し、アニソン界隈にてメジャーデビュー後存在が大きくなってゆくKOTOKOの側面としてのPC美少女ゲーム主題歌も決して忘れられていないことが判ります。


2ndアルバム『硝子の靡風』

 

そしてこの年は、I've Soundとして初のライブイベントの開催が発表されます、しかも日本武道館!

2015年10月15日に開催の「I've in BUDOKAN 2005 ~Open the Birth Gate~」と題された武道館ライブは、当時は現在ほどアニメ・ゲームのイベントが武道館のような大きなハコで開催されることは稀だったので、発表時からPC美少女ゲームの隆盛を見守ってきた古参ファン(前回コラムも参照して下さい)のみならずゲーム・アニメ業界から大いに注目を集めていました。
なお、このライブはビジュアルアーツ馬場社長の「武道館やるべ!」の一声で開催が決定した言う話です。

チケットの発売は7月30日より全国のアニメイト店頭にて販売、と抽選が当たり前になった現在では考えられない方式が取られました。まぁ現在ほどインターネット販売のあれこれが整っていませんでしたからねぇ。
最も多くのチケットが発売されたというアニメイト秋葉原店では3日前から並んでいる人がいて、発売日当日の朝7時には待機列がJR秋葉原駅まで延び、列解消は午後3時、完売は午後6時と言う話です。
このチケットにはMaxiシングル「Fair Heaven」も付属、出演するI'veの歌姫全員のユニット「I've Special Unit(KOTOKO、MELL、MOMO、SHIHO、詩月カオリ、川田まみ、島みやえい子)による楽曲もあり期待は否が応にも高まったものです。


チケット特典CD「Fair Heaven」
歌唱はI've Special Unit(KOTOKO,MELL,MOMO,SHIHO,詩月カオリ,川田まみ,島みやえい子)

 

その実際のライブがどういったものかと言うと、これはセットリストを見た方が早いので、

Vocal : MELL
01 砂漠の雪 (「diRTY GiFT」)(ダンサー:森岡賢)
02 FLY TO THE TOP(BLUE GALE『MAVERICK・MAX』)
03 美しく生きたい (ZERO『吐溜 -TRASH-』)

Vocal:SHIHO
04 Belvedia (Selen『DEEP ZERO』)
05 Ever Stay Snow (Sweet Basil『SNOW DROP』)
06 Birthday eve (Otherwise『sense off』)

Vocal:詩月カオリ
07 僕らが見守る未来 (BLUE GALE『はじらひ』)
08 Senecio (TVアニメ『おねがい☆ティーチャー』イメージソング)
09 Do you know the magic? (Sirius『魔法はあめいろ?』)(キーボード:井内舞子)

GuestVocal:彩奈
10 verge (「verge」)
11 Last regrets (Key『Kanon』)

GuestVocal:Lia
12 SHIFT -世代の向こう (「SHIFT」)
13 鳥の詩 (Key『AIR』)(キーボード:折戸伸治)

Vocal:川田まみ
14 IMMORAL (BLUE GALE『IMMORAL』)
15 明日への涙 (TVアニメ『おねがい☆ツインズ』ED)
16 eclipse (Selen『燐月』)(キーボード:中沢伴行)

Vocal:MOMO
17 Velocity of sound (ソフトウェアハウスぱせり『ソニックプリンセス』)
18 DROWNING (ANIM『凌〇痴〇地獄』)
19 philosophy (D.O.『家族計画』)

Vocal:島みやえい子
20 砂の城 -The Castle of Sand- (ねこねこソフト『朱 -Aka-』)
21 Around the mind (ソフトウェアハウスぱせり『ファントムナイト 夢幻の迷宮2』)
22 Automaton (CALIGULA「真説 猟奇の檻」)

(OFF Vocal)
23 Fuck Me (ZERO『吐溜 -TRASH-』)
(ギター:高瀬一矢、キーボード:中沢伴行&C.G Mix)

Vocal:KOTOKO
24 Collective (「COLLECTIVE」) (ギター:高瀬一矢、キーボード:中沢伴行&C.G Mix)
25 涙の誓い (JANIS/ivory『とらいあんぐるハート3』)

Vocal:KOTOKO&佐藤ひろ美(Guest)
26 Second Flight (TVアニメ『おねがい☆ツインズ』OP)

Vocal:怜奈
27 Crose To Me… (裸足少女『effect ~悪魔の仔~』)

Vocal:KOTOKO
28 Change my Style ~あなた好みの私に~ (BLUE GALE『コスって!My Honey』)
29 Wing my Way (TGL『ファーランド シンフォニー』)

 

アンコール

Vocal:I've Special Unit(KOTOKO,MELL,MOMO,SHIHO,詩月カオリ,川田まみ,島みやえい子)
30(EC-1) See you -小さな永遠- (JANIS/ivory『とらいあんぐるハート3』)

Vocal:I've Special Unit&ALL Guest
31(EC-2) Fair Heaven

 

全31曲、総計4時間と予想だにせぬ長時間にわたるライブでした。メインの歌姫は各々の担当曲を3曲ずつ披露し、ゲストの歌姫二名も2曲ずつと盛り沢山。しかもその殆どの20曲以上がこれまで提供してきた18禁PC美少女ゲームの主題歌関係と、まさにI'veの歴史の一区切り、当時I'veに所属していたコンポーザーもゲスト演奏に参加し、ライブタイトルの「~Open the Birth Gate~」の通り新しい歴史がここから始まると言う事にふさわしい武道館ライブであった、と言えるのではないかと。

特に『Kanon』『AIR』と言うPC美少女ゲームの認知拡大に寄与したKeyが送る二大泣きゲーの主題歌がライブで披露されたのはこれが初めてで、後に『AIR』の「鳥の詩」はLiaが参加した様々なイベント・ライブでも披露、京都アニメーション製作のTVアニメ版『AIR』の主題歌にも起用され“国歌”と呼ばれる程の認知度を誇ります。

この武道館では作曲を担当した折戸伸治がキーボードで参加、生演奏で会場を盛り上げていましたが、普段はDTMでの作曲で楽器に触れた事のない折戸の演奏は拙いもので、後に発売されたDVDのコメンタリーでは「子供の演奏会みたい」と称されてました。
またオープニングと共に登場したクネクネ踊るダンサーは元SOFT BALLET(ソフトバレエ)のキーボード、故・森岡賢です。

KOTOKOはこれら出演者の中でトリを務め、佐藤ひろ美とのユニット曲含め最多の5曲を披露、アンコール以降はメインMCを任せられており、ライブ慣れしていると言う事以上にKOTOKOの存在がI'veSonudの中で非常に大きいことを伺わせるのでした。


「I've in BUDOKAN 2005 ~Open the Birth Gate~」パンフレット


DVD『I've in BUDOKAN 2005 ~Open the Birth Gate~』
音質に問題があり後に修正版発売、ブックレットで交換対応もあったりしました

 

このI've武道館があった2005年以降、アニメ主題歌を担当してからもKOTOKOはPC美少女ゲームの主題歌も並行して担当し続けています。主なものでは戯画『パルフェ ~ショコラ second brew~』主題歌「Leaf ticket」を担当、翌年にも『この青空に約束を―』主題歌「allegretto ~そらときみ~」を担当し、戯画の丸戸シナリオ作品を締めます(過去コラム「冴えカノ」回もご参照ください)。

この他、きゃんでぃそふと『つよきす』主題歌「Mighty Heart ~ある日のケンカ、いつもの恋心~」も、『姉、ちゃんとしようよっ!2』に続いて担当し、2作のシナリオを手掛けたタカヒロは後年に独立しみなとそふとを設立し『君が主で執事が俺で』『真剣で私に恋しなさい!』等をリリース、これらのエンディング曲にKOTOKOを起用しています。
きゃんでぃそふとからリリースされた続編の『つよきす2学期』『もっと 姉、ちゃんとしようよっ!』の主題歌もKOTOKOが担当し、シリーズを通しての存在感をここでも確立させています。

 

そして2006年には全国21箇所のライブハウスツアー『KOTOKO LIVE HOUSE TOUR 2006 夏~日本列島を食い尽くせ!駆け回り食べまくり!』を開催し、年末には横浜アリーナでの単独ライブ『Starlight Symphony -KOTOKO LIVE 2006 in YOKOHAMA ARENA-』を開催します。
平日開催ながらも完売となった横アリ単独ライブで、特にこのライブで初披露となった楽曲は前回にも語ったD.O.『家族計画』主題歌の「同じ空の下で」、直前のMCで「大好きな曲です、聞いてください、「同じ空の下で」」と話した瞬間の悲鳴とも絶叫とも取れる会場全体の大歓声は、この曲がどれだけ支持されてきたか、そしてファンが待ち望んでいたかを表しています。この歓声は「瞬間最大歓声」とも呼ばれました。

その他にも初披露となった曲には、「さくらんぼキッス ~爆発だも~ん~」があり、しかも直前に「きゅるるんKissでジャンボ♪♪」を歌った後に姉妹曲揃い踏みでの披露で、当時トップクラスの電波ソングの連発に会場は大いに盛り上がったのでした。
また、会場販売のパンフレットに収録されていたDVDには「さくらんぼキッス ~爆発だも~ん~」のMVが収録されており、このライブ以降は先に披露した「きゅるるん♪」よりも長女である「さくらんぼキッス」の方が電波ソングとしての知名度・人気度が増していく傾向にあります。

このライブ『Starlight Symphony -KOTOKO LIVE 2006 in YOKOHAMA ARENA-』は先日からのStay at Homeに際しYouTubeのNBCユニバーサル公式チャンネルにて期間限定での無料配信が行われていましたので、観た方も多いんじゃないでしょうか。連休中にはKOTOKO本人のTwitterにて同時視聴実況も行われ、「同じ空の下で」の大歓声にはKOTOKO自身も言及していました。


DVD『Starlight Symphony -KOTOKO LIVE 2006 in YOKOHAMA ARENA-』
初回限定盤には前年の “硝子の靡風”のライブDVDも付属しています


『Starlight Symphony -KOTOKO LIVE 2006 in YOKOHAMA ARENA-』パンフレット

 

ゼロ年代中盤から、音楽業界のメインストリームは音楽そのものだけではなくライブと言った“体感”“経験”出来るものに移行していきました。「会いに行けるアイドル」がコンセプトのAKB48も2005年に活動を開始しています。その中でアニメソング・ゲームソングも前述の『アニサマ』を始めとしたイベントが続々開始され、国内外問わず様々なライブイベントが催されるようになります。

そんな時代に於いてI'veSoundとKOTOKOの各ライブイベントは、メジャーデビュー以降ではありますが、美少女ゲーム主題歌のライブであってもイベントとして成り立つと言う事を実証した大きい存在と言えます。

と言う訳でメジャーデビューの2004年と一区切りとなる横アリライブ2006年までを経験を基に語りました……が、これだけ話しても『KOTOKO's GAME SONG COMPLETE BOX 「The Bible」』の収録曲DISCの5枚目までしか話していないんです! 膨大すぎ! 次回があればさらに続きのDISCに収録されているゲームソングを語り倒すことが出来ればと思います。

 

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