デバッグ・マジック! vol.13 ~もっと!『ニューカペナの街角』編~
By まつがん
さて、『ニューカペナの街角』の発売から約1ヶ月が経過した。
可能性に満ちた豊潤なカードプールを吸収し、はたしてモダンの世界は一体どのように変化したのか?
今回も最新のメタゲームをチェックしつつ、また新しいデッキアイデアに挑戦していこう。
■ 1. 停滞するTier 1と蠢動するTier 2
ここ1ヶ月のモダンのメタゲームは、以下のようなものだった。
Tier 1 |
Tier 2 |
端的に言えば、Tier 1の顔ぶれは前回とほとんど変わっていない。続唱2種の間で、「死せる生」の側に軍配が上がったくらいだ。
他方で、Tier 2には少しずつ新たな登場人物が加わってきている。
環境の固定化は、それすなわちコントロールの対応の照準が合っていくことを意味している。
そしてコントロールがポジションが上昇することにより、コントロール殺しにも価値が生まれることになる。
もちろんそれらはメタの揺らぎを狙った一過性のもので、Tier 1の安定性・全時性には並ぶべくもないが、少なくともタイミングによっては上位を狙える。それらはメタゲームがある程度まで膨らんだ時点でTier 1に狩り尽くされることになるが、そうなればまたコントロールが復権し……と最初に戻っていく。
そうした収縮と膨張を繰り返し、メタゲームは一週ごとに少しずつ変化する。Tier 1が同じでも、Tier 2までも全く同じとは限らない。むしろカードプールが広く似たようなデッキパワーのアーキタイプが多様なモダンでは、そうした環境こそTier 2以下が活発に動きやすい。
だからこのように停滞しているように見える環境を観察する際に肝心なのは、Tier 1そのものではなくTier 1を認識した人々がどのような反応 (デッキ選択) をしているかなのだ。
Modern Challenge #12418748 3rd Place
プレイヤー:selesneal
3《稲妻》
1《邪悪な熱気》
1《ジアーダの贈り物、ラクシオール》
1《黄鉄の呪文爆弾》
1《影槍》
4《レンと六番》
4《大いなる創造者、カーン》
4《狩りに出るビビアン》
唯一『ニューカペナの街角』によって0から登場した新しいアーキタイプと言えそうなデッキタイプで、《出産の殻》のような能力を持っている《狩りに出るビビアン》を《守護フェリダー》で再利用し、最終的に《鏡割りのキキジキ》コンボを盤面に揃えて無限コンボで勝利する。
また、《献身のドルイド》にこれまた『ニューカペナの街角』からの新カードである《ジアーダの贈り物、ラクシオール》を装備させると無限マナになるコンボも搭載しており、《ウルザの物語》や《大いなる創造者、カーン》でコンボパーツだけでなく状況に応じて対策カードをサーチする柔軟性も兼ね備えている。
というか、冷静に考えて今のモダンのトップ3に入りそうなパワーカードであるところの《敏捷なこそ泥、ラガバン》《レンと六番》《ウルザの物語》を搭載したコンボデッキが弱いわけもなく、半端なデッキは別にコンボなどなくとも押しつぶせてしまう。パワーカード単ゆえにデッキの値段が終わってしまっている点だけがネックだが、他のデッキに流用できるパーツも多いので、思いきって組んでみるのも手かもしれない。
Modern Challenge #12418754 6th Place
プレイヤー:Dean911
《オパールのモックス》の禁止以降、すっかり第一線では姿を見なくなった「親和」が最近久しぶりに活躍を見せている。
《バネ葉の太鼓》と0マナクリーチャーによって2ターン目から《ウルザの物語》のトークンを生み出せる速度を持ちながらも、《物読み》《思考の監視者》のリソース回復によって何度でも横並べすることが可能となっており、そこで並ぶのがバニラクリーチャーだとしても、《頭蓋囲い》と《影槍》のバックアップによって十分に対処不能な脅威となる。
《夢の巣のルールス》の禁止によって多少コンボの地位が上昇したとはいえフェアの壁もまだまだ厚いことに変わりはない。かつて「トロン」がフェア殺しの最後の砦を担っていたように、この「親和」が独自のポジションでメタゲームの一角に定着する日もそう遠くはなさそうだ。
Modern Challenge #12414723 6th Place
プレイヤー:Bob49
4《乾燥台地》
1《血の墓所》
3《耐え抜くもの、母聖樹》
4《宝石の洞窟》
2《ミシュラの工廠》
1《山》
3《天上都市、大田原》
1《ラフィーンの塔》
2《ラムナプの遺跡》
4《沸騰する小湖》
3《反逆のるつぼ、霜剣山》
1《スパーラの本部》
1《踏み鳴らされる地》
4《陽焼けした砂漠》
3《樹木茂る山麓》
1《ジアトラの試練場》
4《ドラコの末裔》
4《土着のワーム》
4《引き裂かれし永劫、エムラクール》
4《終末の影》
1《耐え抜くもの、母聖樹》
3《すべてを護るもの、母聖樹》
4《ネファリアのアカデミー》
3《徙家》
4《罪》
以前も紹介したアーキタイプだが、『神河:輝ける世界』で《耐え抜くもの、母聖樹》をはじめとする「魂力」土地が、『ニューカペナの街角』で《終末の影》と友好3色のサイクリング土地がそれぞれ登場したことにより、当時と比べて大幅な強化が果たされている。
「土地2枚で《ドラコの末裔》を出したい」「アンタップインは赤マナで統一したい」「サイドの《罪+罰》の色拘束のために黒マナと緑マナは違う土地から出したい」という複雑な要請のせいで白・青・緑の土地と白・青・黒の土地が求められていたところであり、《スパーラの本部》《ラフィーンの塔》はその要請に見事応えてくれた。
《計算された爆発》の期待値も《ちらつき蛾の注入》時代と比べて上昇しており、もはや一発芸とも言いきれなくなってきた。いざ対戦する前に「どんな動きをされると辛いのか」を知っておくためにも、一度くらいは自分で回しておいて損のないデッキだろう。
■ 2. もっと!『ニューカペナの街角』でバグを探そう
『ニューカペナの街角』には面白いカードが多数収録されていたが、《帳簿裂き》やサイクリング土地が上位メタのデッキに吸収されたくらいで、それによって生まれた新たなアーキタイプがモダンのメタゲームを動かすというほどの力は残念ながらなかった。
だが、デッキビルダーにとっては十分魅力的なセットであることに依然変わりはない。
それにもとより、『モダンマスターズ』などのそれ用に作り込まれたセットでもない限り、二十年近く (『ミラディン』の発売は2003年だ) も蓄積されたカードプールに対して通常セットが革新的な影響を及ぼすなどということはそれほど期待できるはずもない。
だから必要なのは、そのときに備えてデッキ構築力を鍛えておくことだ。
いざ環境を変えうるカードが現れたとしても、それを自分が見出せてデッキが作れないようでは意味がない。有事に何ができるかは、平時においてこそ試されるのだ。
そのことを肝に銘じつつ、今回も元気にバグをデバッグ (発見・解明) していくことにしよう。
◇《屍体洗浄屋》
前回は「秘匿」で揃えるためにあえて触れなかったが、私が『ニューカペナの街角』のカードリストを見たときに一目でビビッと来たカードはこれだった。
《屍体洗浄屋》。一見なんだか長くてよくわからないテキストをしているが、肝心なのは一番下のいわゆるリアニメイト能力である。
すなわち、「こいつが死んだときにパワー3以下でローグではないクリーチャーを蘇生できる」というものだ。これだけ広いリアニ範囲を持っているならば、きっと何らかの無限コンボが組めるに違いない、とそう考えた。
だがそのためには、「《屍体洗浄屋》の能力で蘇生できる範囲のクリーチャー」で、「《屍体洗浄屋》を蘇生できる能力を持っている」という2つの条件を満たすクリーチャーが存在していなければならない。
はたしてそんな都合の良いクリーチャーが……?
そう、例によって存在していたのだ。
《霊体の先達》だ。
《屍体洗浄屋》が《霊体の先達》を、《霊体の先達》が《屍体洗浄屋》を、それぞれ相互に蘇生できることにより、これらは循環させることが可能ということになる。
すなわち、1. 場にサクり台 (任意の回数・タイミングで生け贄が起動できるパーマネント) がある状態で、2. 墓地に《屍体洗浄屋》 or 《霊体の先達》のどちらかがあり、3. 《屍体洗浄屋》 or 《霊体の先達》のうち墓地にない方 (※《霊体の先達》の場合は《霊体の先達》同士でも可能だが) を出すと、無限コンボがスタートする。
ただこれだけだと《屍体洗浄屋》と《霊体の先達》が墓地と場を行き来するだけだが、《霊体の先達》をサクる際に都度発動する《屍体洗浄屋》の「謀議」によってどこかで必ずたどり着く1枚差しの《タッサの神託者》を墓地に落としておき、ライブラリーを掘りきったところでリアニの対象を《タッサの神託者》に変えれば、無限コンボをそのまま勝利手段にすることができる。
あとはサクり台の選定だが、まずは最速でのコンボ成立を目指してデッキの限界点を見極めたいため、モダンにおいて最も軽い《屍肉喰らい》と《臓物の予見者》がふさわしいだろう。
また、条件が揃った状態で《屍体洗浄屋》または《霊体の先達》を着地させるカードとして《頑強》と《御霊の足跡》を採用することで、最速3ターン目での無限コンボ成立を目指すことができる。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
デバッグ・マジック! vol.13掲載デッキ
デッキビルド:まつがん
動きは限りなく軽いカードで揃えた上に妨害に対する《否定の契約》まで搭載できて非常に私好みのデッキとなったのだが、このデッキには一つだけ致命的な欠陥があった。
サクり台が除去された瞬間すべてが破綻するのはさすがにギャグでは???
モダンというのは《敏捷なこそ泥、ラガバン》が跋扈する環境である。ということは、脳内が蛮族ゆえに常にオールイン上等な私とは違い、知性と理性を兼ね備えた現代の多くのデッキは、先手1ターン目に《敏捷なこそ泥、ラガバン》を出されただけで相手に即ブチギレ顔面パンチをしないよう、相手のクリーチャーへの干渉手段は豊富に用意している可能性が高い。
そしてその前提でいくと、《屍肉喰らい》や《臓物の予見者》は無限コンボ成立に欠かせないパーツでありながらあまりにも除去に対して脆すぎる。これでは全裸で急所モロ出しでストリートファイトを挑んでいるのと何も変わらないのではないか。
そう、蛮族ではなく紳士である以上は服を着なければならない。
だがだとしてもこの場合、服とは何を示しているのだろうか?
先ほど私は「サクり台が除去に弱すぎること」を全裸と表現した。
ならばつまり、除去されないサクり台を使えばいいのではないか。
そう、《ゴブリンの砲撃》と《狂気の祭壇》だ。
エンチャントやアーティファクトのサクり台ならば、クリーチャーのサクり台よりもはるかに除去されにくいまあ《虹色の終焉》のせいで最近はそうでもないけど。それにせっかく《屍体洗浄屋》と《霊体の先達》をぐるぐるさせる動きはインスタント除去が効かないのだから、サクり台も除去が効かないようにして相手の単体除去を完全に腐らせる方が望ましいだろう。
また、これらはどちらもダメージとライブラリー削りという方法で相手を直接倒しきれるため、《タッサの神託者》を抜いてしまっても問題なくなるというメリットもある。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
デバッグ・マジック! vol.13掲載デッキ
デッキビルド:まつがん
この形は服も着ているし雑なパワーカードである《歴戦の紅蓮術士》も積んでいて何となくお利口なようにも思えた。
だが、実際に試してみると新たな欠陥が見つかったのである。
その欠陥とは。
8枚しかないサクり台を引かなかったら即死では???
「サクり台の設置」は、「墓地肥やし」と並んで無限コンボのための初動にあたる部分である。ならば実質サクり台のない初手はキープできない以上、8枚のサクり台だけでは服とはいっても時に全裸だったり時にタキシードだったりするシュレディンガーの服に過ぎないことになってしまうのだ。
だが、かといって他に非クリーチャーのサクり台など見つかるはずもない。そもそも《ゴブリンの砲撃》《狂気の祭壇》ですらモダンのスピード感だとやや重いと感じることが多いくらいなのだ。
つまり求められているのは1マナで除去が当たらないサクり台ということになる。そんなわがままが通るはずもない……そう思われた。
しかし。
ここで私に、天啓が訪れたのだ。
《大いなるガルガドン》を使えばいいのでは???
《大いなるガルガドン》だと一見サクれる回数が待機カウンターの回数に縛られてしまうように思えるが、《大いなるガルガドン》による生け贄は起動型能力のコストにあたるため、待機カウンターを減らす効果を解決しないままに《屍体洗浄屋》《霊体の先達》を好きな回数サクることができるのだ。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
デバッグ・マジック! vol.13掲載デッキ
デッキビルド:まつがん
2度にわたる改良で、私のコンセプトへの理解度は明らかに上がっていた。それゆえに、このデッキを作った当初は気づきもしなかったのだ。
デッキがどんどんと弱くなっているという事実に。
つまりは、そう。
モダンで運が良くて4キルは遅すぎでは???
そもそもこの赤黒型が抱える根本的な問題、それはコンボスピードが遅いという一点に尽きる。
だが《大いなるガルガドン》の投入はスロットを圧迫し、《頑強》すらも抜けてしまった結果、たとえぶん回ったとしても4キルしかできない、場合によっては4キルすらもできないデッキに成り下がってしまっていた。全裸ではないか、きちんと服が着れているかと体裁を気にするあまり、ぶくぶくになるまで着込んでしまっていたのだ。これでは、いかに単体除去が効かない無限コンボといえど環境で通用するとはとても言えないだろう。
モダンで通用するためには、改めて服を脱いでスリムになる必要がある。それも、全裸にはならないギリギリのラインでだ。
そう、それはここまでで導き出されたすべての条件のハイブリッド。
コンセプトの成立に必要な最低限の条件を見極めた上で、すべての出発点に戻るのだ。
出発点……すなわち、最速を目指していた形へと。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
デバッグ・マジック! vol.13掲載デッキ
デッキビルド:まつがん
服を着たり脱いだりを繰り返した結果、気づけば「いや!これはバカには見えない服を着ているんだ!!!」とのたまう裸の王様みたいなデッキになってしまったが、単体除去耐性は維持しつつ速度は最大限上げるという目標だけは、一応どうにか達成できたようには思える。
ただ本音を言えば除去されないにしてもわざわざサクり台を設置しなければならない時点でコンセプト上は相当無茶で、「墓地に置いておくだけで機能する《大いなるガルガドン》 (食物トークンではなくクリーチャーを生け贄に場に戻る《大釜の使い魔》みたいなやつ) が欲しい」というに尽きるのだが、そんなカードが出たらありとあらゆるデッキが一瞬でバグるに決まっているので今のところはこれくらいで我慢するしかないだろう。
◇《苦悶の占い師、クェザ》
『ニューカペナの街角』のカードを使った無限コンボは、実は他にも存在している。
《苦悶の占い師、クェザ》。こうした「Aするたび、Bする」という効果は、誘発回数の上限がないならば頻繁にバグる効果である。とりわけ、そのAとBが単純な効果であればあるほど。
何せ、「Bするたび、Aする」という能力を持つ他のカードを見つけさえすればいいからだ。
これを《苦悶の占い師、クェザ》の場合に引き直せば、「あなたがライフを得るたび、カードを1枚引く」という能力を持つカードを見つければいい。
そしてそのようなカードは実際に存在する。《リッチの熟達》だ。
だが、ここで一つ問題があった。4マナの除去耐性なしクリーチャーと6マナのエンチャントを隙なくかつ高速で並べる方法が存在しないことだ。
いくら無限コンボとはいえ、盤面に揃えられないようでは机上の空論に過ぎない。かくして《苦悶の占い師、クェザ》を使った無限コンボはお蔵入りになる……と、そう思われた。
しかし、私は諦めなかった。そしてたどり着いたのだ。《リッチの熟達》の他に、《苦悶の占い師、クェザ》と合わせて無限コンボを形成するカードに。
そう、そのカードとは。
《ドラグスコルの肉裂き》でいいのでは???
「6マナが7マナに重くなってるじゃねーか」と思われるかもしれない。
だが、クリーチャーとエンチャントを同時に並べるのは難しい。それに比べ、2体のクリーチャーを同時に並べる手段ならば無数に存在するのだ。
その方法の一つが《死せる生》だ。これなら《苦悶の占い師、クェザ》と《ドラグスコルの肉裂き》の2枚をあらかじめ墓地に揃えておくだけで、マナコストの重さなど関係なく一気に戦場に並べられる。
肝心の2体を墓地に落とす手段だが、《死せる生》を使う都合上「続唱」ギミックを使うことになり、そうなると2マナ以下のカードはデッキに入れられないので、《谷の商人》や《波起こし》、《発見+発散》に頼ることになる。通常の《死せる生》デッキと違って無限コンボで勝つので、非クリーチャーを採用しても出力に関係ないところがポイントだ。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
デバッグ・マジック! vol.13掲載デッキ
デッキビルド:まつがん
1《耐え抜くもの、母聖樹》
3《植物の聖域》
2《繁殖池》
1《ダクムーアの回収場》
1《島》
4《霧深い雨林》
2《天上都市、大田原》
2《沸騰する小湖》
2《尖塔断の運河》
2《蒸気孔》
1《踏み鳴らされる地》
4《谷の商人》
4《断片無き工作員》
4《臭い草のインプ》
4《苦悶の占い師、クェザ》
4《ドラグスコルの肉裂き》
4《波起こし》
特定の2枚を墓地に揃えることがどれだけ大変なのかはさっきの《屍体洗浄屋》で学んだはずなのにそれに2コスト以下の呪文を入れられない制限まで付いてくるとかドマゾオブバグダッドか???と思わずツッコミたくなるデッキに仕上がってしまった。
しかもそれだけならまだマシな方で、実は《苦悶の占い師、クェザ》と《ドラグスコルの肉裂き》が揃っただけではどちらの能力も誘発しないのでターンが無事返ってきて通常ドローができることを祈らなければならないというモダン環境を舐め腐った致命的な欠陥が存在するのだが、この欠陥を克服するために採用できそうなまともなカードが《孤独》か《熟考漂い》くらいしかなくて私自身が苦悶の占い師となった結果がこのザマである。「3マナ以上で」「2マナ以下のコストで能動的に墓地に落とせて」「出たときドローかライフゲインできるクリーチャー」があまりに見つからなくて苦しみまくったので許して欲しい。
◇《密造酒屋の隠し財産》
既に2つも実用性とは程遠い無限コンボを紹介してきたわけだが、何と『ニューカペナの街角』にはまだ他にも無限コンボの可能性が眠っていた。
《密造酒屋の隠し財産》。このカードを使えば、毎ターン土地の数だけ宝物・トークンを生成できるようになる。
だが、それだけで何ができるというのだろうか?
そう、《時の篩》で無限ターンを得ることができるのだ。
ただこれには最低でも土地が5枚並んでいることが前提となる。しかも《密造酒屋の隠し財産》を設置したターンに即無限ターンに入りたいことを考えると、《密造酒屋の隠し財産》の設置にはあまり多くのマナをかけられない。
ならばどうするか?
《財宝発掘》を使えばいいのだ。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
デバッグ・マジック! vol.13掲載デッキ
デッキビルド:まつがん
1《湧き出る源、ジェガンサ》
思いつきだけでとりあえず突っ走ってみて、できあがったデッキを見て私は「あること」に気が付いた。
いや、気が付いてしまったのだ。
このデッキ、《密造酒屋の隠し財産》抜いた方が強くね……???
そう、《時の篩》の相棒として見た場合、《密造酒屋の隠し財産》でできることは《アカデミーの整備士》で既に大体できていたのである。
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
デバッグ・マジック! vol.13掲載デッキ
デッキビルド:まつがん
4《大釜の使い魔》
4《敏捷なこそ泥、ラガバン》
4《ゴブリンの技師》
1《アカデミーの整備士》
4《楕円競走の無謀者》
1《湧き出る源、ジェガンサ》
モダンのデッキ構築において《敏捷なこそ泥、ラガバン》とか《ウルザの物語》とかが入りだすともうそれはオワオワのオワを意味している。なぜなら、《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《ウルザの物語》はただただ強いカードすぎてカード選択における一切の必然性を無視してしまうからだ。
最初は《密造酒屋の隠し財産》を見て「《時の篩》と合わせて無限ターンじゃん!!!」と盛り上がっていたはずなのに気が付いたらなんかクソ猿と変なジジイの日記でデッキが滅茶苦茶にされてしまっていたのは残念だが、《時の篩》自体はかなりのポテンシャルを秘めたカードであることは間違いないので、《密造酒屋の隠し財産》とは関係なく今後も注目しておきたい1枚だ。
■ 3. 終わりに
ところで次のセットである『団結のドミナリア』は何やら9月9日発売とのことだが……もしかしてこれ、最低でももうあと2ヶ月は『ニューカペナの街角』のデバッグをし続けるってこと???
……などという辛い現実からは目を背けつつ、この記事が『ニューカペナの街角』のカードでデッキを作りたいという方へのヒントに少しでもなれば幸いだ。
ではまた次回!
クソデッキビルダー。独自のデッキ構築理論と発想力により、コンセプトに特化した尖ったデッキを構築することを得意とする。モダンフォーマットを主戦場とし、代表作は「Super Crazy Zoo」「エターナル・デボーテ」「ステューピッド・グリショール」など。Twitter ID:@matsugan
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