「アイドル映画からアイドルドラマへの系譜」第3回(全3回)

山 陰生(やま かげみ)

「アイドル映画からアイドルドラマへの系譜」第1回はこちら。

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『スケバン刑事』劇場版(下)2作品も作られた。TVシリーズもDVDに。

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劇場版『スケバン刑事』のパンフレットとその時期に発売されたMOOK。

 

 さてそんな80年代のど真ん中、アイドル主演作品のドラマに一石を投じる事になる作品が産声を上げた。斉藤由貴主演、和田慎二原作の『スケバン刑事』である。まずアクションと斉藤由貴のイメージが繋がらない上に、芝居は月曜ドラマランドの『野球狂の詩』で「…」な感じだったので、どう処理するのだろうと1話を観てみた。そして以後チャンネルを合わせることはなかった…当時私はアイドル主演の作品にある種の偏見を持っていたのだ。だがアニメーターを辞めてボンヤリしていた84年、劇場へ観に行ったセイントフォーの映画『ザ・オーディション』に元気を貰い就活、翌年、編集者となってから、映画紹介記事を書く為に観た菊池桃子主演の『テラ戦士ΨBOY』がことのほか面白く、アイドル映画も捨てたもんじゃない! と感じていた時期ではあった。この2本は映画として至極まっとうに面白い作品なので、機会があったらぜひ観ていただきたい。

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セイントフォーについては、また別に触れてみたいと思っていたり…。

 

話を戻すと、そんな私がスケバン刑事の楽しみ方を理解したのは1作目の劇場版『スケバン刑事』(87年)だった。キャスト、スタッフともに作品を十分理解した上で、映画サイズに上手くブローアップされた本作は番組ファンではなかった私をも楽しませる事に成功した。考えてみれば宇宙刑事シリーズでアクションに定評のあった田中秀夫監督や、ベテラン坂本太郎監督など当時の東映ヒーロー作品を支えていたスタッフが撮っているのだから、面白くない訳がなかったのだ。

 動けない「アイドル」を逆手にとって、アイドルとしての健気な魅力を引き出す事で人気を博していたシリーズなのだと、改めて気付かされたのだ。続く五十嵐いづみ主演の『少女コマンドーIZUMI』や2006年にリメイクされた、あややこと松浦亜弥主演の『スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ』は、アイドル映画としてのバランスを崩してしまった為に今ひとつ盛り上がりを見せられなかった。前者は主演のビジュアルイメージが作品に沿いすぎ、後者はアクション映画として真面目に作られすぎたことによると思われる。それは時代を思えば必ずしも間違った選択ではなかったと思われるのだが、スケバン刑事シリーズが培ってきた魅力とは逆を行くモノだった。

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松浦亜弥でリメイクされた『スケバン刑事』のパンフとDVD。バトルスーツはカッコイイが、そこまでやっちゃうと…。

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シリーズ枠になる『少女コマンド-IZUMI』と『花のあすか組』のDVD。番組は打ち切られたわけだが、個人的にはIZUMIにいちばん思い入れがあったりする。

 

そんなスケバン刑事は数々の亜流作品も産み出した。対抗番組として作られた『セーラー服反逆同盟』や戦いは無いが『ケータイ刑事シリーズ』など、アイドル映画(ドラマ)のエッセンスを受け継ぐ作品たちは、連綿と作り続けられている。90年代以降に関しては、皆さんの方が詳しいかもしれないので、今回はここまでw。というか真面目にこの辺りの歴史を紐解くといろんな要素が絡まるので、ここではこれ以上紹介しきれない。

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スケバン刑事の向こうを張った中山美穂主演の『セーラー服反逆同盟』のDVD-BOX。

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『ケータイ刑事 銭形シリーズ』は2002~2011年に渡って作られた。作風はスケバン刑事とはまったく違う。

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遠山光の漫画とメディアミックスしたドラマ。刑事物って事でw。主演は後に「シェイプUPガールズ」の一員となる梶原真弓。

全3回<終>

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山 陰生(やま かげみ)

上京後、専門学校を経てアニメーターになるも挫折。
その後、編集プロダクションに拾われ、オタク関連の書籍や雑誌の編集・ライティングを行いその後フリーに。
しかし、人生の旅も半世紀を越え、田舎にUターンして余生を過ごす日々。
昭和を愛すが別に戻りたくはない、初老に片足突っ込みかけているオヤジです。


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