90年代アニメ紹介 -美少女戦士セーラームーン-

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美少女戦士セーラームーンは武内直子による漫画作品である。1992年、講談社の「なかよし」で連載開始。同年、東映アニメーション制作で始まったテレビアニメにより、その人気は社会現象となるにまで至った。

1990年代前半を代表する少女漫画作品、アニメ作品と言っても過言ではないだろう。

 

美少女戦士セーラームーンは元々、武内直子の「コードネーンはセーラーV」を原案とし、メディアミックスを前提として製作された作品である。

今回はアニメ版について書きたいと思う。

 

美少女戦士セーラームーンの初代シリーズディレクターは、前番組の『きんぎょ注意報!』に続いて佐藤順一が努めた。

 

■佐藤順一

 

佐藤順一は現在でも第一線で活躍する監督、演出家であり、数多くのアニメ作品に携わっている。「ベムベムハンターこてんぐテン丸」や「とんがり帽子のメモル」「機動戦士Ζガンダム」などの演出で頭角を現し、「はーいステップジュン」ではシリーズディレクター補佐、「メイプルタウン物語」ではシリーズディレクターを務める。

「悪魔くん」や「もーれつア太郎」「きんぎょ注意報!」でもシリーズディレクターを務め、「美少女戦士セーラームーン」でも引き続きシリーズディレクターを務めている。

 

その為、「美少女戦士セーラームーン」には佐藤順一演出の影響が色濃く反映された。佐藤順一演出は日常に重きをおいており、人情や家族、友情など誰の心にも訴えかける目線の低さが特徴だ。

佐藤順一の代表作とも言うべき「カレイドスター」では、夢を純粋に追いかける平凡な少女と、それを支える人々との友情、努力、挫折、再起が丹念に描かれ、今なお作品としての輝きを失っていない。

 

セーラームーンこと月野うさぎもプリンセスとしてではなく、普通の女子中学生として他のセーラー戦士たちとともに友情と日常が描かれている。

こういった地に足の着いた演出こそが、美少女戦士セーラームーンの人気を長期間に渡って高めた要因ではないだろうか。

 

■幾原邦彦

 

佐藤順一が美少女戦士セーラームーンRの途中でシリーズディレクターを降板、その後を継いだのが弟子格にあたる幾原邦彦だった。

後に『少女革命ウテナ』『輪るピングドラム』などの監督を務める幾原邦彦の鋭角な演出は、「美少女戦士セーラームーンR」以降の作風を更に一つ上のレベルにしたといって過言ではないだろう。

日常を活かす佐藤順一演出と、トリッキーな幾原邦彦演出の融合により、美少女戦士セーラームーンの人気は不動となった。

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■変身バンク

 

また美少女戦士セーラームーンが後の作品に与えた大きな影響の一つに、変身バンクがある。

変身バンクは珍しいものではないが、セーラームーンの変身バンクは以前の作品に比べてかなり長い。

 

東映魔女っ子シリーズや、葦プロの「魔法のプリンセス ミンキーモモ」など、魔法少女に変身バンクはつきものであるが、セーラームーンの変身バンクはロボットアニメのコン・バトラーVなどの変形合体シーンを参考にしたと言われ、各キャラクターそれぞれに変身シーンの詳細が緻密に長く描かれている。

これは当初の予算が少なく、セル画の枚数を減らすことも目的であったと言われているが、その結果として変身バンクはセーラームーンを境に、より詳細に描かれるのが主流となり、現在に至っている。

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美少女戦士セーラームーンが後の作品に与えた影響については、また別の機会に書きたいと思う。

 

 

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