ラマダーン柿沼 MTGエターナルのススメ

【MtGエターナルのススメ】レガシーデッキ昔話 〜BUGカスケード・黎明期〜

公開日:ラマダーン柿沼

はじめまして今回からたいむましん様でMagic the Gatheringというカードゲーム関連の記事を担当させていただくことになりましたラマダーン柿沼と申します。地方のカジュアルレガシープレイヤーですがよろしくお願い致します。さて、今回は自分の最も好きなデッキ。レガシー環境におけるデッキであるBUGカスケードの誕生と黎明期について語っていきたいと思います。興味のあるかたはお付き合いいただければ幸いです。

 

アーキタイプの確立

BUGカスケード(BUG続唱、shardless sultai)がアーキタイプとして誕生したのは2012年に発売されたプレインチェイス2012の構築デッキ混沌の支配に収録されていた《断片無き工作員》の登場に起因します。

3マナ2/2とコストパフォーマンスの悪いクリーチャーですが、デッキの名を冠する続唱(カスケード)と言う能力を持ち合わせています。この続唱と言う能力はとてもダイナミックで、端的に言うと“ライブラリーの上からカードを捲っていきマナコスト以下の呪文を唱えられる“と言うものです。《断片無き工作員》で言うと2マナ以下の呪文をマナコストを支払わずに唱えられることになります。

この続唱というキーワード能力は「アラーラの再誕」(2009年4月発売「アラーラの断片」ブロック第3弾)で登場しました。最大の特徴であるストロングポイントは多くの他のキーワード能力とは違い、本体のスペルが打ち消されたとしても続唱自体は誘発する点にあります。詰まる所、相手にとってみれば確実に1枚で2枚以上の働きをさせてしまうことになります。

実際、アラーラブロックでは続唱の能力を存分に使ったジャンドというデッキがスタンダードに隆盛します。1)続唱持ちの《血編み髪のエルフ》を軸にした黒赤緑コントロールデッキ。続唱を最大限活かせるよう3マナ以下の《終止》《朽ちゆくヒル》と言ったマナレシオに優れる呪文や、《荒廃稲妻》《芽吹くトリナクス》などアドバンテージを稼ぐ呪文中心に構成されている。
しかし続唱の性質上ライブラリーの上にあるカードを狙って唱えることは難しくスタン期のジャンドではそういった上振れ下振れの差が大きいものになっていました。(が、結局環境を席巻するまでになったのですが…)

 

BUGカスケードの誕生


「プレインチェイス2012」という収録セットは多人数でのゲームを想定したエキスパンションだった為、多くのレガシープレイヤーはこのセット内のカードを重要視していませんでした。実際、発売直後には安値でシングル販売されていたことを記憶しています。

かく言う自分もその一人で「プレインチェイス2012」のカードリストを見ることもなく2ヶ月を過ぎようとした頃とある記事に惹きつけられることになります。それはStarCityGamesBrian DeMarsが使用した《断片無き工作員》を使用した新型のBUGミッドレンジの記事でした。

当時のレガシーはミラクル2)「そのターンの最初に引いた場合に限り、代替コストで唱えられる」能力である奇跡を持つ《終末》をメインに構築した青白コントロールデッキ。奇跡達成の条件が厳しいため、狙って唱えるために《渦巻く知識》《精神を刻む者、ジェイス》《師範の占い独楽》などでライブラリートップを操作するのだが、その操作能力と《相殺》の相性が良く、相殺コントロールの側面も持つ。が台頭しはじめ、マーベリック3)緑白系のグッドスタッフで構成される中速ビートダウンデッキ。《石鍛冶の神秘家》《聖遺の騎士》《緑の太陽の頂点》という優秀な各種サーチ手段により、メインから様々な対策カードを1枚挿しで取れるため対応の幅が広いのが強み。やデス&タックス4)相手の土地や呪文に干渉する白単ヘイトベアーデッキ。《不毛な大地》《リシャーダの港》《スレイベンの守護者、サリア》で相手の土地を縛りつつ、自らは《霊気の薬瓶》経由でクリーチャーを展開してテンポを取る。軸となる《ちらつき鬼火》はそこそこの打点を持つだけでなく、《護衛募集員》をブリンクして盤面に有効な後続をサーチしたり、薬瓶経由で除去回避したりといぶし銀の活躍を見せる。、ストーンブレード5)名前の通り《石鍛冶の神秘家》と各種装備品を軸にした白青クロックパーミッションデッキ。《火と氷の剣》《梅澤の十手》《殴打頭蓋》といった優秀な装備品を石鍛冶からサーチできるため対応力に優れている。また、エスパーブレードやジェスカイブレードなど、もう1色タッチした派生系も多く存在する。。コンボデッキもベルチャー6)レガシーフォーマットにおいて最速を誇るコンボデッキ。大量に積まれたマナブースト呪文から7マナ捻出して《ゴブリンの放火砲》を叩きつけるワンターンキルに定評があり、成立する確率もレガシーの1キルデッキの中では頭ひとつ抜けている。そのため《意志の力》を持たない相手に先手が取れれば、シャッフルして7枚引くだけのゲームを強いることができる。ちなみに、FoWを持っている相手に対しては《巣穴からの総出》プランも備えている。やTES7)「そのターンに唱えた呪文の数だけコピーできる」能力であるストームを持った《苦悶の触手》や《巣穴からの創出》を使った高速コンボデッキ。マナファクトやマナブーストといった軽量呪文でストームとマナを稼ぎ2〜3ターンほどでフィニッシュできる。始動はベルチャーの方が早いが、こちらは遅い分《燃え立つ願い》《冥府の教示者》《沈黙》といったサーチや妨害が積めるため、安定性・妨害耐性が高いのが特徴。といったスピードを重視したコンボより、スニークショー8)名前の由来である《騙し討ち》《実物提示教育》でファッティを叩きつけるコンボデッキ。ファッティの枠は《引き裂かれし永劫、エムラクール》や《グリセルブランド》といった、騙し討ちからの着地でも対処困難なものが主に採用されている。他のパーツはドローとカウンターで占められており、3〜4ターンキルのデッキの中では妨害に長けている。また、派生として騙し討ちの代わりに《全知》を採用したオムニテルが存在する。やハイブマインド9)《集団意識》から《否定の契約》など各種契約を使わせて勝利するコンボデッキ。マナファクトや《裏切りの者の都》などマナ加速が豊富で、6マナ始動のわりに3〜4ターンキルが安定する。また、集団意識が通ってしまうとカウンターでのコンボ妨害が難しくなったり、否定の契約自体がコンボパーツのため無理なく入っているなど妨害耐性が高い。さらにメインプラン以外にクリーチャープランなど複数の勝ちパターンを持っていることが多く、的を絞った対処が難しい。、ANT10)TESの後継となるストーム型コンボデッキ。マナブーストやキャントリップから《苦悶の触手》という基本的な動きは変わっていないが、TESよりさらに遅くなっている。その代わり、手札破壊を多く積むことで高速コンボデッキ共通の弱点だった妨害への高い耐性を獲得しており、ハンデスやカウンター数枚程度なら乗り越えて完走できる。といった妨害を挟んだ上で3から4ターンキルを目指したデッキが主流になり、環境全体の鈍化を感じていたことを覚えています。
スレッショルド系のデッキ11)「墓地にカードが7枚以上ある」という条件下で性能が強化される能力。代表的なものに《敏捷なマングース》があり、カナディアン・スレッショルド(ティムールデルバー)で主に使われている。が有利を取れる相手が少なくなった為相対的に目くらましの採用枚数が減ったことが環境の鈍化の要因として挙げられます。

BUGカスケードもその様な環境の鈍化の中で生まれた新しいBUGカラーのミッドレンジデッキの1つでした。当時のリストが以下になります。

画像はクリックで拡大 ※上記の画像は[MTG-ELEVEN-NEXT]様を利用して作成しています。

上記に述べた通りスタンダード時代のジャンドには続唱の安定性が欠如していましたが、BUGカスケードでは青の優秀なドロースペルである《渦まく知識》《師範の占い独楽》《精神を刻むもの、ジェイス》といった意図的にライブラリートップを調整するカードが盛り込まれており、続唱の質を高めています。

 

BUGカスケードの特徴

このデッキにおける起爆剤となり得るカードが以下になります。

祖先の幻視

マナコストを持たないこのカードは手札から通常通りキャストすることが出来ず、待機と言う能力を駆使してプレイすることになります。
待機の特性として多くのカードは少ない待機コストを支払い数ターンの後に無償でプレイするか通常コストを支払ってプレイするかの2択になり、違うベクトルでのテンポアドバンテージを天秤に掛けてプレイをすることができますが、《祖先の幻視》の場合上記の通りマナコストが存在しないため手札からプレーできず、必ず待機でのプレイを要求されます。つまり青1マナ払った4ターン後に3枚ドローをすると言う形になり、デッキトップから即座の効果を期待出来ないことを意味します。
これはMagic the Gathering黎明期のLimited Edition Alpha/LA/LEA)〜アンリミテッド・エディション(Unlimited Edition/UN/2E/2ED)に収録されていたパワー912)最初期のエキスパンションであるアルファとベータに収録されている特に強力な9枚のカードの総称。強力すぎるあまり現在では再録禁止カードに指定されており、その希少性から高値で取引されている。9枚は以下の通り。《Black Lotus》《Ancestral Recall》《Time Walk》《Timetwister》《Mox Ruby》《Mox Pearl》《Mox Sapphire》《Mox Jet》《Mox Emerald》の1つ《Ancestral  recall》をオマージュして刷られたカードです。1マナインスタントの3ドローの本家とは異なり、「時のらせん」(2006)で収録された《祖先の幻視》は待機4のみでマナコストを持たない=効果を得ることを4ターン後に先送りすると言う形で調整されたカードです。
しかし、続唱《祖先の幻視》を捲った場合マナコストを持たない呪文は0マナとして扱われることになります。また、続唱で捲ったカードは解決時に一度追放領域からキャストされる扱いになるため、本来は手札からプレイできないマナコストを持たない呪文でも待機を介さず即座にキャストできるという性質があります。つまるところ《断片なき工作員》から《祖先の幻視》を捲った場合、3マナ2/2、場に出た際にカードを3枚引く”と言った爆発的なハンドアドバンテージを得ることができるクリーチャーになるわけです。
この続唱待機を用いたギミックはモダンのリビングエンド13)待機を持つ《死せる生》を軸にしたコンボデッキ。このカードも《祖先の幻視》同様にマナコストを持たない待機カードのため、続唱で捲れると待機を無視して唱えることができる。基本的な動きは序盤に《通りの悪霊》《叫び大口》といったサイクリングや想起を持つクリーチャーで墓地を肥し、《暴力的な突発》《悪魔の戦慄》の続唱から《死せる生》を唱えて一気に展開するというもの。やレガシーのHypergenesis14)待機を持つ《超起源》を軸にしたコンボデッキ。リビングエンドとオムニテルを足したようなデッキで、続唱から待機を無視して《超起源》を唱えるプランと、《実物提示時教育》から《全知》を唱えるプランが存在する。いずれの場合もその後の展開として、《引き裂かれし永劫、エムラクール》《グリセルブランド》などのファッティを着地させるところまで同じだが、大きな違いとして3マナの続唱カードで始動できるため、《猿人の指導霊》《Elvish Spirit Guide》といったマナ加速手段により1ターンキルもできる。といったデッキでも応用されています。

話が脱線しましたが、この当時のレシピには他にも《トーラックへの賛歌》《瞬唱の魔導士》といった1枚で2枚分の働きを持つカードが多数採用されていて圧倒的なリソース差で勝負をすることができます。

 

BUGカスケードの構築でのデメリット

一方でこのデッキには青いデッキでありながらカウンターを多く積むことが出来ないという弱点を抱えています。その理由はやはり続唱に起因しています。
仮にカウンターを採用すると、続唱で2マナ以下のカウンターが捲れてしまった場合、キャスト中の《断片無き工作員》しか対象に取れず、結果的に捲ったカウンターを唱えずライブラリーボトムに置くことになってしまうからです。その為、メインから積めるカウンターは5マナの《意志の力》だけとなっており、コンボを相手にする際阻害するスペルは《トーラックへの賛歌》の2種8枚のみとなってる為不得意な相手となります。

その為サイドボードは必然的に対コンボを意識した構成に寄せる必要があるのですが、やはりここでもカウンターを積むことは難しく0から2枚程度しか積めないと思われます。コンボ相手に積めるサイドボードとしては《思考囲い》に代表されるハンデスや、《虚無の呪文爆弾》の様な墓地対策が挙げられます。こちらも続唱と相性の良い構成になります。また墓地対策として《外科的摘出》はあまり適当とは言えません。これも続唱からキャストされてしまうと適切なタイミングでプレイすることができない為です。

 

BUGカスケードの隆盛

《断片無き工作員》が登場してから4ヶ月後、2012年9月に「ラヴニカへの回帰」の発売により、BUGカスケードは《死儀礼のシャーマン》《突然の衰微》というマスターピースを得ることができました。この2種類のカードを得てBUGカスケードは一線級のデッキへと昇華します。

発売直後こそあまり注目されていなかったカードですが、レガシー環境ではディベロッパーによりすぐに頭角をあらわすことになります。《死儀礼のシャーマン》は黒緑混成マナの1マナ1/2クリーチャーで3つの能力を有しています。その能力はそれぞれ墓地に関する能力でありレガシー環境においてはそれぞれがとても有意義なものでした。

1つ目の能力は墓地の土地を追放して好きな色を生む能力です。
レガシー環境ではフェッチランドと《不毛の大地》の存在により安定して色マナの供給を可能にしています。相手がマナフラッドを起こしており互いの場に《死儀礼のシャーマン》がいる場合、相手の《死儀礼のシャーマン》の起動に合わせて対象に取ったカードをこちらの《死儀礼のシャーマン》の能力を起動することで相手のシャーマンの能力をフィズらせるというプレイをすることができます。
この能力は《死儀礼のシャーマン》のほかの能力でも応用することができます。その他にも相手の《壌土からの生命》に合わせて本命のカードを追放することで邪魔をしたり《タルモゴイフ》のサイズを下げるために追放したりと様々な場面で重宝する能力です。またマナを生み出す能力であるためマナ能力だと誤認されがちですが、墓地を追放することの副産物でマナが生まれる能力であるため、《真髄の針》で指定されると能力が起動できなくなってしまう点は注意が必要です。

2つ目の能力は緑1マナで墓地にあるクリーチャーカードを追放することで2点のライフを得られる能力です。
地味な能力ですがリアニメイト15)墓地から直接クリーチャーを場に出すデッキの総称。このアーキタイプは各フォーマットに存在するが、レガシーでは《暗黒の儀式》などのマナ加速を使い1〜2ターンで展開する高速リアニが多い。《納墓》や《集団的蛮行》でファッティを墓地に落とし、デッキ名である《再活性》や《動く死体》《死体発掘》で、《グリセルブランド》などの対処が難しいファッティを吊り上げる。スニークショーなどと比べるとエムラクールが使えない分、メタによってファッティの選択の幅が広い。やドレッジ16)「ドローする代わりにライブラリーを削ることで墓地から手札に戻す」能力である発掘を持つカードで構成されるデッキ。《信仰無き物あさり》《入念な研究》など1ターン目から手札を墓地に落とす手段が豊富で、ひとたび墓地に発掘持ちのカードが落ちると次のドローなどを全て発掘効果に置き換えることで爆発的に墓地が肥える。こうして墓地に《黄泉からの橋》と《イチョリッド》や《ナルコメーバ》を落としてゾンビを大量展開したり、除去しても除去しても返ってくる巨大な《ゴルガリの墓トロール》で殴り切る。ちなみに、派生として土地0枚のマナレスドレッジも存在する。といった墓地依存デッキに効果を発揮する能力になっています。相手が墓地に落としたクリーチャーを吊り上げるのに対して起動する必要があるので、リアニメイトとのマッチでは基本的に《死儀礼のシャーマン》は起動せずに立たせ続けていくプレイングをしていくことになります。ドレッジ戦では相手のドレッジクリーチャーには起動せず墓地から場に帰ってくるクリーチャーに対して能力を起動していくことになります。
基本的には《ナルコメーバ》《イチョリッド》《陰謀段式療法》《信仰なき物あさり》>その他”の優先順位で能力を起動していきます。
最終的に相手はドロースペルから《死儀礼のシャーマン》の能力を超えた枚数のドレッジを行い勝負を決めてきますが、墓地を肥やしたのちに《死儀礼のシャーマン》に対して除去を打つことで相手の墓地の《黄泉からの橋》を追放して継続力を断つことができます。ライフゲインもおまけ程度ですが対デルバー17)デッキ名である《秘密を掘り下げる者》を軸にしたテンポビート型デッキ。グリクシスデルバーやティムールデルバーなど青赤を基調に1色足している型が多く、構成によりクロックパーミッションからビートダウンまで幅広いタイプが存在する。基本的には《秘密を掘り下げる者》《若き紅蓮術士》などの軽量呪文と、《目くらまし》《意思の力》《不毛の大地》といった軽量妨害で構成されており、序盤からテンポアドバンテージを奪いつつクロックを刻んでいく。戦において火力圏外にライフを持っていくことで相手の逆転の目を断つことに貢献するいぶし銀な能力といえます。

3つ目の能力は黒1マナで墓地にあるインスタントかソーサリーを追放することで各対戦相手のライフを2点失わせる能力です。
この能力は上記の2つの能力とは異なり直接的にゲームの価値につながる能力になります。この能力が特に役に立つのが、ミラクル戦とANT戦になります。ミラクル戦では常に瞬唱の魔導士をケアする必要があります。特に墓地に《剣を鍬に》が落ちている場合優先して死儀礼の能力を使用していくことが必要とされますが、《死儀礼のシャーマン》の起動に合わせて《瞬唱の魔導士》を合わせられる危険があるため、相手の手札に《瞬唱の魔導士》が無い、マナが立ってない、ハンデスを絡める等の工夫が必要となります。また、《死儀礼のシャーマン》を常時立たせておくことで相手の《瞬唱の魔導士》を死に札にすることができます。

ANT戦では毎ターン墓地を削ることで《陰謀団の儀式》のスレッショルド達成の妨害と《炎の中の過去》ルートへのコンボ達成の妨害、また毎ターンのライフルーズはむかつきルートの制限に貢献します。ただし相手のコンボに必要な各パーツがこちらのコントロールしている《死儀礼のシャーマン》の枚数を上回る場合、《炎の中の過去》ルートは達成されてしまいますし、相手は基本的にドローソースからハンデス、フェッチ等で墓地を肥やす手段には長けていますので、スレッショルドの達成は容易と言えます。あくまでコンボ疎外のバックアップ的な役割であり、ハンデスやカウンター等で相手の勝ち筋を断つことが必要となります。また少ないケースではありますが、この能力は対象をとっていないためエンチャントレス18)大量のエンチャントを使ったコントロールデッキ。序盤は《エレファント・グラス》や《独房監禁》で凌ぎつつ、《楽園の拡散》《女魔術師の存在》などを展開していく。ここからエンチャントを連打することでマナや手札を増えるので、《エレファント・グラス》《独房監禁》を維持しつつフィニッシュ手段を揃えていく。現在の主なフィニッシャーは《安らかなる眠り》《Helm of Obedience》を利用したライブラリーアウトや、《破滅喚起の巨人》《引き裂かれし永劫、エムラクール》などで殴り切るビートプランがある。《独房監禁》《神聖の力戦》、マーベリックの崇拝を張られた上からでもライフを失わせることでゲームの勝利に寄与することができます。

 

BUGカスケードにおいては1ターン目に《死儀礼のシャーマン》から2ターン目の3マナアクションは非常に強力で、《ヴェールのリリアナ》《断片なき工作員》のプレイを可能にします。ただ注意点として挙げられるのが、続唱とマナコスト増量系の置物と死儀礼の関係です。例を挙げるならこちらの場に死儀礼を含む4マナが用意されている状態で、相手の場に《スレイベンの守護者、サリア》がいる盤面で《死儀礼のシャーマン》を立たせたまま《断片なき工作員》をキャストしたとします。続唱から捲れたカードがクリーチャーであるなら何の問題はありませんが、スペルが捲れた際はコストが増えますので1マナを支払う必要があります。
このコストを支払うタイミングが非常に重要で、続唱で捲れたスペルはすぐにスタック上に積まれるため、キャストするには支払いを要求されるのですが、上記に挙げた通り《死儀礼のシャーマン》のマナを生み出す能力はマナ能力ではないため、一度スタック上に積まなければなりません。しかし、続唱→解決までの間に《死儀礼のシャーマン》の能力をスタックに積むタイミングが発生せず、結果的に続唱で捲られたスペルは唱えることができずライブラリーの一番下に置く羽目になってしまうのです。このことから場面にサリアがいる場合優先して死儀礼の能力で生み出したマナを使用し、《断片なき工作員》のコストに充てる必要があります。これは《アメジストのとげ》《抵抗の宝球》《三なる宝球》についても同様の処理になります。

 

続いて《突然の衰微》は発売前のプレビューから話題になっていたカードの1枚です。かつてレガシーでは黒除去の選択肢の一枚として《燻し》が使われていました。
レガシー環境では基本的に4マナ以上のカードを使われることは稀で3マナ以下のクリーチャーを破壊するという効果を持つこのカードはとても重宝したことを覚えています。しかし、「ラヴニカの回帰」で収録した《突然の衰微》はこの《燻し》の上位互換であり、土地以外のすべてのパーマネント触れられるだけではなく、打ち消されないという一文が加わったとんでもないスペックを誇った除去でした。
これは、デルバー系に代表されるクロックパーミションにおいては致命的で、クリーチャーを守るためのソフトカウンターを完全に無視できるというものでした。また、このBUGカスケードがミラクル戦において優位を取れる要因と言われていた一枚でもあります。
それはミラクルのお家芸である独楽相殺を無視できる点にあります。独楽相殺とは《師範の占い独楽》と《相殺》を使用したソフトロックなのですが、《突然の衰微》は打ち消されないため安全に相殺を破壊することができます。この除去の登場で元来ではメイン戦で触れることのできなかったエンチャントやアーティファクトに触れられることができるようなったのです。
そして2マナであるため続唱との相性も抜群であることは言うまでもありません。

 

総括

「ラヴニカの回帰」以降BUGカスケードはメタの一角を担うポピュラーなデッキとして活躍していきますが、2018年7月6日の禁止改定で《死儀礼のシャーマン》が禁止されるとその数を徐々に減らしていくこととなります。しかしレガシー環境であれば選択肢の幅は広く自分自身様々な角度からアプローチができる分、《死儀礼のシャーマン》が現役で使用できていた頃より調整のしがいを感じています。今回、初めての記事で自分の最も好きなデッキの誕生と黎明期について紹介させていただきましたが今後もBUGカスケード関連の記事だけではなく、Magic the Gathering関連の様々なデッキや環境について紹介させていただければと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

みんな!レガシーやろう!

 
 

脚注   [ + ]

1.続唱持ちの《血編み髪のエルフ》を軸にした黒赤緑コントロールデッキ。続唱を最大限活かせるよう3マナ以下の《終止》《朽ちゆくヒル》と言ったマナレシオに優れる呪文や、《荒廃稲妻》《芽吹くトリナクス》などアドバンテージを稼ぐ呪文中心に構成されている。
2.「そのターンの最初に引いた場合に限り、代替コストで唱えられる」能力である奇跡を持つ《終末》をメインに構築した青白コントロールデッキ。奇跡達成の条件が厳しいため、狙って唱えるために《渦巻く知識》《精神を刻む者、ジェイス》《師範の占い独楽》などでライブラリートップを操作するのだが、その操作能力と《相殺》の相性が良く、相殺コントロールの側面も持つ。
3.緑白系のグッドスタッフで構成される中速ビートダウンデッキ。《石鍛冶の神秘家》《聖遺の騎士》《緑の太陽の頂点》という優秀な各種サーチ手段により、メインから様々な対策カードを1枚挿しで取れるため対応の幅が広いのが強み。
4.相手の土地や呪文に干渉する白単ヘイトベアーデッキ。《不毛な大地》《リシャーダの港》《スレイベンの守護者、サリア》で相手の土地を縛りつつ、自らは《霊気の薬瓶》経由でクリーチャーを展開してテンポを取る。軸となる《ちらつき鬼火》はそこそこの打点を持つだけでなく、《護衛募集員》をブリンクして盤面に有効な後続をサーチしたり、薬瓶経由で除去回避したりといぶし銀の活躍を見せる。
5.名前の通り《石鍛冶の神秘家》と各種装備品を軸にした白青クロックパーミッションデッキ。《火と氷の剣》《梅澤の十手》《殴打頭蓋》といった優秀な装備品を石鍛冶からサーチできるため対応力に優れている。また、エスパーブレードやジェスカイブレードなど、もう1色タッチした派生系も多く存在する。
6.レガシーフォーマットにおいて最速を誇るコンボデッキ。大量に積まれたマナブースト呪文から7マナ捻出して《ゴブリンの放火砲》を叩きつけるワンターンキルに定評があり、成立する確率もレガシーの1キルデッキの中では頭ひとつ抜けている。そのため《意志の力》を持たない相手に先手が取れれば、シャッフルして7枚引くだけのゲームを強いることができる。ちなみに、FoWを持っている相手に対しては《巣穴からの総出》プランも備えている。
7.「そのターンに唱えた呪文の数だけコピーできる」能力であるストームを持った《苦悶の触手》や《巣穴からの創出》を使った高速コンボデッキ。マナファクトやマナブーストといった軽量呪文でストームとマナを稼ぎ2〜3ターンほどでフィニッシュできる。始動はベルチャーの方が早いが、こちらは遅い分《燃え立つ願い》《冥府の教示者》《沈黙》といったサーチや妨害が積めるため、安定性・妨害耐性が高いのが特徴。
8.名前の由来である《騙し討ち》《実物提示教育》でファッティを叩きつけるコンボデッキ。ファッティの枠は《引き裂かれし永劫、エムラクール》や《グリセルブランド》といった、騙し討ちからの着地でも対処困難なものが主に採用されている。他のパーツはドローとカウンターで占められており、3〜4ターンキルのデッキの中では妨害に長けている。また、派生として騙し討ちの代わりに《全知》を採用したオムニテルが存在する。
9.《集団意識》から《否定の契約》など各種契約を使わせて勝利するコンボデッキ。マナファクトや《裏切りの者の都》などマナ加速が豊富で、6マナ始動のわりに3〜4ターンキルが安定する。また、集団意識が通ってしまうとカウンターでのコンボ妨害が難しくなったり、否定の契約自体がコンボパーツのため無理なく入っているなど妨害耐性が高い。さらにメインプラン以外にクリーチャープランなど複数の勝ちパターンを持っていることが多く、的を絞った対処が難しい。
10.TESの後継となるストーム型コンボデッキ。マナブーストやキャントリップから《苦悶の触手》という基本的な動きは変わっていないが、TESよりさらに遅くなっている。その代わり、手札破壊を多く積むことで高速コンボデッキ共通の弱点だった妨害への高い耐性を獲得しており、ハンデスやカウンター数枚程度なら乗り越えて完走できる。
11.「墓地にカードが7枚以上ある」という条件下で性能が強化される能力。代表的なものに《敏捷なマングース》があり、カナディアン・スレッショルド(ティムールデルバー)で主に使われている。
12.最初期のエキスパンションであるアルファとベータに収録されている特に強力な9枚のカードの総称。強力すぎるあまり現在では再録禁止カードに指定されており、その希少性から高値で取引されている。9枚は以下の通り。《Black Lotus》《Ancestral Recall》《Time Walk》《Timetwister》《Mox Ruby》《Mox Pearl》《Mox Sapphire》《Mox Jet》《Mox Emerald》
13.待機を持つ《死せる生》を軸にしたコンボデッキ。このカードも《祖先の幻視》同様にマナコストを持たない待機カードのため、続唱で捲れると待機を無視して唱えることができる。基本的な動きは序盤に《通りの悪霊》《叫び大口》といったサイクリングや想起を持つクリーチャーで墓地を肥し、《暴力的な突発》《悪魔の戦慄》の続唱から《死せる生》を唱えて一気に展開するというもの。
14.待機を持つ《超起源》を軸にしたコンボデッキ。リビングエンドとオムニテルを足したようなデッキで、続唱から待機を無視して《超起源》を唱えるプランと、《実物提示時教育》から《全知》を唱えるプランが存在する。いずれの場合もその後の展開として、《引き裂かれし永劫、エムラクール》《グリセルブランド》などのファッティを着地させるところまで同じだが、大きな違いとして3マナの続唱カードで始動できるため、《猿人の指導霊》《Elvish Spirit Guide》といったマナ加速手段により1ターンキルもできる。
15.墓地から直接クリーチャーを場に出すデッキの総称。このアーキタイプは各フォーマットに存在するが、レガシーでは《暗黒の儀式》などのマナ加速を使い1〜2ターンで展開する高速リアニが多い。《納墓》や《集団的蛮行》でファッティを墓地に落とし、デッキ名である《再活性》や《動く死体》《死体発掘》で、《グリセルブランド》などの対処が難しいファッティを吊り上げる。スニークショーなどと比べるとエムラクールが使えない分、メタによってファッティの選択の幅が広い。
16.「ドローする代わりにライブラリーを削ることで墓地から手札に戻す」能力である発掘を持つカードで構成されるデッキ。《信仰無き物あさり》《入念な研究》など1ターン目から手札を墓地に落とす手段が豊富で、ひとたび墓地に発掘持ちのカードが落ちると次のドローなどを全て発掘効果に置き換えることで爆発的に墓地が肥える。こうして墓地に《黄泉からの橋》と《イチョリッド》や《ナルコメーバ》を落としてゾンビを大量展開したり、除去しても除去しても返ってくる巨大な《ゴルガリの墓トロール》で殴り切る。ちなみに、派生として土地0枚のマナレスドレッジも存在する。
17.デッキ名である《秘密を掘り下げる者》を軸にしたテンポビート型デッキ。グリクシスデルバーやティムールデルバーなど青赤を基調に1色足している型が多く、構成によりクロックパーミッションからビートダウンまで幅広いタイプが存在する。基本的には《秘密を掘り下げる者》《若き紅蓮術士》などの軽量呪文と、《目くらまし》《意思の力》《不毛の大地》といった軽量妨害で構成されており、序盤からテンポアドバンテージを奪いつつクロックを刻んでいく。
18.大量のエンチャントを使ったコントロールデッキ。序盤は《エレファント・グラス》や《独房監禁》で凌ぎつつ、《楽園の拡散》《女魔術師の存在》などを展開していく。ここからエンチャントを連打することでマナや手札を増えるので、《エレファント・グラス》《独房監禁》を維持しつつフィニッシュ手段を揃えていく。現在の主なフィニッシャーは《安らかなる眠り》《Helm of Obedience》を利用したライブラリーアウトや、《破滅喚起の巨人》《引き裂かれし永劫、エムラクール》などで殴り切るビートプランがある。

北関東の僻地で活動してるMagic: the Gatheringプレイヤー。好きなフォーマットはレガシー。好きなカードをずっと使い続けられるこの環境とプレイを共にする友人が大好き。あと痩せたいです。

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