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ワンダーフェスティバルのあるきかた

公開日:センセイ (べ・一文字)

 

今月末の2019年7月28日(日)、幕張メッセ1~8ホールにて世界最大の立体物イベント「ワンダーフェスティバル 2019夏」が開催されます。

ワンダーフェスティバル2019冬
画像はワンダーフェスティバル2019冬

「ワンダーフェスティバル」通称「ワンフェス」は当日版権システムを採用した、アマチュアディーラー出展があるイベントで、前回ワンフェス2019冬の参加者は公式発表で53,512人を数える、日本最大、ひいては世界最大規模の造形イベントです。

21世紀以降は完成品を販売するメーカーも増え、フィギュア関係の情報を追っていればこれからの時期間違いなく耳にするだろうイベントです。
これまでのコラムでも度々名前を出していますが、各メーカーの新商品・企画中商品の展示やイベント、限定品の販売等の他、何と言ってもメーカーとは別のアマチュアディーラーによる当日版権アイテムの展示・販売が行われます。
そのジャンルは多岐にわたり、美少女フィギュアのみではなく、特撮の怪獣やヒーロー、各種メカやミリタリー、「え?」と驚く一発ネタのような物まで様々な立体が販売・展示されているのです。

1/1初音ミク
1/1フィギュアも多数お目にかかれます

GODZZILA KING OF MONSTERS
『GODZZILA KING OF MONSTERS』のKING・ゴジラが大迫力で!

BORDER BREAK
「『BORDER BREAK』 1/1プラモデル プロジェクト」
1/1のプラモを作る奴がいるかっ!(誉め言葉)

ゴッドハンドブース
ワンフェス2019冬「ゴッドハンド」ブース
当日限定の価格や限定品も

ハローマックライオンが立体化
ワンフェス2019冬、ディーラー「MADHANDS」様
話題になったハローマックライオンが立体化されているっ!?

そこで今回は、イベントが近いと言う事もあるので、特に始めて行くような初心者向けにワンフェスのガイド的な物をお送りします。ただし当方の経験則によるものが多いのでかなり隔たった説明になるかと思いますので、その点はご了承ください。

 

1.ワンフェスと当日版権システム

まず基本事項として「当日版権」と言うシステムについて。
個人製作とは言え立体物である関係で、所謂二次創作に含まれない事から「当日版権」と言う主催が各版権元の窓口となり、イベント当日に限り販売しても良いと言う許諾を得るシステムです。

1日限りとはいえアマチュアの手作業で作られたキットでもメーカーのお墨付きを得た「商品」となるのです。
ただし販売が出来るのはイベント当日のみでその後の売買は不可ですからオークション等での購入も認められていません。

版権元やメーカーによっては制限を設けている所もあり、イベント一回限り再販不可となっている物や、一回のアイテム頒布数に限定する等の制限を設けているものもあります。
また『ガンダム』系統の作品はワンフェスでは版権許諾は行われず、8月下旬開催の「C3AFA TOKYO」と言うホビーイベントで一日のみ版権許諾が行われます。

折角製作したキットでも当日版権の許諾なしには販売出来ないので、人気コンテンツであってもおいそれと立体化が行われない物もあります。

当日版権証書
当日版権証書。画像はワンフェス2014夏のもの

過去の例だと2011年夏のワンフェスは、東日本大震災の影響で主催の海洋堂が当日版権処理を中止する旨が告知されました。
ただしアナウンスがあったその日の内にPC美少女ゲームメーカーのminoriが「minori作品のアマチュアガレージキット等の販売物はWF当日に限り販売できるよう対応を検討」を告知し、翌日以降に同じPC美少女ゲームメーカーのアリスソフト、オーガストをはじめとした諸処のPC美少女ゲームメーカー中心の各社2011夏WF版権フリー告知に繋がりました。
同じPCゲームメーカーであるニトロプラスが放送直後の『魔法少女まどか☆マギカ』の、フィギュアメーカーのグッドスマイルカンパニーが『初音ミク』の版権申請代行を行うことも発表され、当日は例年には及ばないまでも多種多様な立体物が会場を賑わせたのでした。

 

2.入場のアレコレ

当日朝は、これまでの列形成だと、幕張メッセの最寄り駅であるJR海浜幕張駅(京葉線)より、駅近くにいるスタッフが「先頭」となり、そこから自然発生的に集まる人をハーメルンの笛吹きか百鬼夜行よろしく会場まで引っ張って行き、そのまま会場横のトラックヤードにて待機になります。もぉーう殺気立った人が多くてすごくてしっちゃかめっちゃかですからね。あと当然ですが、徹夜は禁止です。


始発で参加すると、朝陽も昇らぬ内から殺気立った行列が

入場にはチケット兼公式ガイドブックが必要になります。
ガイドブックは2,500円(小学生以下無料)で、当日会場でも発売されていますが、模型専門店や一部書店などで前売り販売が行われているので、事前の入手をお勧めします。

また、当日朝の入場待機列よりも優先的に館内に入場することができる「特別整理券」でもある「ダイレクトパス」が抽選で販売されます。今年は7月12日(金)正午から7月15日(月)までの間の受付で、ローソンチケット(ローチケ.com)で抽選受付開始で、当選すれば3,000円+システム使用料+発券手数料で始発で並んだ人よりも早く入場できます。

 

3.企業コーナー

今のようなシステムになってから最も来場者が多いコーナーが、ワンフェス2019冬だと幕張メッセ1~3ホールを全て使用した「企業コーナー」です。
各メーカーの新商品・企画中商品の展示に限定品の販売、新商品の体験会、クリエイターのサイン会やライブ・トークショーのような各種イベントが行われる一角です。
各メーカーが展示品の情報を先んじてWebやSNSで公開することも多く、会場に行かずとも新情報に触れることもできるようになっています。
これらの新商品情報でWebが賑わってくると「あぁ、ワンフェスの始まりだ」と高まってきます。


ワンフェス2019冬「アクアマリン」展示
夏では『SSSS.GRIDMAN』がもっと沢山見れると思います

 


ワンフェス2019冬「ブロッコリー」展示
「ゆずソフト」からの立体は実に頬を緩ませます

 


ワンフェス2019冬「キューズQ」展示
企画中案内にもアローヘッドにも心躍る

 

ワンフェス2019冬「少年リック/エクスプラス」展示
開発中、企画中、監修中商品も生で見られる。しかもよりによって改造怪獣軍団!

 


ワンフェス2019冬「PRIME1 STUDIO」展示
「ハァイジョージィ」の “IT”1/2ペニーワイズの専用ベースはあの腕が付いてる

各メーカー趣向を凝らしたブースが林立し、発売予定の商品、企画中の商品がいっぱい展示されています。
個人的には発売済みや発売直前のきれいに彩色されたの商品と同様に、グレーの単色の立体状態、俗に言う「サフ状態」の原型展示にも注目したいところ。
グレーの下地状態は原型そのままなので、パーツパーツをどのように構成されているかが判るので、彩色した後の情報と見比べることでフィギュアの構造をより深く理解できるようになります。

近年は各メーカー撮影に対しての環境を整えており、ケース内で高演色LEDを配置したり、簡易カラーチャートを準備したり、フォトコンテストの実施など、高級な一眼レフ等でなくても近年のスマートフォンであれば十分見栄えする写真が撮れる環境が準備されています。
是非とも手持ちのスマホで撮りましょう。
この一角で本気で撮影を始めると企業コーナーだけで一日が終わってしまうレベルです。


「キューズQ」展示にはカラーチャートも用意されてます

 

各ブースではカタログや当日限りのノベルティを配布していたりします。これらのカタログは当日初出しの情報も多いので、ブースのコスプレおねーさんから貰うのは照れくさいかも知れませんが、どんどん貰いましょう。

「グッドスマイルカンパニー」メーカー頒布物
カタログだけでなく、カレンダーや簡易プラモまで

 

ただし、展示されていても企画段階等で撮影禁止のアイテムもあり、また閉場時間は17時ですがメーカーブースによっては撮影可能時間を16時まで等閉場前に設定している事もあるので、撮影列の形成などは各メーカー・ブースのルールやスタッフの指示に従って、一人で長時間撮影しない等のマナーを守るようにしましょう。
ケースなしで被写体に“寄れる”展示がされている場合、アップで撮ろうとスマートフォンを近づけすぎて展示台下段のアイテムに接触しないようにも注意して下さい。


メガハウスの撮影に関する注意札

 

また一部メーカーにある「18歳未満入場禁止」な展示品を扱うゾーンでは写真付きの本人確認書類の提示を求められますので、事前に準備をしておきましょう。


ワンフェス2019冬「AMAKUNI」展示
原作は『対魔忍ユキカゼ』、詳細は各々検索するように

 


ワンフェス2019冬「スカイチューブ」展示
深崎暮人・画の「コミック阿吽」表紙娘立体化シリーズ。この横のブースでは『冴えカノ』が並んでたりするんですよ…

 

4.アマチュアディーラー

企業コーナー以外の全て、幕張メッセ1~3ホール以外の4~8ホール全てがアマチュアディーラーによる展示コーナーになります。
このアマチュアディーラーの展示・販売こそワンフェスの主役。ここを見ずして帰るなんて有り得ません。

ここで展示されているのは多種多様、本当に多種多様なジャンルの立体物がアマチュアの皆様によって作られ、販売されています。
様々なジャンルの美少女フィギュアだけではなく、特撮物の立体として怪獣怪人、ゲームの自機メカや小物、アニメ作品の小物やディフォルメキャラ、「えっこんな物まで?」と思うような一発ネタに近いようなものまで。もう見ているだけで楽しいです。

先述のようにアマチュアディーラーの展示物でも当日版権を習得しているれっきとした版権アイテムで、展示すらその日限り、再販が出来ないものもあります。会場はとにかく広いので、見逃さないように回りましょう。


ワンフェス2019冬、ディーラー「グリズリーパンダ」様
『FGO』のジャンヌがメイド姿で…このおっぱいで聖女は無理でしょ

 


ワンフェス2019冬、ディーラー「硫黄泉」様
『FGO』のBBちゃん水着、昨夏の水着イベントから半年で立体化まで至るのはアマチュアのキットだからこそ

 


ワンフェス2019冬、ディーラー「林檎連盟」様
『異世界食堂』の給仕娘アレッタ。マイナーな作品でも精緻な立体化が拝めるのがワンフェス

 


ワンフェス2019冬、ディーラー「夢祭工房」様
『Summer Pockets』の空門蒼。鬼気迫るつばす絵っぽい髪ハネの再現度たるや

 

多種多様な美少女フィギュアが並んでいる姿はそれだけで圧巻ですが、ここはあえて入手するチャンネルも限られていることもある、特撮・怪獣・メカ・ミリタリーと言った“燃え”ジャンルに是非とも注目して頂きたいものです。
特に特撮怪獣のジャンルは、実際に製作に関わるプロの造形師の方の物が見れたりするので、その迫力は是非とも目にして頂きたいものです。


ワンフェス2019冬、ディーラー「酒井ゆうじ造形工房」様
ミレゴジの立体デザイナーも担当したゴジラ造形の第一人者です。デスゴジラストシーンの復活ゴジラは格好いい

 


ワンフェス2019冬、ディーラー「田中ミュージアム工房」様
禍々しいアレンジにて正に「殺し屋」の二つ名がピッタリ来る超獣バラバ。GⅢラストガメラの悲壮さも注目

 


ワンフェス2019冬、ディーラー「中華料理屋 恩珍軒」様
フル稼働怪獣を出し続けるディーラーで、冬は「ガイア」の超空間波動怪獣メザード

 


ワンフェス2019冬、ディーラー「霜月夢工房」様
SDながら情報密度が凄いバーチャロンを出し続けるディーラーです

 


ワンフェス2019冬、ディーラー「造型工房キトラ」様
50cmサイズで右腕は電飾の大迫力GⅢガメラ

 

またアマチュアディーラーで販売されているのは基本的に未塗装未組立のレジンキットで、展示されている物はキットを組み立てて塗装してある物です。ですので決して手を触れないよう注意しましょう。

段々になっているひな壇展示の場合、特にスマホで上部の展示物を撮影しようとして、下段の展示物に気付かずぶつけたり落下して破損なんて事になったら目も当てられません。

購入後に、塗装されていない事を知って「組み立て出来ないので返金してもらえませんか?」とディーラーに駆け込むという話は、実際に目にしたことは無いんですが話には聞きますのでまぁ、あったんでしょうなぁと。
もうキットを買ったのならこれを切っ掛けに組み立てにチャレンジしてみましょう! 自身で組み立てた際の感動はひとしおです。


『こちら葛飾区亀有公園前派出所 99巻』秋本治/集英社
「あなたのフィギュア作ります!の巻」より
いつもの。こんな問い合わせを会場でする事の無い様に

 


「DOLL MASTERぱられる」井原裕二/アスキー・メディアワークス
ディーラー参加を元にした虚実織り交ぜ傑作レポ漫画。
これは実際にあった事なんだろうなぁ

 

撮影をする際には、失礼にならないようディーラーブースの中の人に一声かけてから撮りましょう。あと繰り返しになりますが、アマチュアディーラーで販売されているのは基本的に未塗装未組立のレジンキットで、展示されている物はキットを組み立てて塗装してある物です。ですので決して手を触れないよう注意しましょう。

 

5.コスプレ

日本最大のオタク系イベントにしてコスプレイヤー参加が最も多いイベント「コミックマーケット(通称:コミケ)」では、現在では緩和されてきましたが、長物の装飾が禁止されていた為、それらの制限が無いワンフェスはコスプレイヤーにとっても重要なイベントです。
入場前に待機列を形成するトラックヤードとホールとホールを繋ぐいこいの広場が開場後はコスプレ広場として使われ、多種多様なコスプレイヤーが華を添えます。
長物の制限が無いことから、大型のコスプレも多いので、見ているこちらも楽しくなります。
撮影の際は必ず一声かけて、レイヤー様の許可を得ましょう。


数々のコスプレ…コスプレ?

 

以上、非常に簡単ではありますが、ワンフェスとはこんなところだよと言う簡単な説明でした。実際に行くと色々な意味での熱に圧倒されること間違いなしと思いますので、是非とも参加をご検討下さい。

 

『ワンダーフェスティバル 2019 夏』
2019年7月28日(日曜日) 10:00~17:00
於 幕張メッセ国際展示場1~8ホール
入場料 2,500円 (入場チケット兼公式ガイドブック/小学生以下無料)
http://wf.kaiyodo.net/wf/

 

 

参考書籍
「こちら葛飾区亀有公園前派出所 99巻」秋本治/集英社
「DOLL MASTERぱられる」井原裕二/アスキー・メディアワークス
「フィギュアJAPANマニアックス フィギュアの現在とこれから」ホビージャパン社

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